ミン・ヒジン新会社設立、イ・スマン復帰などで揺れるK-POPシーン “どこが”ではなく“誰が”作るかが注目される時代に?

 2026年、プロデューサー/アートディレクターとして独自の世界観を築いてきたミン・ヒジンが新会社「ooak records」を始動させる。さらに、かつてミン・ヒジンが所属していたSM ENTERTAINMENTの創業者であるイ・スマンも経営権売却後に課されていた活動制限の解除をまもなく迎えるとされている。今年、業界の勢力図はどう動くのだろうか。大手事務所中心の構造から、“プロデューサー主導型レーベル”の時代へと細分化が進んでいく流れがあるのだろうか?

 
 
 
 
 
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 2025年にK-POP界で最も目立ったトピックのひとつが、YG ENTERTAINMENTの看板プロデューサーだったTEDDYことテディ・パークによる新設レーベル「THE BLACK LABEL」の台頭だろう。昨年韓国の音源チャートで最も存在感を見せた新人グループと言ってもいいALL DAY PROJECTを生み出し、Netflix歴代最多ビュー数を叩き出した『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(Netflix)の作中曲で、世界中の音源チャートを制した「GOLDEN」「Soda Pop」などの楽曲の制作に携わっている。YG ENTERTAINMENTの一時代を築いたプロデューサーたちが独立し、その中でも独自の色を強めた「THE BLACK LABEL」は、音楽的カラーとビジュアル戦略を一貫して打ち出してプロデューサー単位でファンを獲得している先鋒と言える。かつては大手事務所の看板が絶対的な信頼の証だったが、今は“誰が作るか”という部分がより注目される時代となってきているのかもしれない。

 実際、この流れは最近に始まったものではない。現在HYBEの中核レーベルとも言える「BIGHIT MUSIC」は、もともとはJYP Entertainmentで2000年代初頭にg.o.dのプロデュースを手がけたバン・シヒョクが設立し、のちに巨大企業へと成長した例だ。他にも、中規模事務所として独自路線を築き、後にHYBEミュージックグループレーベルとなったLE SSERAFIMを擁するSOURCE MUSICの創設者であるソ・ソンジンもSM ENTERTAINMENTとJYP Entertainmentを経て会社を設立しており、SEVENTEENやTWSが所属するPLEDIS Entertainmentのハン・ソンスはかつてBoAのマネージャーをだったことで知られている。大手事務所で経験を積んだ人材が独立し、事務所を作る循環はすでに存在していた。

 そういった歴史を踏まえた上で、ミン・ヒジンが新会社を設立した意味は大きい。彼女はコンセプト設計からビジュアル、マーケティングまでを統合する“総合演出型”プロデューサーだと言えるだろう。もし「ooak records」がアーティスト発掘から制作、ブランディングまでを一気通貫で行う体制を整えれば、従来の分業型システムとは異なる俊敏さを発揮する可能性がある。特にデジタル時代においては、世界観の明確さがSNS拡散力と直結する。小規模でもその世界観が多くの人々に刺さることでグローバルで戦える土壌は整っている。

 SM ENTERTAINMENT創業者であるイ・スマンの動向も注目すべきだろう。もし彼が再び制作の最前線に立つなら、長年培ってきたグローバルネットワークやトレーニングシステムのノウハウが新会社・A2O Entertainmentに注がれる可能性がある。イ・スマンは現在のK-POPのシステム産業化を推進した人物であり、もし再始動するのであれば、それは単なる復帰以上の意味を持つのかもしれない。既存のSM ENTERTAINMENTとは別軸で動けば、市場はさらに分散し、アーティストの選択肢も広がる可能性がある。

 果たして、K-POPシーンは細分化へ向かうのか、それとも再統合が進むのか。おそらく答えは“両立”だろう。制作はプロデューサー単位で細分化し、資本や流通は大手が握るハイブリッド型が主流になる可能性が高い。HYBEはマルチレーベル体制で多様な色を内包しながらグローバル流通網を統括しているが、このようなモデルが今後はさらに増えるかもしれない。IVEを擁するSTARSHIP Entertainmentも、ITメディア大手のKakao Entertainmentの傘下に入っている。「売れた中小企業が大手の支援を受けるために傘下に入る」という様式は、芸能界に限らず韓国におけるビジネスの定型のひとつとされており、よく言えば「才能のある中小企業を大手が資本で支える」とも言える。だが一方で、頭角を現した中小企業が最終的には大手企業に吸収されてしまうケースやそうならざるを得えない経済状況になりやすいということでもあり、韓国で中小企業が育ちにくい要因のひとつともされている。

 2010年代のK-POPは、大手3社中心が並んで切磋琢磨していく構造から、HYBEの拡大、グローバル資本の流入を経て進化してきた。そして今、プロデューサー個人の創造力が再び前面に出る局面を迎えているのかもしれない。ミン・ヒジンの「ooak records」始動、イ・スマンの活動制限解除、そしてTEDDYによる「THE BLACK LABEL」の存在感。これらが交錯することで、大手と独立系、資本と創造性が両立するような起爆剤としての“クリエイターの時代”到来を期待したい。

 
 
 
 
 
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