女性アイドルが国立競技場に立つための条件は“女性からの支持”? =LOVE、ももクロ、AKB48、櫻坂46の共通点

 =LOVEが6月20日と21日にわたってMUFGスタジアム(国立競技場)で単独公演『=LOVE STADIUM LIVE「Beyond “KYUN”♡」』を開催中だ。2017年のデビューから約9年。指原莉乃プロデュースのアイドルグループとしてスタートした彼女たちは、ホール、アリーナ、スタジアム級の会場を経て、ついに国立競技場へとたどり着いたことになる。

 国立競技場という場所は、グループの熱量がコアなファンの内側にとどまらず、より広い層へと届いていることを示すステージでもある。言い換えれば、女性アイドルが国立クラスの会場に立つためには、アイドルファンの間だけで支持される存在から、国民的な広がりを持つグループへとスケールを大きくしていく必要があるということだ。その広がりを考えるうえで見逃せないのが、同性からの支持だ。

 女性アイドルと国立競技場という組み合わせを振り返った時、まず名前が挙がるのが、ももいろクローバーZだ。2014年3月に開催された『ももクロ春の一大事2014 国立競技場大会 〜NEVER ENDING ADVENTURE 夢の向こうへ〜』は、女性グループとして初めて国立競技場で行われた単独ライブだった。

特報映像「ももクロ春の一大事2014 国立競技場大会~NEVER ENDING ADVENTURE 夢の向こうへ~」/ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER Z)

 全力で歌い、踊り、走り、時には涙を見せる。ももクロは“完成されたかわいさ”よりも、目の前のステージにすべてを出し切る姿で支持を広げていったグループだ。そこには、女性ファンにとっても共感しやすい強さがあったのだろう。憧れの対象という側面に加えて、「この子たちを応援したい」と思わせる存在感。男性ファンだけではなく、女性、子ども、家族連れまで巻き込んでいったことが、国立競技場という大きな会場に立つうえで重要な意味を持っていたように思う。

 一方で、同じ2014年3月に国立競技場で単独公演を行ったAKB48は、また異なる形で女性ファンを獲得していった。劇場公演、握手会、『選抜総選挙』を軸にしたAKB48の熱狂は、当初は男性ファンの存在が大きく見えたかもしれない。ただ、グループが国民的な広がりを持つ過程で、女性ファンにとっての入口も確実に増えていった。

 前田敦子や大島優子のようにグループの中心で物語を作ってきたメンバーがいる一方で、篠田麻里子や板野友美はファッションやビジュアルの面でも同世代の女性から支持を集めていた。歌番組や劇場公演だけでなく、雑誌やドラマ、バラエティなど、それぞれが別の場所で存在感を見せていったことも大きい。そして、楽曲と振り付けのキャッチーさ。AKB48は、同性から見ても「かわいい」「真似したい」と思えるメンバーを多く抱えたグループになっていった。

「AKB48単独 春コン in 国立競技場~思い出は全部ここに捨てていけ!~」 DVDダイジェスト映像 / AKB48[公式]

 近年の例としては、櫻坂46の存在も大きい。櫻坂46は今年4月、国立競技場で『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』を開催した。櫻坂46における女性ファンの支持は、楽曲やダンスで描かれるメッセージとも深く結びついている。孤独、不安、葛藤、再生、強くありたいという祈り。それは現代社会で誰もが持っているものである。そして、その感情を身体表現で見せる彼女たちに重なるのは、消費されるアイドル像ではない。自分の意志で立っているひとりの人間の姿や強さである。山﨑天をはじめ、ファッション誌や広告の場で存在感を見せるメンバーの活躍も、同性からの視線を広げる要素になってきた。櫻坂46の女性人気は、憧れと共闘感の両方から成り立っていると言っていいだろう。

 欅坂46時代から続く強いメッセージ性、櫻坂46として再出発してからさらに洗練されていったパフォーマンス、そしてメンバー一人ひとりが表現者としてステージに立つ緊張感。その強靭な土台をもってして行われた櫻坂46の国立競技場公演は、楽曲やパフォーマンスで磨いてきた表現の強さが、スタジアム規模の支持へとつながることを改めて示したものだった。

櫻坂46『Live Dance Performance|Choreographed by Yui Takemoto -5th YEAR ANNIVERSARY LIVE at MUFGスタジアム-』

 同じ坂道グループの乃木坂46も、国立競技場ではないものの、国内最大規模のキャパシティを誇る日産スタジアムでの2DAYS公演を成功させたグループとして触れておきたい。乃木坂46は、清楚で美しいグループイメージと、テレビ番組、そしてファッション誌との親和性によって、早い段階から女性ファンを獲得してきた。白石麻衣、西野七瀬、齋藤飛鳥をはじめ、モデルとしても活躍するメンバーが多かったことは、現在まで続く同性からの支持を広げるうえで大きかったはずだ。スタジアム級の動員には、やはりアイドルファンの枠を越えたブランドの強さが必要になるということだろう。

乃木坂46「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」2023年2月22日(水)発売決定!!

 =LOVEの国立競技場公演を考えるうえでも、女性ファンからの支持は欠かせない視点になる。=LOVEの特徴は、“かわいい”を記号として見せるのではなく、衣装、MV、歌詞、メンバーのキャラクターまでを含めて、ひとつの世界観として磨いてきたことにある。だからこそ、そのかわいさは同性から見ても受け取りやすく、女性ファンが自分の感覚で「好き」と言えるものになっていった。

 特に指原が手がける歌詞は、=LOVEの女性人気を語るうえで欠かせない。恋愛のときめきや切なさを描きながら、そこには女子同士だからこそわかる感情や、自分を少しだけ肯定してくれる言葉がある。「あの子コンプレックス」のように失恋の痛みを真正面から描く楽曲もあれば、「とくべチュ、して」のようなキャッチーさで広がっていく楽曲もある。振れ幅は大きいが、そのどちらにも、女子の感情をきれいごとだけで終わらせない、女性から女性へ向けたメッセージを宿したからこそ強くなった=LOVEらしさがある。

 女性アイドルが国立競技場に立つために、女性ファンからの支持だけが必要条件になるわけではない。だが、ももいろクローバーZ、AKB48、櫻坂46の歩みを振り返ると、スタジアム規模の支持を獲得したグループは、それぞれ異なる形で同性から支持されるべき魅力を持っていたことがわかる。そして、=LOVEもまた、“かわいい”を真正面から磨き続けることで、ファン層を着実に広げてきたグループであるということだ。

=LOVE、横浜スタジアム公演に溢れた愛が意味するもの アイドルとファンを繋ぐ“イコール”という原点

4月18日、19日に横浜スタジアムで開催された『=LOVE 8周年ツアー「=LOVE 8th ANNIVERSARY PREMI…

=LOVE 髙松瞳、新バラエティ女王の筆頭格に? 今夜放送『ドッキリGP』で再び伝説生むか

2月10日放送の『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)に=LOVEの髙松瞳が出演。髙松は昨年11月に『ドッキリG…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる