夢川かなう×杏夜くもり×魔光リサ×神凪アンナ:4週連続EPで発揮した音楽愛と個性 ライブ『BRIGHT NOTES』に刻む新たな自分

Re:AcT所属アーティスト 連続インタビュー

 バーチャルタレント事務所 Re:AcT所属の4アーティスト――夢川かなう、杏夜くもり、魔光リサ、神凪アンナによる最新EPが、8月23日より4週連続でリリースされている。8月23日には『CUTE × AGGRESSION』(夢川かなう)、8月30日には『くもりのあしあと』(杏夜くもり)、9月6日には『NO!』(魔光リサ)、9月13日には『相対性インソムニア』の配信がスタート。さらに連続リリースの集大成として、4人が出演するRe:AcT LIVE『BRIGHT NOTES』が、9月20日にGRIT at Shibuyaで開催されることも決定している。

 各EPにはそれぞれ、4人の最新のモードを落とし込んだ複数の新曲の他、リマスターされた既存曲やカバー楽曲などが収録された。今回リアルサウンドでは、このEPリリースとライブ出演を記念した4人ひとりずつへの連続インタビューが実現。各メンバーの音楽ルーツや活動の原点、そして今回のEP/新曲にまつわる裏話やライブへの意気込みなど。さまざまな角度から、彼女らの持つ魅力に迫るエピソードを聞かせてもらった。(曽我美なつめ)

夢川かなう「自分の中に引きこもることがあってもいい」 今の時代に届けたい歌

夢川かなう
夢川かなう

――まず最初に、夢川さんの音楽的なルーツを伺えたらと思いまして。

夢川かなう(以下、夢川):音楽自体もそうですけど、歌うことが昔から好きで。ネットで聴いてもらうという感じでもなく、カラオケに行くのが好きぐらいだったんですが。アーティストさんだと、やなぎなぎさんとCö shu Nieさんがすごく好きでよく聴いてました。声が少し高めなシンガーさんや、綺麗な世界観を持っている方に惹かれるというか。今のわらわの歌に繋がってる部分もかなりある気がしますね。

 実はVTuberさんの世界はほとんど知らなかったんですが、今のような活動をするようになってから影響を受けた方としては、藍月なくるさんの存在が大きいですね。以前同じライブに出演させていただいたんですが、やっぱり間近でステージを見ると改めてすごく素敵な歌を歌われる方だなって思いました。

――まさに、今の活動をしていてよかったなと思う瞬間ですね。

夢川:はい。でも実はこんなに歌をメインで活動するつもりはなくて。今みたいに歌いたいと思ったきっかけは、やっぱりRe:AcTの同期の存在が大きいです。素敵な歌を歌う同期がたくさんいるんですよ。獅子神レオナや水瓶ミア、あとは今年卒業しちゃった花鋏キョウも本当に歌が上手くて。みんながそれぞれ歌に向き合ってる姿を間近で見て、「こんなこと考えて歌ってるんだ」とか「こういう歌のこだわりを持ってるんだ」って知るうちに、「歌ってすごく自分の個性を出せるものなんだな」と改めて感じるようになったんです。その中で、わらわが歌うことに対しても徐々に考え方や向き合い方が変わってきたというか。歌でわらわを表現できるんだって思うようになると、より歌が楽しくなってきて。こうしてわらわが今、積極的にオリジナル曲を出したりライブをするようになったのは、そういうふうに同期の影響を受けて価値観が変わったからっていうのもかなり大きいですね。

――そんな活動のひとつ大きな通過点として、今回、1st EP『CUTE × AGGRESSION』がリリースされました。

夢川:「ついに!」と思いましたね(笑)。わらわがこんなふうにEPを出したりライブができると思っていなかったので、驚きと嬉しさが大きかったです。あとは3曲も新曲を出せるんだって(笑)。告知の時もファンの方が「3曲も!?」って驚いてて、「やっぱりビックリするよね」って。

夢川かなう1st EP「CUTE×AGGRESSION」クロスフェード

――EPのコンセプトは、夢川さんから「こうしたい」と希望も出されたのでしょうか。

夢川:そうですね。Yunomiさんやsomuniaさん、中村さんそさんみたいなKawaii Future Bass的なサウンド感ももともとすごく好きなので、そのあたりの要素を取り入れつつ、ポップ感もある曲調だとわらわらしさが出せそうだなってお話しした記憶があります。おかげさまで今の夢川かなうをダイレクトに落とし込んだような、好みをマシマシで詰め込めた作品になったかなって。

――そんなEPの中から、4thシングルとして「水没▽えすけーぷ」が先行配信されました。

夢川:この曲はデモをいただいた時から、もうすっごい「わらわの曲調ドンピシャだ!」と思ってて。歌詞もあまりにもわらわのことすぎて……本当に恥ずかしいぐらいなんですけど(笑)。わらわはよく周りの目を気にしたり、空気を読むことを普段すごく意識しちゃうんです。でもそれとは別に、やっぱり本音というか、「本当はこうなんだけどな~」みたいな毒の部分もあって。それを「なんでこんなこと思っちゃうんだろう」「八方美人で嫌だな」って思っちゃう時もあるんですけど、「それでいいんだよ」っていう肯定がこの曲の歌詞には詰まってて。本音を出さないこともひとつの生きる手段だと思うし、周りに合わせてる自分も間違いなくわらわの側面のひとつだと思うんですよね。今はSNSが普及してる中で、同じように生きている人もきっと多いんじゃないかな。嫌な言葉を目にしたり、多数の意見を意識して、本音とは別のことを言っちゃう人というか。そんな息苦しいリアルは一旦ポイして、自分の中に引きこもることが時々あってもいいんじゃない? っていう。そんな歌詞をすごく可愛いノリノリな音楽に乗せて下さってるので、そこもギャップで気に入っているポイントのひとつですね。

