Ms.OOJAが真っ向勝負で対峙した演歌 模倣ではなく、自身の歌唱スキルで作り上げた“ENKA”の世界

Ms.OOJAが演歌カバーに挑んだ最新アルバム『Ms.ENKA ~OOJA の演歌~』。今作全体に貫かれている技法に関してまず注目すべきなのは、演歌を特徴づける歌唱法、ヴィブラートの一種である“こぶし”“うなり”を取り入れずに表現している点だろう。Ms.OOJAの“ありのままの響き”で向き合うスタイルが、先人たちに対する敬意の示し方となっている。
R&B歌手のキャリアから導き出した演歌=ENKA
このような姿勢は、サウンドアレンジにも反映されているのを感じる。原曲の旋律の抒情性を丁寧に継承しつつ、リズムに関してはモダンなノリを取り入れたものが多い。演歌、歌謡曲は、西洋音楽的なアプローチと日本土着のものを融合させたクロスオーバーな表現だ。本作のリズムアレンジや音色は、R&B、ソウルミュージック、ジャズなどの風味の度合いを高める形でのクロスオーバーの再構築となっている。
「これを自分なりのスタイルで表現したい」とMs.OOJAが胸の内で抱いた意欲、心動かされた理由、音楽リスナーとしての嗜好を、選曲を通じて想像できるのも楽しい。タイトルが『Ms.ENKA ~OOJA の演歌~』なのでテーマは演歌だが、歌謡曲、ポップスとして捉えた方が自然な曲もセレクトされている。このような中、最も「これぞ演歌」と言える作風に触れられるのが「雪國」(吉幾三)と「北の宿から」(都はるみ)だろう。降りしきる白い雪、吹きすさぶ風、冷え冷えとした空気、悲しみ、未練、孤独が狂おしく描写されるこの2曲は、演歌として多くの人がイメージするであろう要素が満載されている。「彼女が歌うとこうなるんだ!」という新鮮さをストレートに感じられるのも、この2曲だと思う。“こぶし”や“うなり”を駆使することなく“Ms.OOJA”であり続けながら、弱さ、痛み、儚さが入り混じった心情を映し出す“演歌”へと到達する表現にぜひ存分に浸っていただきたい。
演歌を含む日本独自の音楽様式を幅広く包括する“歌謡曲”へのアプローチも刺激的だ。アルバムの1曲目「愛燦燦」(美空ひばり)は、聴いた瞬間に胸がいっぱいになる。ジャズ、ブギなど、海外の音楽も血肉化しながら唯一無二の表現を確立し、些末なジャンル分けを瞬時に無効化する絶対的な音の響き“美空ひばりの歌”を聴衆に届けた「愛燦燦」の旋律、歌詞が、Ms.OOJAの声による新たな生命を得て喜んでいるのを感じる。
そして、「雨の慕情」(八代亜紀)と「氷雨」(日野美歌)は、昭和から平成に移り変わる少し手前頃の名曲。海外のポップスが日常的に聴かれ、ロックやフォークの他、当時ニューミュージックと称された音楽も支持されるようになった中、演歌、歌謡曲にもその影響が及んだのがこの頃だ。演歌と歌謡曲が地続きとなっている「人生いろいろ」(島倉千代子)。数々の大ヒット曲を世に送り出したゴールデンコンビーー作詞:松本隆・作曲:大瀧詠一による「冬のリヴィエラ」(森進一)。作曲:玉置浩二による「無言坂」(香西かおり)のようなポップス、ロックの風味が香る曲は、この頃の国内音楽シーンの活気も伝える。
テレビの中の芸能界とはまた別の形で成熟を重ねてきた大衆演劇のスターが歌った「夢芝居」(梅沢富美男)。韓国の大衆歌謡“トロット”の風味を漂わせる「べサメムーチョ」(桂銀淑)が選曲されているのも興味深い。70年代、80年代を経ることでヒットチャートの多様性が加速。古今東西の多彩な要素を取り入れながら独自性を一際増していった日本の音楽が90年代に入ってからJ-POPと称されるようになっていった背景も、これらの曲から感じ取れる。本作での演歌、歌謡曲のカバーは、ブラックミュージックへの敬愛をJ-POPとして開花させるMs.OOJAと相通ずる意欲を抱いた先人たちの軌跡を辿る旅でもあったーーそんな言い方もできるのかもしれない。
ラストを飾る「冬隣」(ちあきなおみ)は、「よくぞこの曲を!」と思っている人が少なからずいるのでは? 「昭和から平成初期にかけての日本を代表する偉大な歌手の1人」と称しても異論を唱える人はおそらくいないであろう、ちあきなおみ。代表曲を挙げるのならば「喝采」「夜へ急ぐ人」「紅とんぼ」「夜間飛行」などになるのだろう。「冬隣」はシングル曲ではなく、ヒットを記録したわけでもない。しかし、一度でも耳にした人は心奪われて、忘れられない歌として心に刻む。所謂「知る人ぞ知る名曲」が「冬隣」だ。「べサメムーチョ」も手掛けている杉本眞人のライブで聴いて胸打たれた後、ちあきの「冬隣」も聴いて感銘をさらに深めたのだというMs.OOJA。この曲が、今回のアルバムの制作を後押しする契機となった旨が、様々なインタビューで語られている。大切だからこそ尽きない悲しみ、眠れない夜に募る寂しさ、〈あなたを怨んで 呑んでます〉という言葉から滲む愛……全てを言葉にすることはできない感情の描写に挑むこの曲のカバーは、デビューから15年の中で彼女が育んできた表現力、尽きることのない歌への情熱も伝えてくれる。
