韓国の年末歌謡祭ハイライトから、“ドバイ・チョンドゥク・クッキー”まで……韓国トレンドレポート 2026年1月号
K-POPや韓国ドラマにとどまらず、2026年の韓国カルチャーはアート、ファッション、フード、ストリートまで多彩な分野を横断し、グローバルでの存在感をさらに強めている。この連載では音楽・ファッション・食が交差する“今”の韓国を毎月スナップしていく。
2025年最後の月のイシューを扱った今号では、韓国の年末歌謡祭文化と話題になったステージの話、ドバイチョコレートを韓国式に再解釈して誕生させたデザート「ドバイ・チョンドゥク・クッキー」の大流行、ZICOと幾田りらによる日韓コラボ、ドラマ『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』10周年リユニオン、そしてハイエンドファッションとバトルロイヤルゲームの境界を崩した『PUBG: BATTLEGROUNDS』の新たな試みまで、注目すべき5つのトピックを通じて韓国カルチャーの最前線を解読する。
韓国の年末歌謡祭、放送3社が織りなすK-POPのスペクタクルとfromis_9の再発見
日本に『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)や『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)があるように、韓国には地上波3社(SBS、KBS、MBC)が主催する『SBS歌謡大典』『KBS歌謡大祝祭』『MBC歌謡大祭典』という盛大な祭典がある。これらは単なる授賞式を超え、K-POPの一年を総決算するショーケースの場だ。所属事務所の壁を越えたユニットステージや、先輩・後輩間でのカバーステージなど、普段の音楽番組では見られない「一夜限りのスペシャルステージ」も見どころ。
今年の『SBS歌謡大戦』ではLEESEO(IVE)、KYUJIN(NMIXX)、HONG EUNCHAE(LE SSERAFIM)がBLACKPINKの「Pretty Savage」をカバーし、『MBC歌謡大祭典』ではIAN(Hearts2Hearts)、JEEMIN(izna)、WONHEE(ILLIT)がそれぞれ先輩たちの名曲を歌い、次世代アイコンとしての存在感を刻印させた。しかし、華やかなラインナップの中で特に注目を集めたのが、デビュー9年目のfromis_9だった。『KBS歌謡大祝祭』にてAOAの2014年のヒット曲「ミニスカート(Miniskirt)」をカバーし、普段の清涼なイメージを一変。TikTokでのリバイバルヒットを機敏に取り入れ、確かな実力で魅せたステージは、各種コミュニティを熱くさせるのに十分だった。
一方、放送局ではなく韓国最大の音源プラットフォームMelonが主催する『MMA2025 (The 17th MelOn Music Awards)』もまた、K-POPファンの耳目を集中させた。今年は8年ぶりに同イベントに出演しヒット曲メドレーで観客を熱狂させたEXOを筆頭に、グローバルアイコンG-DRAGONとJENNIE、aespaなどがステージを圧倒した。加えて注目の新人であるALLDAY PROJECT、Hearts2Heartsをはじめ、シンガーソングライターWOODZ、HANRORO、10CMなどジャンルを網羅したラインナップは、2025年の韓国音楽界の多様性を見せる指標となった。
ZICO × 幾田りら、言語と国境を越えた共鳴「DUET」
ラッパー兼プロデューサー、そしてHYBE傘下レーベルKOZ ENTERTAINMENTの設立者であるZICOが、日本を代表するユニットYOASOBIのボーカルikuraとしても活躍する幾田りらと手を組んだ。12月19日にリリースされたコラボシングル「DUET」は、発売直後から日韓両国で話題を集め、両アーティストのブランドパワーを証明した。
今や日韓アーティストのコラボレーションは珍しいことではないが、今回の出会いはその深さが格別だ。ZICOは学生時代、東京で留学生活を送っており、日本の文化や言語的ニュアンスを完璧に体得している。一方、幾田は10年間ソロアーティストとしても活動を続けており、12月には『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にソロとして初出場したほか、2026年には韓国での初単独コンサートまで予告するなど、活動範囲を精力的に拡張している。
こうした背景を持つ二人が出会った「DUET」は、単なるフィーチャリングの域を超えている。ZICOの感覚的でグルーヴィーなビートの上に乗せられた幾田の透明で叙情的なボーカルは、互いの言語が持つ質感を損なうことなく完璧に融合する。二人は『MMA2025 (The 17th MelOn Music Awards)』でも共に登場し、特別なコラボステージを披露して話題をさらった。
