FouRTe Project、初オフラインライブで示したバーチャルアイドルのプライド 生歌・生ダンスへのこだわりと挑戦が生んだ熱気

7人組バーチャルアイドルグループ・FouRTe Project(フォルテ・プロジェクト)が、グループ初のオフラインライブ『FouRTe Project 1st LIVE "ALL IN"』を8月14日にZepp DiverCity (TOKYO)で開催した。
FouRTe Projectは玖音レオ、朔楽はるひ、朔楽はづき、翠凰稜巳、御影漣、アルテ・ロベルト、剣翔の7人で構成され、昨年9月にデビュー。高い歌唱力とダンスパフォーマンスで注目を集めている。またm-floの☆Taku Takahashiが全面的に楽曲プロデュースを行っており、こちらも話題になった。過去にオンラインライブは実施されていたが、今回の公演は初めて観客を入れてのオフラインライブとなる。

開演前には、メンバー7人全員と、音楽プロデュースをつとめる☆Taku Takahashiの囲み取材が行われた。
ライブ前の心境を聞かれると、翠凰稜巳は「まだ全然実感が沸いていないですし、直前にしてまだやることが詰まっていて、そちらに気を取られている感じです(笑)。本番は切り替えて楽しんで、盛り上げていこうと思います!」とマイペースに語る。朔楽はるひは明るい声で「こんな時にも、僕はお腹がすいてきました(笑)。何か食べてから……みんなに笑顔を届けたいと思います。がんばります!」と語ってくれた。朔楽はるひと対照的に静かな決意を語ってくれたのは双子の兄、朔楽はづき。「ライブまであと1時間切ってるんですけど、全力でやり切れたらなと思います」と淡々と語り、剣翔は「最初のライブは今日が最初で最後なので、緊張しているんですけど、たぶん見に来てくれるみんなも緊張していると思う。たくさんの人を幸せにしたいと思っております!」と気合十分の様子だ。
今日初めてファンの顔を見る心情を訊かれた玖音レオは「僕たちは“運命を切り開く”というコンセプトで活動しているので、このライブをきっかけに運命を切り開いていったり、みんなにとってのターニングポイントになればいいと思います」と、特別な一日になることを予感させ、アルテ・ロベルトはFouRTe Projectの持つ強みについて「全部生で歌って、生で踊るのをコンセプトにやっていて、バーチャルや生身といった垣根を超えたパフォーマンスを見せていきたいと思っているので、そこが一番の強み。僕たちは寮で7人一緒に暮らしているので、そこも仲の良さの秘訣」と語った。この先立ってみたい舞台について問われ、御影漣は「デビューする前から、目指すは東京ドーム! 夢は大きく、全国ツアー、ワールドツアー……今回のZeppは第一歩。持ち味を出して、みんなに名刺を渡すような気持ちで最初の衝撃を与えたい」とビジョンが見えている様子だ。
この日は、日本発の新しいコンテンツ産業の現状を視察することを目的に、林芳正総務大臣が来場するとあって、FouRTe Projectを初めて観る人にどんな印象を持ってもらいたいかという問いに、朔楽はづきは「バーチャルアイドルは日本ではあまり浸透していなくて、Vtuberや2.5次元アイドルと同じくくりにされがちなんですが、別のジャンル。そんな新しいジャンルの黎明期の立役者のように見えてほしいですし、本当に生でパフォーマンスしている、という熱気が伝われば」と、静かに自信をのぞかせた。
また、音楽プロデュースを担当している☆Taku Takahashiは、「メンバーが選ばれるタイミングから一緒に可能性や成長を見てきた。その成長を出し切るライブをしてもらいたいなと思っている。InstagramやSNSでも海外からの反応が来ているので、まずは国内のFouRTune(FouRTe Projectのファンの呼称)のみなさんと土台を築き上げて、このチームがどんどん世界に行って、今は東京ドームを目指していますけど、海外のフェスとかも出ていくようなアーティストになってもらいたいと思っています」とFouRTe Projectへの期待を語った。
ライブの幕開けは、オープニング映像のアニメーションから。メンバーカラーの光が街を駆け抜けひとつとなって会場に届き、ライブのロゴがスクリーンに映し出され彩られ、大きな拍手が巻き起こった。

