『超いきものがかりフェス』Day1で分かち合った20年分の宝物 槇原敬之やJUJU、上白石萌音らとこの日限りのコラボも

『超いきものがかりフェス』初日レポ

 夕刻になり、『超いきものがかりフェス』の会場を大人の色香とドラマチックな楽曲で包み込んだのは、JUJU。観客の温かな拍手に迎えられ、「やさしさで溢れるように」でスタートしたオープニングは、とても大きな愛に満ちていた。JUJUは伸びやかな歌声を響かせながら、ステージの端までピンヒールで颯爽と歩みを進め、観客に手を振った。MCでは「私はフェスに向かないタイプですが、呼んでいただいて、とても楽しみにしていました。今日はこれまでのJUJUをキュッとまとめたメドレーを作ってきました」と、「ラストシーン」から「明日がくるなら」、「PLAYBACK」などを含むメドレーを披露。華やかに、クールに、次々と変わる曲調で彼女の歩みを辿るようなひとときを演出した。さらに、3月18日にリリースするカバーアルバム『昭和洋楽 純喫茶JUJU「時間旅行」produced by 松任谷正隆』から「Superstar」を披露。カバーを歌うことで浮き彫りになるのはJUJUの声にしかない唯一無二の色と、グッドメロディの歌い手としての卓越した表現力だ。最後に、いきものがかりと歌番組で初共演した20年前は「不安でいっぱいだった」と語り、その時に歌った「奇跡を望むなら…」を届けてくれた。時を重ねた今、同じステージで共演しながら、これまでの歴史を振り返る。その温かな想いが音楽になってフェスならではの幸福な光景として観客の胸に深く刻まれた。

『超いきものがかりフェス』初日写真
JUJU(写真=堤瑛史)

『超いきものがかりフェス』初日写真

 各アーティストの転換中にも趣向を凝らした企画が充実。司会のベッキーが登場し、上白石萌音、アイナ・ジ・エンド、JUJU、吉岡聖恵による華やかな女子トークや、スキマスイッチ、槇原敬之、水野良樹による男性陣のわちゃわちゃトークも見どころだった。突如、センターステージに登場したのはスーツで正装したバカリズムと水野。何らかの授賞式を思わせるコミカルな演出で感動を煽り、「多目的スペースのバラード」を歌唱すると、会場は笑いと温かい拍手に包まれた。

『超いきものがかりフェス』初日写真
バカリズム(写真=谷本将典)

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 フェスも終盤に差し掛かり、槇原敬之のステージだ。1曲目の「もう恋なんてしない」から観客は総立ち。この声、このメロディ、耳にすれば条件反射的に蘇る思い出たち。時代を超える名曲が持つ力、そして音楽の良さが全部詰まったような安心感と存在感はさすが。MCで「こんなに素敵なフェスに呼んでいただけて心から感謝しております」と語ると、新曲「夢でよかった」を披露。その後は、いきものがかりの二人を呼び込んで、本間昭光、トオミヨウと共に「YELL」をセッション。槇原の声に、吉岡の声が重なる極上のハーモニーが何とも贅沢。水野は「こんな日が来るんですね」、吉岡は「夢みたい」とそれぞれに感動を言葉にすると、槇原は「こちらこそありがとうございます」とにこやかに答えた。コラボが終わると、「Sakura Melody」「遠く遠く」「僕が一番欲しかったもの」などを惜しみなく披露。特に、観客が手を左右に振って盛り上がった「遠く遠く」では、ずっと愛されてきた名曲に新しい思い出が加わったような景色だった。〈大事なのは/“変わってくこと”/“変わらずにいること”〉という歌詞が、槇原からいきものがかりへのエールのようで、心に深く響いた。

『超いきものがかりフェス』初日写真
槇原敬之(写真=白重聡一郎)

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 そしていよいよ、本日最後のアクト。いきものがかりのライブは「ありがとう」から始まった。会場いっぱいにペンライトが揺れるなか、吉岡が〈“ありがとう”って伝えたくて〉というフレーズを丁寧に、輝かしい歌声で届ける。胸いっぱいの幕開けだ。続く「キミがいる」では、吉岡が明るく元気に場内を動き回りながら「皆さん行けますかー!」「行くよっ!」と声をかけるたびに、会場いっぱいの観客が踊ったりジャンプしたりする凄まじい一体感を発揮。この20年、多くの歌い手が登場したが、吉岡聖恵はやっぱり唯一無二のパフォーマーであることを改めて知らしめる光景だった。

『超いきものがかりフェス』初日写真
吉岡聖恵(いきものがかり/写真=谷本将典)
『超いきものがかりフェス』初日写真
水野良樹(いきものがかり/写真=谷本将典)

 ここからはゲストとの夢の共演が続く。まず始めにアイナ・ジ・エンドを呼び込んで「コイスルオトメ」を披露。吉岡とアイナが並び、恋をするときの感情を熱く歌い上げる姿は、青春を送った時代や異なる環境を全部飛び越えた、たったひとつの純情でしかなくて心を揺さぶられた。続いてJUJUとは「SAKURA」を披露。JUJUの声で歌うことで、楽曲に新たな主人公像やドラマが宿り、普遍的なポップソングが持つ無限の可能性を提示するセッションとなった。これには水野も「(曲への)思い入れが更新される感じで嬉しいね」と語っていた。

 そして上白石萌音と「帰りたくなったよ」を披露すると、吉岡が「二人の声が揃って一緒になっちゃって!」と言っていたほど、息ぴったり。最後にスキマスイッチと「風が吹いている」をセッション。大橋のナチュラルな歌唱に「歌い出し、カッコよかったですね! 私はいつも意気込んじゃうから」と吉岡が羨望の眼差しを向けていたのも微笑ましかった。『いきものがかり meets』同様、他者と交わることで楽曲の本質的な強さと新たな魅力が浮き彫りになる、このフェスならではのスペシャルな時間だった。

 そこからは再び、いきものがかりのライブとして、「気まぐれロマンティック」「ブルーバード」「うるわしきひと」「じょいふる」とライブの定番曲をパワフルに畳みかけていく。特に「じょいふる」はこの20周年の祝祭にふさわしいアッパーチューンで、デビュー当時から水野のヒットメーカーとしての手腕もさることながら、彼がこんな曲を生み出せたのは、やはり吉岡聖恵という類稀なるシンガーが隣にいたからなのだろう。

『超いきものがかりフェス』初日写真

 お祭り騒ぎが絶頂を迎えるなか、最後はセンターステージへ。吉岡が「ここから先へと進んでいく勇気を今日はたくさんもらいました」と感謝を口にすると、水野は「デビュー当日の夜、会議室に集まって紙コップで乾杯したことを今でも覚えています。デビューアルバムに入っている曲を最後に聴いてください」と語りかけ、「タユムコトナキナガレノナカデ」を届けてくれた。20年が経った今も、宝物だと思える音楽がここにはたくさんあった。それをこうしてたくさんの人と分かち合えることはなんて幸せなことだろう。彼らの始まりと、これまでの歩みを感じさせてくれる素晴らしいフィナーレ。全ての観客を楽しさと感動の渦で巻き込んだ『超いきものがかりフェス』の初日、主催である水野と吉岡の遊び心と感謝が、隅々までギュッと詰まっていた。

(3月15日公演のライブレポートも近日公開)

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