れん「貴方たちがいないと僕は存在できない」 多彩な音楽の中心にある“言葉と声” ファンとの絆を確かめた夜

シンガーソングライターのれんが『れん ONEMAN LIVE TOUR 2026 -懸想歌-』の東京公演を7月20日、Zepp DiverCity (TOKYO)で開催した。
2025年4月にシングル「淡色の幸せ」でメジャーデビュー。その後もSNSで大きな話題を集めた「盾愛」、TAKU INOUEとの共同制作による「Last Parade」、ドラマ特区『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』(MBS)オープニング主題歌「懸想歌」、スマホゲーム『東京リベンジャーズUNLIMITED』「横浜天竺」テーマソング「乱気」などを次々とリリースし、活動の幅を広げてきたれん。自己最大キャパとなるZepp DiverCity (TOKYO)公演で彼は、多彩な音楽性とボーカルを軸にしたアーティストとしての魅力を存分に発揮してみせた。
バンドメンバーとともにステージに登場したれんは、自らギターを鳴らし、〈不平等じゃない 僕ばっかり好きが溢れていて〉というフレーズを弾き語りで歌い始める。1曲目は「一縷」。真摯で真っ直ぐなラブソングを切々と歌い上げる。「ツアーファイナル、準備できてるかい?!」という言葉を合図にバンドサウンドが加わり、エモーショナルな音像が立ち上がる。軽やかなグルーヴが心地いい「一切合切」のサビでは観客が手を左右に揺らし、R&B〜ヒップホップのテイストを交えた「bathroom feat. れん, maeshima soshi」(MAISONdes)ではシンガロングが発生。瞬く間にステージと客席の距離を近づけていく。

「シンガーソングライター、れんです! 今日は祝日ですけど、この日を僕に使ってくれてありがとうございます。最高の日にすることを約束するので、身も心も楽しんで。それぞれの楽しみ方でいいので、今日1日よろしくおねがいします」
というMCのあとは、れんのディープな音楽性を体感できるシークエンスへ。浮遊感をたたえたサウンドと繊細なボーカルが溶け合う「Last Parade」、印象的なベースラインから始まり、人が抱える弱さ、儚さ、そのなかに生まれる美しさを描き出す「虧月」、〈愛はいらない あなたを頂戴〉と刹那的な恋愛模様を綴った「絶蝶」。楽曲の世界観、ストーリーを生々しく映す歌声に、すべての観客が引き込まれていく。そんなライブのムードを一変させたのは「スターライトパレード」(SEKAI NO OWARI)のカバー。煌びやかなメロディとサウンドが会場全体を包み込み、華やかなエンターテインメント性へと結びついた。小学生のとき、地上波の音楽番組でこの曲を披露しているSEKAI NO OWARIを観て、「こんなステージで歌いたい」と思ったというれん。つまり「スターライトパレード」は、ミュージシャンとしての彼の原点なのだ。


ここで演奏されたのは、未発表の新曲。痛みにも似た切なさが滲むバラードナンバー。れんの真骨頂と呼びたくなるラブソングに、観客がグッと引き付けられていく。「バラードを書くと、未練たらたらの曲になっちゃうんですよ。自分のなかにこんな感情が眠ってたんだ? みたいな」というれんの言葉も印象的だった。
このあともバラエティに溢れた楽曲を次々と披露。『東京卍リベンジャーズ』に登場する黒川イザナに寄り添いながら制作されたという「乱気」は、孤独や葛藤、誰かを求めながらも傷つけ合ってしまう人間関係をリアルに描いたロックナンバー。さらに世間や周囲の評価に惑われることなく、自分が信じた道を進みたいという願いを刻んだアッパーチューン「正論さん」、強靭なバンドグルーヴのなかで別れてしまった〈君〉への思いをぶつける「FLASH BACK」、〈さよならの前にキスをして/さよならの後は忘れさせて〉というフレーズが悲しみを呼び起こす「でも、」などを重ねていく。
その中心にあるのはもちろん、れん自身の言葉と声。実体験を反映しつつ、誰もが共感できる歌へと昇華するソングライティング。メロディと歌詞に強い感情を刻み、オーディエンスの心と身体を揺らすボーカル。そう、シンガーソングライターとしての個性と資質をしっかりと実感できたことが、今回のツアーの最大の意義だったのだと思う。

「楽しんでますか! 水持ってますか? 乾杯しましょう!」というフレンドリーなMCでシリアスな雰囲気が一変。「やばい、もう終わっちゃう。じゃあ、アカペラで何か歌おうかな」と「泡沫雪」「嫌いになれない」を披露するサービス精神(?)も、れんの魅力だろう。観客に質問し、「カップルで来たの? 付き合ってどれくらい?」とコミュニケーションを取る姿も印象に残った。
Aぇ! groupに提供した「哀結び」のセルフカバーからライブは終盤。〈あなたを愛せるのは 私しかいない〉というあまりにも切実な思いを響かせる「雪庇」のあと、れんは自らの思いをゆっくりと語り始めた。ずっとサッカーに夢中だったけど、コロナ禍でサッカーができなくなり、もともと興味があった音楽を始めたこと。こうやってライブに来て、自分の音楽を聴いてくれる人がいることを奇跡のように感じていること。

「貴方たちがいないと僕は存在できない。僕に音楽をさせてくれて、ありがとうございます」「孤独な自分を救ってくれたのが音楽でした。僕の音楽を聴いてくれてる貴方にとっても、そうであってほしいなって」。そんな言葉とともに届けられたのはツアータイトルに冠された「懸想歌」。命が尽きるまで、貴方のそばにいさせてほしい。そんな思いが込められたこの曲はまちがいなく、れんが音楽を続ける根本の理由につながっていた。
アンコール1曲目の「bubble days」は撮影OK。ステージではなく、客席に登場したれんはそのままフロアを1周し、ポップな楽曲に乗って観客と直接触れ合う。
「みんな楽しかったかい? また来てくれますか!?」という声とともに届けられたラストナンバーはメジャー1stシングル「淡色の幸せ」。歌い終わった瞬間“この命が続く限り れんの幸せを守り続ける 「ありがとう、愛してる」”と書かれた紙を観客が掲げるサプライズも。そこから伝わってきたのは、れんとファンとの確かな絆だった。

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