この日のオープニングナンバーはタイトル曲「ALL IN」。ステージに7人の姿が浮かび上がり、剣翔の「行くぞ、お台場!」のシャウトで始まると、早々に圧倒的なパフォーマンスを見せつける。次々と展開するフォーメーションダンス、力強い個性豊かなボーカル、玖音レオによるアクロバットと、FouRTe Projectの今あるすべてを注ぎ込んだようなステージからは、「ALL IN」の名にふさわしい強い覚悟が感じられた。続いて「HIGH⤴優勝」では、コール&レスポンスで早くも会場の一体感を高め、客席のFouRTuneに声出しを煽り続けていく。アイドルらしいわちゃわちゃしたキュートな楽曲「マジ恋で無理!」では、FouRTuneへの愛を織り込んだセリフを贈りながら、キレのあるダンスでも魅力を発揮。
熱気が渦巻く中、ノンストップでダンスコーナーへと続く。重点音が響くインストに合わせたエネルギッシュな振付の中に、アイソレーションやブレイクダンスなど、個々のスキルが織り込まれている。なかでも玖音レオと剣翔のダイナミックなアクロバットには、大歓声と拍手が贈られた。

自己紹介と挨拶に続いて披露されたのはXYZの「CocktaiL」だ。「オーディションの課題曲で、7人をFouRTeに導いてくれた曲」と紹介され、きっちり揃いつつも軽やかなダンス、バトンのようにつながっていくボーカル、そしてサビのユニゾンと、FouRTe Projectのチームワークの良さが感じられる。初めてのライブを祝うように歌われたこの曲は、不思議なほど喜びに満ちていた。さらにST☆RISHの「マジLOVE1000%」、M!LKの「爆裂愛してる」と、歌い継がれてきた曲と最新楽曲、二次元と三次元のアイドル曲の名作を続けてカバー。楽曲の世界観を壊すことなく、全身で彼らならではのアイドル像を体現していった。

MCタイムには、「ポーズを合わせろ!シンクロチャレンジ」と銘打ち、お題に合わせ全員でポーズをそろえるというバラエティ企画も行われた。最後には「メロいポーズ」という高難易度のお題が出されたが、個性豊かなFouRTeだけありポーズが揃うことなくチャレンジ失敗。このお題で見せたメロいポーズをのちのパフォーマンスに組み込む、というペナルティが課され、FouRTeからは大歓声があがった。
バーチャルアイドルらしい演出で沸かせたのは、「キミハナ」。やさしく愛にあふれたバラードを、なめらかで美しい歌声とダンスで表現し、曲の途中で一瞬にして新衣装へと変わると、FouRTuneからは驚きの声があがった。統一感のある新衣装は、それぞれの魅力に寄り添ったデザインで個性を生かしたアイテムがあしらわれている。髪型も変化し、彼らの新たな魅力に大歓声が巻き起こった。続く「下書きノート」は、アイドルだからこそ歌えるバラードといえるだろう。7人がのびやかに全身で歌詞の世界観を描き出し、表現力の高さを見せつけた。アルテ・ロベルト、剣翔、玖音レオによるカバー、BE:FIRSTの「夢中」は、ピアノバージョンで披露された。高い歌唱力は言うまでもない。ハモリやフェイク、ラップといったスキルだけでなく、3人の声そのものの魅力、広がり、深さを堪能できる贅沢な時間だった。

初めてのライブに向け、チャレンジ企画も実施された。御影漣は「たくさんの国の人たちに、パフォーマンスや魅力を伝えたい」という気持ちで毎日英語を勉強し「キミがキミでキミだから」に英語のリリックを書いたという。そしてアルテ・ロベルトはまったくの初心者からピアノをスタートし、常に努力を怠らなかったことが御影漣から語られた。「メンバーとして誇らしい、努力する男はかっこいい」という言葉が贈られると、楽曲がスタート。グランドピアノを奏でるアルテ・ロベルトと、英詞で見事に歌い上げる御影漣のパフォーマンスは客席の心を打った。
翠凰稜巳のチャレンジは、楽曲のアレンジ。もともとR&Bが好きで、バンドと一緒にアレンジを作り上げ、ソロで披露されたのは「100万分の1」だ。ムードたっぷりの生音の良さを生かしたアコースティックなアレンジと、原曲とは一味も二味も違うボーカル。彼の音楽的な才能を味わうことができたステージだった。
続いて、朔楽はるひと朔楽はづきの双子コンビがラップにチャレンジ。「ぶち上げていこう」「ライブ後半戦だよ!」と客席を煽ると、DOBERMAN INFINITYのアッパーなパーティーチューン「DO PARTY」をパフォーマンス。本人から伝授してもらったという相性ピッタリのラップで、ここまでのしっとりした空気を一掃。ジャンプを促し、二人のキャラクターを現したリリックで会場のボルテージを上げた。
いよいよライブ本編もラストスパートだ。おもちゃ箱をひっくり返したような「エジソンのカステラ」では、FouRTuneによる大きなコールや合いの手、メンバー同士のわちゃわちゃしたパフォーマンスで、熱狂の渦に包まれていく。温度感をそのままにユーロビートナンバー「キャない?」では、レトロなムードのユニークなダンスでさらに会場を盛り上げていく。アイドルというジャンルに対して全力な7人の明るい空気感が、否応なしに幸福感を生み出していった。

