『閃光のハサウェイ』×Guns N' Rosesは必然の組み合わせ? Oasisら相次ぐ洋楽レジェンド主題歌がもたらすもの
Guns N' Roses代表曲の主題歌起用が思い起こさせること
2026年1月30日、映画館の暗闇の中で静寂を切り裂いたのは、あのあまりにも有名なギターリフだった。映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。その物語が幕を閉じる瞬間に響き渡ったGuns N' Rosesの「Sweet Child O'Mine」は、我々の耳に単なる衝撃以上の余韻を残した。宇宙世紀という遥か未来の、それも救いのない戦場を描いた物語に、1980年代を象徴する泥臭くも華やかなハードロックが重なる。この一見すると大胆不敵な邂逅は、物語の幕が下りる頃には、観客の心に強烈な必然性を刻み込んでいた。
今、日本の映画やドラマなどの映像作品において、こうした洋楽レジェンドの代表曲や新曲を作品の顔として据える動きが力強いうねりとなって押し寄せている。
こうしたトレンドを語る上で、私たちは一つの原体験を思い出さずにはいられない。2004年の木村拓哉主演ドラマ『プライド』(フジテレビ系)におけるQueenの起用だ。アイスホッケーに情熱を燃やす男たちの姿に、フレディ・マーキュリーの突き抜けるような歌声による「I Was Born To Love You」が重なった瞬間のカタルシス。あの熱狂的なシナジーは、単に有名な楽曲をBGMとして流すという次元を超えていた。ドラマの持つスピード感、主人公が抱く不器用な「プライド」、そしてQueenが放つ圧倒的な肯定力ーーそれらが三位一体となって、楽曲そのものがドラマの魂の一部として血肉化されていたのだ。
The Rolling Stones×『うちの弁護士は手がかかる』(2023年)
そして近年再び、あの『プライド』の時代を彷彿とさせるような贅沢なタイアップが相次いでいる。まず、2023年のドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)主題歌へのThe Rolling Stonesの起用だ。驚くべきは、それが18年ぶりのアルバム『Hackney Diamonds』からの先行シングル曲「Angry」であった点で、ムロツヨシ演じるパラリーガルの軽妙かつ泥臭い奮闘に、ベテランの余裕とロックンロールの毒気を加えた。80歳を超えてなお色気を失わないミック・ジャガー(Vo)の歌声は、コミカルな法廷劇に一筋縄ではいかない大人の品格という最高のスパイスを添えたのだ。
Bon Jovi×『ブルーモーメント』(2024年)
また翌2024年のドラマ『ブルーモーメント』(フジテレビ系)では、Bon Joviの新曲「Legendary」(アルバム『Forever』からの先行シングル曲)がその役割を引き継いだ。ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)の包容力ある歌声と、スタジアムロックらしい「共に立ち上がろう」という連帯のメッセージが、気象災害から命を救う英雄たちの物語と重なった。劇中で空を仰ぐ登場人物たちの視線と、新作でありながら一聴してBon Joviだとわかる伝説の“署名”が刻まれた高揚感溢れる楽曲がシンクロした瞬間、『ブルーモーメント』は世界に通用するヒューマンドラマとしてのスケールを獲得したのだ。
Oasis×『しあわせな結婚』(2025年)
さらに2025年、ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)の主題歌にOasis「Don't Look Back in Anger」が選ばれたことも音楽ファンを唸らせた。本作は、阿部サダヲ演じる50歳の弁護士・原田幸太郎と、松たか子演じるミステリアスな美術教師・鈴木ネルラの電撃結婚から始まる“マリッジ・サスペンス”だ。徐々に浮かび上がる15年前の殺人事件という重い十字架を主軸にした、愛と疑惑が複雑に絡み合う大人たちのドロドロとした物語に、あえて“赦し”や“超越”を予感させるUKロックのアンセムをぶつける。そのギャップこそが、ドラマを単なるサスペンスから、より普遍的な“人間の性(さが)”を問う物語へと昇華させている。
このように、日本特有の奥ゆかしさや緻密な心理描写はそのままに、ドラマや映画の内包する普遍的なテーマが“世界共通の人間賛歌”にも重なった。レジェンドバンドの楽曲と結びついたとき、物語はドメスティックな枠を飛び越え、国境を越えて魂を揺さぶるスケールを獲得する。今回取り上げた作品のように、イントロを聴いただけで名シーンが思い出されるような抜群の相乗効果(シナジー)を持った映像作品と海外レジェンドアーティスト楽曲によるタッグが、これからも数多く生まれることに期待したい。


