長々と綴ってしまったが……再生ボタンを押したら、ひたすら楽しい時間が続くのが本作だ。難しいことは考えずに「良い歌だなあ」と無邪気で平和な時間を過ごすに限る。そして、Ms.OOJAのカバーに心動かされたならば、原曲を聴くのも強くお勧めしたい。ありがたいことに、各種音楽配信サービスによって新旧の名曲をすぐに聴ける世の中になっている。「ガラパゴス」などと度々揶揄される日本の音楽シーンだが、先人たちの試行錯誤と探求心によって育まれてきたものは、とても大きくて深い。そんなことも『Ms.ENKA ~OOJA の演歌~』を聴くと実感させられる。
■Ms.OOJA 15周年特設サイト
https://msooja.jp/page/15th/


■リリース情報
『Ms.ENKA〜OOJA の演歌〜』
2026年4月22日(水)リリース
購入予約リンク:https://msooja.lnk.to/MSENKA_CD
<通常盤>
価格:3,520円(税込)
品番:UMCK-1826(CD Only)
<CD>(曲順未定)※通常盤・UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤共通
・愛燦燦 / 美空ひばり(1986)
・雨の慕情 / 八代亜紀(1980)
・北の宿から / 都はるみ(1975)
・氷雨 / 日野美歌(1982)
・人生いろいろ / 島倉千代子(1987)
・冬隣 / ちあきなおみ(1988)
・冬のリヴィエラ / 森進一(1982)
・べサメ・ムーチョ / 桂銀淑(1940)
・無言坂 / 香西かおり(1993)
・雪國 / 吉幾三(1986)
・夢芝居 / 梅沢富美男(1982)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤>
価格:13,200円(税込)
品番:PDCS-194
2CD+Blu-ray+GOODS
仕様:見開きLPサイズジャケット仕様
※商品は数量限定。
UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤 Disc-2 ライブ CD
2025.8.8(fri)Billboard Live Summer Tour 2025 @Billboard Live YOKOHAMA
1. 夏をあきらめて
2. 恋人も濡れる街角
3. Last Night
4. Purple Haze
5. 優しい雨
6. まだ知らないストーリー
7. Ti Amo
8. 最後の雨
9. 雨の慕情
10. 30
11. 40
12. Be...
13. 最終回
UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤 Disc-3 Blu-ray
2025.6.22(sun)流しのOOJA 総集編 TOUR Final @明治座公演
1.異邦人
2.ルビーの指輪
3.ワインレッドの心
4.恋人も濡れる街角
5.真夜中のドア
6.プラスティック・ラブ
7.みずいろの雨
8.勝手にしやがれ
9.六本木純情派
10.飾りじゃないのよ涙は
11.フライディ・チャイナタウン
12.Woman
13.恋におちて
14.つぐない
15.駅
16.木枯らしに抱かれて
17.メモリーグラス
18.ダンシング・オールナイト
19.青春の影
20.恋
21.瑠璃色の地球
22.さよならの向う側
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤 GOODS>
・Ms.OOJA オリジナルアクリルスタンド
・Ms.ENKA オリジナルバンダナ
■イベント情報
Ms.OOJA『Ms.ENKA〜OOJAの演歌〜』リリース記念全国フリーライブ
“Ms.ENKA 〜OOJAの演歌〜をあなたの街に歌いに行きますツアー!”
2026年4月25日(土)関西某所
2026年4月26日(日)関西某所
2026年5月2日(土)関西某所
※全国20カ所にてフリーライブを開催予定
■ライブ情報
『Ms.OOJA 明治座公演2026』
会場:東京明治座
日時:2026年6月7日(日)
開場:17:00/開演:18:00
『Ms.OOJA OFFICIAL FANCLUB EVENT 〜おじゃファミ会 vol.5〜』
<全曲リクエストライブ>
来場の方々からMs.OOJAがステージ上で抽選をして、当選された方がMs.OOJAに歌って欲しい曲を(Ms.OOJA名義でリリースしている曲に限る。)リクエスト頂き、その場で歌う。おじゃファミ会Liveだけの特別企画です。
2025年12月7日(日) 愛知・THE BOTTOM LINE
2025年12/14日(日)神奈川・横浜赤レンガホール(横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール)
w/エアトリ presents 毎日がクリスマス 2025
2026年1月11日(日)北海道・ジャスマックプラザ ザナドゥ
2026年1月24日(日)福岡・ROOMS
2026年1月25日(日)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
詳細:https://msooja.jp
■関連リンク
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