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日本でよく言うところの「ネオ・アコースティック」の源流へと遡ってオレンジ・ジュースなどのバンドの初期音源に辿り着いたとき、それらは思ったほど「アコースティック」ではなくって、どちらかと言うと「ポスト・パンク」というどこかヒリヒリした感触のある言葉で形容したほうが的確であることに気づく。パンク・シーンの盛り上がりは情報先行で伝わってきていたスコットランドで勃興した<POSTCARD>レーベルを中心とした新しい動きは、ロンドンなどでのパンクを軸としたシーンとはまた違った流れを生み出していて、オレンジ・ジュースは4枚の衝撃的なシングル(80〜81年)でたちまちアイコン的存在となっていった。エドウィン・コリンズとジェイムズ・カークという2人のソングライターによって、ヴェルヴェッツやニューヨーク・パンクと、ノーザン・ソウル、ディスコ音楽が時代の空気の中で強引なぶつかり合いを見せて奇跡的な楽曲群が生み出されていったのが、この時期のOJである。
その後メジャーに移籍し、初期の総決算的1st『You Can't Hide Your Love Forever』(82年)をリリース。元ジョセフKのマルコム・ロスの加入、ジェイムズ・カークの脱退といったメンバー・チェンジを経て、85年に解散した。移籍後はヒット曲も生まれ、ソウル指向がやや強まったり、ダブの影響なども見せたりと音楽的には豊かになっていたが、アンチ・アンチロックたる「ネオ・アコ」的意志の精神的なフォロワーをイギリス中に生んだのはあくまで(音楽的には「アコースティック」と言うよりは「ガレージ・ソウル」な)初期OJのことである。僕らが「ネオ・アコ」などと呼んでいるものも、元をただせばパンク・ムーヴメントの空気から生まれてきたということは、意匠だけの「ギター・ポップ」が氾濫しつくした今だからこそ、もう一度肝に銘じておきたい。 (高取マサシ)

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