HACHI、決死の存在証明アルバム『Revealia』完成 「もう大丈夫」――自己開示を乗り越えた先に得たもの

HACHI、決死の存在証明『Revealia』

 HACHIが4thアルバム『Revealia』を完成させた。『for ASTRA.』のリリースから1年と少しの歳月で彼女が向き合った自分自身、そしてそれを経た現在地を巡る14の楽曲が収録されている。初めて明かす“HACHI”、初めて見せる自分――そんなものとHACHI自身が深く向き合い、傷つきながら、それでも歌にしようとまっすぐに進んだ先に生まれた作品である。

 そんな決死の覚悟のもとに誕生した『Revealia』。今作が一体今のHACHIにとって、そしてこれからのHACHIにとってどのような意味を持つアルバムになっていくのか。そのドキュメントをじっくり聞かせてもらった。(編集部)

「人が私のまわりから離れていくのが怖かった」――自己開示の決意

――HACHIさんは、2024年11月にアルバム『for ASTRA.』でメジャーデビューをされて約1年3カ月が経ちます。ここまでの活動を振り返って、どのような手応えを感じていますか?

HACHI:これまでは、バーチャルを好んでいるリスナーさんに歌を届けている感覚が強かったのですが、メジャーデビューを機にVtuber界隈ではない方にも、HACHIを知っていただく機会が増えまして。ラジオで知ってくれた方とか、TVアニメ『SHIBUYA♡HACHI』(テレビ東京)さんの主題歌(「Dusk」「Brand New Episode」)を担当させていただいたことで、私のYouTubeチャンネルに遊びにきてくれた方もいらっしゃって。活動の幅というか、リーチできる層が大きく広がったと感じています。

――メジャーデビュー以降にHACHIさんを知った方からは、どんな印象を持たれていますか?

HACHI:すごく不思議なんですけど、歌だけ聴くとかなりクールな人に思えるらしいんです。だけど、そのイメージを持ったまま普段の配信に遊びにきてくださると、私がとんでもなく大きな声で笑ったりするので「実は、面白いお姉さんなんだ!」って(笑)。

――ははははは。

HACHI:そのギャップに驚かれる方が多いですね。楽曲に影響が出そうなくらい、オモシロお姉さんの印象が強くなっている気がします(笑)。

――(笑)。HACHIさん自身は、心境の変化はあります?

HACHI:やっぱり“メジャーデビュー”という言葉のプレッシャーが大きくて。その前も音楽から離れる気は一切なかったですけど、メジャーデビューをしたことによって、音楽の道で生きていく腹が決まったというか。「腰を据えてしっかりやっていくぞ」と覚悟が決まりましたね。

――そんなHACHIさんは、メジャーデビューから2枚目となるアルバムをリリースされます。『for ASTRA.』は「まだ見ぬ存在に自分の何かを届ける」というコンセプトや「自分が生きた証を残したい」という思いがあったそうですが、今回はどんな思いで制作されたんでしょう?

HACHI:今回のアルバムタイトルは、打ち明けるという意味を持つ英語“Reveal”に、主にラテン語が由来の場所、世界、概念を表す接尾辞「〜ia」を組み合わせた造語で『Revealia』=“リヴィーリア”と読みます。自分の深層心理――私が今まで思っていたこと、感じていたこと、好きだったこと、ツラかったことが全部詰め込まれている“自己開示”の一枚になります。

――アルバムのコンセプトテーマを“自己開示”にしようと思われたのはどうして?

HACHI:大きなスランプに陥ったことがあって。そのきっかけというのが、自分の歌がわからなくなった時があったんです。活動を始めた当初は、自分の好きなように音楽を楽しんで、その姿を見て好きになってくれる人がいればそれでいいな、と思っていたんです。だけど、そこに澱みが生まれたんですよね。

――澱みですか?