――「人っていろんな側面があっていいんだよ」と自分自身を受け入れるメッセージがこの曲の肝なんですね。

夢川:そうですね。歌詞はわらわもすごくいろいろ意見を出させていただいたんです。中でも一番印象的なのは、〈こぼれる『…』ふと落ちる〉のところですね。当初は別の歌詞だったんですが、〈『…』〉という表記にすることで、本音を感じてる沈黙の意味合いを持たせたらどうだろう? と提案しまして。ちょっと遊び心のある歌詞にもなったんじゃないかと思います。わらわもすごくノリノリで歌えたし、ダンスナンバーとしても新鮮さのある曲になったんじゃないかなって。

――加えて、新曲「hide and seek」「Patchwork」についてもそれぞれこだわりを伺えますか。

夢川:「Patchwork」はcolateさんがすごく歌詞を悩んで下さって、特に2番からの歌詞はすごくギリギリまで考えて下さったので、個人的にもかなり思い入れのあるものになってます。今回のEPは「かわいい顔して、毒がある。」というテーマですが、パッチワークというもの自体もテーマと通ずるし、表現として面白いなって。あと、サウンド感もすごく好きで。イントロの部分が特にcolateさんらしいなと個人的には思うんですが、これまでのcolateさんの楽曲の魅力的なサウンドもたくさん詰まっていて。それがわらわのオリジナル曲になっていることが本当に嬉しいですね。

 「hide and seek」は今までのわらわの曲の中でも一番低音が響いてる曲じゃないかな。これまでは比較的ゆったりふわふわした雰囲気の楽曲が多い中で、この曲はスタイリッシュなカッコよさもありつつ、サビではキラキラした開けた可愛さもあって。歌詞もラップ調だったり、言葉が結構詰まってるというか。作曲していただいたmaigoさんの“らしさ”が感じられる曲だなって思います。レコーディングの時も曲の雰囲気に引っ張られたというか、わらわの気持ちを詰めて強く歌いすぎちゃって(笑)。もうちょい柔らかい、優しい雰囲気でやってみてくださいって言われて、修正した思い出がありますね。気持ちが高まる曲になっていて、サビに向かうビートもライブですごく盛り上がりそうだなって思います。

――総じて今回の新曲は、夢川さんにとっても今まであまり歌ったことのない、新しいジャンルへの挑戦にもなったんですね。

夢川:ラップ調の部分や歌詞が詰まった部分は、噛まないようにリズムに乗りつつも、歌詞に込めた想いをちゃんと乗せられるように意識しました。新しく広がった表現の幅や成長をリスナーさんに感じてもらえたら嬉しいです。

――そんなEP『CUTE × AGGRESSION』を携えて、9月20日にはRe:AcT LIVE『BRIGHT NOTES』への出演が決定しています。

夢川:今回のライブはバーチャルアーティスト2人による対バン形式ですが、その分、わらわだけのソロステージもかなり長尺なんです。これまでの事務所ライブや合同ライブだとカバー曲が多かったり、オリジナル曲も誰かと一緒にメドレーで歌うことも多くて。わらわ一人だけのソロステージは数曲程度でしたが、今回は感覚的にほぼワンマンに近いぐらいのボリュームになるんです。セットリストもわらわが組んでるので、たっぷり“わらワールド”を楽しんでもらえるなと。もちろん緊張もしますが、すごく楽しみな気持ちが大きいですね。

 あと個人的には、今回のライブのキービジュアルにもぜひ注目してほしくて。EPのジャケットにもなった絵なんですが、イラストをronohさんにお願いしているんです。わらわはronohさんの描かれる絵の世界観が大好きで、これまでにも「歌ってみた」のイラストや配信動画のオープニングイラストでもお世話になっているんですが、今回初めてライブのキービジュアルも担当いただけたことがすごく個人的にエモいというか、嬉しくて。このキービジュは電車の中にわらわの私物が散らばっているイラストですが、公共の場で私物を広げることから、「社会の中でも自分の世界に引きこもったりしていいんだよ」ってメッセージをここからも感じてもらえたら。キービジュの雰囲気も大事にしつつ、ライブのムードを作り上げていきたいなと思っています。

――ありがとうございました。リスナーさんへのメッセージと、ライブへの意気込みを聞かせて下さい。

夢川:今回のEPはどの曲にも“夢川かなうらしさ”が嫌というほど詰まっているので、まずはぜひそれを体感してもらえたら。もしその中で共感できるポイントがあれば、日々のちょっとした糧にしたり、自分を肯定する材料にしてもらえるといいなって思います。わらわの好きなサウンドがたくさん詰まっているので、そこもぜひノリノリになってくれたら嬉しいな。ライブではそれがより近い距離感で楽しめるので、いっぱい夢川かなうの世界観を浴びに来てください。

 こうしてEPを出してライブで歌えるのは、これまでの長い活動期間を近くで応援してくれたファンの方々やスタッフさんのおかげです。そんな感謝の気持ちをライブにたくさん込めたいと思うので、その分みんなにも思いっきり楽しんでもらえたら嬉しいですね。いいステージになるよう準備も今、精一杯頑張っているので、ぜひ安心して楽しみにしててください!

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