Official髭男dism、King Gnu、back number、SEKAI NO OWARI……梅雨を彩る“雨”がテーマの楽曲たち

 じめじめとした雨の日が続く6月。外に出るのが億劫になったり、どこか気分が沈みがちになったりすることもあるが、“雨”は多くのアーティストが歌のモチーフにしており、それぞれの表現で繊細な心情を映し出してきた。

 2021年リリースのアルバム『Editorial』に収録されているOfficial髭男dismの「みどりの雨避け」は、楢﨑誠(Ba/Sax)が作詞曲を手掛けた。制作当時はコロナ禍で、お店で気軽に飲食を楽しむことも難しかった時期。もとよりよく立ち飲み屋に通っていたという楢﨑が、以前のように人々が集う風景を思い描きながら制作した本曲は、アコースティックな質感であたたかな生活感に満ちている。電車の走行音から始まり、〈下り電車に乗り継ぎ 僕の町へ帰る〉という冒頭から小さな町の情景が頭に広がっていく。弦楽器のピチカートは雨粒のように軽やかに弾け、それを優しいメロディが包み込む。特別な出来事ではなく、何気ない毎日のなかにある幸せをそっと見つめ直させてくれるような一曲だ。

みどりの雨避け

 King Gnuの「雨燦々」は、元プロサッカー選手が第二の人生を歩む姿を描いたドラマ『オールドルーキー』(2022年/TBS系)の主題歌で、彼らなりの人生賛歌だ。タイトルに含まれる“燦々”という言葉は、本来は太陽など、光がまぶしく降り注ぐさまを表現する際に用いられることが多い。一方で、本曲ではその対象が“雨”になっているのが印象的だ。雨もまた、人生を照らす光になり得る――そんなKing Gnuの視点がこの曲にはある。豊かなストリングスが重なり合うバンドサウンドは、壮大で晴れやか。〈紡ぐよ でこぼこな此の道に 降り注ぐ雨燦々と〉〈悩ましく 生き惑う僕らの/悲しみさえも 水に流してゆく〉と歌われているように、人生で避けられない苦しみや迷いさえも前向きに受け入れていく強さが感じられる。

King Gnu - 雨燦々

 雨を悲しみの象徴として描いた楽曲も数知れない。back numberの「雨と僕の話」もそのひとつだ。2019年発表のアルバム『MAGIC』に収録されたバラードで、“雨”をモチーフに失恋の痛みが繊細に描かれている。静かなピアノの音色に導かれながら紡がれるのは、雨が降るなかでの恋人との別れのシーン。〈おまけのような愛しさで 呼び止めても/傘を叩く音で 届かないだろう〉という一節には、〈君と僕〉の物語が終わってしまった瞬間のどうしようもない切なさが凝縮されている。最後の言葉も雨音によってかき消され、ふたりの関係が完全に断たれてしまう。美しいメロディに乗せて歌われるからこそ、その悲しみはいっそう胸に迫ってくる。

Ameto Bokuno Hanashi

 SEKAI NO OWARIの「RAIN」は、映画『メアリと魔女の花』(2017年)の主題歌として書き下ろされた。壮大なメロディに乗せて響くFukaseの優しい歌声は、まるで物語の語り部のよう。〈魔法は いつか解けると 僕らは知ってる〉という歌い出しは、幼少期の無邪気さが終わりを迎えることを思わせる。一方で、サビの〈虹が架かる空には雨が降ってたんだ〉〈虹はいずれ消えるけど雨は草木を育てていくんだ〉からは、困難や悲しみも人生に必要な経験であり、人を成長させる糧になるというメッセージが伝わってくる。強さを手に入れた主人公は、かつて〈君〉から差し出された傘を、最後は自ら探しに向かう。SEKAI NO OWARIらしいファンタジックな世界観を持ちながらも、人が現実を見つめながら成長していく過程を描いた一曲でもある。

SEKAI NO OWARI 「RAIN」 Short Version PV 主題歌映画「メアリと魔女の花」

 ときに悲しみを象徴し、ときに日常の温もりを映し出し、ときに人生を前へ進める力として描かれる“雨”。梅雨の季節だからこそ、こうした“雨ソング”に耳を傾けてみると、いつもの景色も少し違って見えてくるかもしれない。どんよりとした空の下でも、音楽はきっと心を晴れやかにしてくれるはずだ。

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