HACHI:「嫌われたくない」「人に離れてほしくない」って感情が沸々と湧いて、まわりの反応を窺うようになっちゃったんです。「こういう音楽が好きかな」とか、トレンドの曲をいっぱい聴いて「これは受け入れられないかな?」と悩んだり。自分の好きだった音楽、好きな歌い方がわからなくなっちゃって。まわりが考える“HACHI像”にとらわれて、そっちに合わせようとしてる自分がいました。それがいちばんツラくて、気づけばスランプになってしまったんです。そもそも自己開示をしようと思ったのは、私は「あなたの心に寄り添う」を主軸に置いて活動してきたんですけど、今までリスナーのみんなに自分のパーソナルな話を全然してこなかったんですよね。自分の話を聞いてもらうよりも「歌を聴いてほしい」と思って活動していた。さらに遡ると、音楽を始める前も自分のことをまわりに話すのが苦手だったんですよね。

――それはどうして?

HACHI:自分の好きなものとか、抱えている悩みを否定されるのが怖かったんです。そして、人が私のまわりから離れていくのが怖かった。だから自分の話はあまりしないようにして、相手の話だけを聞いていれば安泰だったんです。でも、自分の気持ちに蓋をし続けている、イコール“相手のことを信用していない”と映るんじゃないかと思いまして。「自己開示をするのは、あなたのことを信用してるからだよ」と伝えたかった。BEES(ファンの呼称)のことを信用しているからこそ、今まで出していなかった自分のネガティブな部分とか、自分の好きだったものとかを、お話してみようかなと思って、このテーマに至りました。

――HACHIさんは長年にわたって、自己開示を避けてきたわけですよね。そんな人が心のストッパーを外すのって、並大抵の覚悟ではできないというか。

HACHI:そう、すごくツラかったです(笑)。楽曲を作るにあたって、自分の仄暗いところもコンセプトとして、クリエイターさんにオーダーしなきゃいけない。要するに自己開示を曲の数だけするわけですよね。一曲一曲に対して「くぅ……」と思いながら、伝えるのはツラかったです。たまに、泣きながら喋る打ち合わせもあって、それくらい深いところまで自分を掘り下げたアルバムになっていますね。

――しかも、自身のダークな面も作品として昇華しないといけないですし。

HACHI:そうなんですよ! 言ったら、私はエンタメを提供する側じゃないですか。しかも、基本的には楽しいことを求めてる人がほとんどなんですよね。歌を聴いて息抜きをしたいだったり、ちょっとツラいことがあったから「元気を出したいな」みたいな人が多い。そういう時に、自分がネガなことをポストしたり、配信でネガなことを言ったり、少しでも元気がなさそうだったりしたら「また負の感情に引っ張られちゃうじゃん」と思わせてしまう。だからこそ、少しのネガも出さないように活動していたんです。そういう意味では、今回のアルバムを出して、みんなはかなりびっくりしてると思います。

――そういう負のイメージがないですもんね。

HACHI:私が配信で「最近ちょっと元気がなかった」と言うだけで「え、意外!」と驚かれるくらい、負の要素を頑なに隠していたんですよ。それもあってリード曲の「To Be Alive」を先行配信した時、「自己開示ってこういうこと!?」とリスナーさんが騒然としていて。いつもは楽曲リリースしたあとに、ハッシュタグをつけてBEESのみんながX(旧Twitter)でポストしてくれるんですけど、今回はしばらく動きがなくて。

――それだけ衝撃を与えてたと。

HACHI:そうです。「簡単に言葉にしちゃいけない」と思ったらしくて、その反応も面白かったです。

――みなさんの反応は予想していました?

HACHI:びっくりするだろうとは思っていたので、私も先んじて「驚くと思います」とは言っていたんです。「To Be Alive」は冷たさと荒々しさがある楽曲だったのと、歌詞も今までだったら「もうちょっと柔らかい言い回しにできますか?」と言っていたんですよ。まあ、根っこが気にしいなので(笑)。

――そうですよね。

HACHI:でも、今回は角を丸くする調整は一切なしにして「ありのままの言葉を届けたい」と思い、一切添削をしなかったので、それも含めてガラっと音楽性が変わったように感じる人がいるだろうなって思います。

HACHI 4th ALBUM『Revealia』-XFD- クロスフェード

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