本編最後の曲は、「ペナルティ執行!」の声でスタート。前半のバラエティ企画のメロいポーズを取って始まった「メロサピエンス」だ。ライブの終盤にも関わらず、ステップのキレは増し、ボーカルもパワフル。激しくフォーメーションを入れ替えながら、中毒性の高い楽曲をキャッチーな振付で魅せ、最後はコール&レスポンスでひとつになった。
アンコールでは、ホロスターズの奏手イヅルとアステル・レダによるユニット・Brattがスペシャルゲストとして登場し、「NEW ERA」を披露した。青と白の照明の海の中、お揃いの衣装に身を包んだ二人がのびやかなボーカルで会場を魅了。大歓声で迎え入れられた。これまでの交流や初めて会った時の印象などが二人から語られたあと、楽曲コラボへ。「まだライブでやったことのない新曲」と紹介された奏手イヅルの「ハルノヒミツ」に、朔楽はるひ、剣翔、翠凰稜巳が参加し初披露し、これまでとはまた一味違う音楽性の楽曲を4人の声で彩った。続いて、アステル・レダの「A.scort」には、御影漣、朔楽はづきが参加。大人っぽいボーカルと、スムーズなターン。クールさの中にやわらかさを感じるダンスでコラボレーションした。

この日の二日前に誕生日を迎えた奏手イヅルをお祝いするサプライズシーンもあり、9人の関係性の良さや信頼感をステージ上でも見せる。コラボコーナーの最後には、9人揃ってBrattの「DADADA」をパフォーマンス。スタイリッシュなダンスナンバーが不思議とFouRTe Projectの音楽性にもマッチし、大迫力のダンス&ボーカルで会場を圧倒。「また一緒に歌えるよね?」「歌いたい!」と再会を約束し、スペシャルコラボは終了した。
「俺たちからのプレゼント!」と撮影OKとなったのは、始まりの曲「キミがキミでキミだから」。この日の7人は〈どんな壁も乗り越えていこう〉の歌詞を体現したと言えるだろう。ライブ終盤になっても、彼らのパフォーマンス力は衰えるどころかますますきらめきに満ちていく。彼ら自身のストーリーを語るようなコレオグラフィからは、バーチャルであること以上にメンバー本人たちの生の実力を改めて示した。

最後の挨拶では、メンバーそれぞれが初ライブへの感謝と、この7人でたどり着いた喜びを語った。そして、FouRTuneとともにさらに大きな夢へ向かっていくことを誓い、会場は温かな拍手に包まれた。
ラストは「みんなの心に届きますように」という言葉で始まった「100万分の1」。初ライブを成功させた喜びにあふれ、またこの先の歩みもともに進んでいくことを約束するような歌声が会場を満たしていく。一度しかない奇跡のような景色が、FouRTe Projectの7人とFouRTuneの心を震わせていることが肌で伝わる幸福感。“生”にこだわるFouRTe Projectの神髄を見たような時間だった。

初ライブとは思えない充実のステージだった。バーチャルの特性を生かしつつも、そこに確かな熱を感じたのは、様々なハードルに果敢に挑戦する姿と、彼らの持つ天性のアイドル性によるものだ。途中トラブルで時間がかかった場面でも、7人はトークで場をつなぎ見事に対応してみせた。高いスキルは言うまでもないが、それ以上に彼ら自身の“バーチャルアイドル”に対するこだわりとプライドが、観る者を幸せにするのだと思う。次のステージでは、彼らがどんな幸福を運んでくれるのか期待せずにはいられない初ライブだった。


























