『蓮ノ空』、『Bloom Garden Party』の意義とはーー夢破れた者さえも救う“何度でも花咲ける”場所の真価を問う

夢破れた先に見つけた真の輝き、明日へ進むための『Bloom Garden Party』

 『ラブライブ!シリーズ』でも、夢を叶えられなかった者が繋がる力に救われた前例がある。アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』2期の第13話。閉校を阻止するために戦った高海千歌だったが、最終的に統廃合による閉校が決定し、救えなかった学校を思い、屋上でひとり涙を流した。千歌は本当に叶えたかった夢を叶えられず、輝きを見つけられずにいたのだ。だが、そんな千歌を救ったのが、苦楽をともにしたAqoursのメンバーだった。千歌は9人でのステージを通して、自分が探していた輝きは「夢へ向かっていた日々の中にあったのだ」とようやく気づく。千歌を救ったのは、Aqoursや浦の星女学院のみんなとの繋がりだった。

 繋がりがあったからこそ、千歌は限られた時間に“美しさ”を見出せたのだ。それは、つぐみも同様だろう。もし、『ラブライブ!』大会優勝を果たせなくても、彼女が限られた時間を美しいと思えていたのなら、花帆たちを呪うことはなかったはずだ。しかし、夢破れ、大切な先輩と喧嘩別れしたという後悔が、楽しかったつぐみのスクールアイドル生活を汚染してしまった。だからこそ、彼女には大切な先輩との繋がりと、先輩と繋がるきっかけをくれる『Bloom Garden Party』が必要だったのだ。限られた時間を、「美しかった」と胸を張って言えるようにになるために――。

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 「365 Days」 リリックビデオ(Link!Like!ラブライブ!)

 『Bloom Garden Party』が卒業したスクールアイドルの登壇を許すのは、決して刹那性の否定ではない。むしろ、全力で駆け抜けた時間を「美しかった」と肯定するためにあるのだろう。悔いなく青春にピリオドを打った者が、思い出の価値を再確認するだけでない。やり切れない想いを残して卒業した者が、思い出を価値のあるものへ昇華する機会にもなる。『Bloom Garden Party』は、戻らない青春を懐古するための場所ではなく、限られた時間とともに、未来へ進むための場所なのだ。

 そのために、『Bloom Garden Party』はステージに上がる者も、託す夢も選ばない。いくつになっても「何度でも花咲きたい」と、「鬱屈とした日々を変えたい」と願ってもいい。そして、願いを果たし、大切な過去とともに明日へ歩みを進める。そうすれば、昨日よりも今日の方が、ほんの少しだけ世界がキラキラして見えるはずだ。それが、花帆が口にし続けてきた「花咲く」ことなのかもしれない。

 『Bloom Garden Party』は、スクールアイドルだけではない、すべての人のための祭典だ。その中にはきっと、スクールアイドルが好きな“あなた”のことも含まれているだろう。『Bloom Garden Party』を心待ちにしている人々が、ただ楽しいだけでなく、明日を少しだけ輝かせる“きっかけ”が見つかるようなイベントになってほしいと願っている。

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