『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』10周年、双門洞の思い出が現在に召喚される
2015年の放映当時、最高視聴率18.8%という高視聴率を記録し、韓国社会に巨大な「レトロブーム」を巻き起こしたシン・ウォンホ監督の傑作『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』が放送10周年を迎えた。日本でもNetflixなどのOTTを通じて長く愛され続けている本作のキャストたちが、10周年記念のリユニオン・コンテンツを通じて再集結した。
今回の再会がもたらす感動の重みは格別だ。パク・ボゴム、ヘリ、リュ・ジュンヨル、コ・ギョンピョ、イ・ドンフィら、放映当時は新鋭だった俳優たちは、10年が過ぎた今、韓国映画・ドラマ界を支える存在へと成長した。特に話題を集めたのは、劇中で皆に愛された末っ子ジンジュ役、キム・ソルのサプライズ登場だった。大きなキャンディを頬張っていたあの幼い少女が、いつの間にか背も伸び、清楚な中学生になって現れると現場はどよめきに包まれた。キャスト陣は「当時の感情が蘇った。想像もできなかった」と深い感慨に浸り、特に劇中で兄役を演じたコ・ギョンピョとのツーショットは、ドラマの続きを見ているような温かい感動を呼んだ(※1)。
彼らは撮影当時のビハインドストーリーを語るにとどまらず、10周年を記念してドラマの感動を蘇らせるOSTの再レコーディングまで行った。この特別なコンテンツは単なる同窓会を超え、家族や隣人の情が生きていた1988年の双門洞(サンムンドン)の温もりを、2025年の冷たい冬に再び届けてくれている。
“ドバイチョコレート”の韓国式進化、「ドバイ・チョンドゥク・クッキー」シンドローム
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世界的なドバイチョコレートブームは、韓国特有の食感への執着と結びつき「ドバイもちもちクッキー(ドゥチョンク)」へと進化した。「チョンドゥク(もちもち)」の名が示す通り、マシュマロで具材を包んだこの変種は、既存のレシピを“食感の楽しさ”のために大胆に再構築した韓国流の“発明品”だ。
構造は聴覚と味覚を同時に刺激するよう設計されている。バターで炒めたサクサクのカダイフと濃厚なピスタチオクリームを、もちもちのマシュマロ生地で包み込む。「モントクッキー」というお店が元祖と言われており、その強烈な食感が口コミで拡散し、取扱店が急増する中、IVEのWONYOUNG、キム・セジョン、WOODZ、iznaのJEEMIN、RIIZEのSUNGCHANらトップアイドルの投稿が火付け役となり、爆発的なトレンドとなった。
その人気は熱狂的だ。氷点下での「オープンラン(開店待ち)」はもちろん、民間開発者による「ドゥチョンクマップ」というサイトも登場し、一つの社会現象となっている。入手困難ゆえに自宅で大量生産する方法を紹介する動画も人気を集めている。この過熱ぶりは、韓国のトレンドがいかに速く、強力に、そして時には奇形的に消費されるかを物語る象徴的な断面でもあるだろう。
『PUBG』 × 『Balenciaga』、戦場に上陸したハイエンド・クチュール
バトルロイヤルというジャンルを定着させた『PUBG: BATTLEGROUNDS』が、ラグジュアリーファッションブランド『Balenciaga』と手を組んだ。これまでK-POPグループやスーパーカーブランドとのコラボはあったが、ラグジュアリーファッションブランドとの協業は今回が初となる。
この異色な結合はゲーム体験を一変させた。「Couture Armor」セットはBalenciagaがパリで開催した第52回クチュールショーで披露した3Dプリントのアーマークチュールに着想を得たもの。そのほか「Winter 25 Corseted Hoodie」セット、「Winter 25 Pink Puffer」セット、「Winter 25 Standard」セットなどBalenciagaの2025年冬のコレクションを再解釈したルックが登場するなど、『PUBG』の生存本能と『Balenciaga』の前衛的美学が絶妙に融合した。
コラボは現実世界にも拡張している。7カ国でTシャツなどの限定カプセルコレクションが発売された一方、お金では買えないチャンピオン・エディションも存在感を示した。12月のバンコク世界大会優勝チームには、コラボ限定ボンバージャケットが授与されたのだ。世界でごく少数のみが所有できるこのジャケットは、仮想世界の勝利が現実の戦利品へと置換された象徴的な瞬間を生み出した。
※1:https://www.mk.co.kr/jp/broadcasting-service/11588948
























