がらり、実験の積み重ねで構築したポップス作りの方程式 本格始動から2年目、数多のタイアップ先から求められる理由

がらり、ポップス作りの美学

 2024年11月に1stアルバム『手のひら望遠鏡』をリリースし、テレビドラマやCMのタイアップ、他アーティストへの楽曲提供など、活躍の場を広げている新鋭シンガーソングライター がらり。そんな彼が約1年2カ月ぶりの2ndフルアルバム『コントラスト』をリリースした。

 全14曲、2025年のハイペースなリリースも含め、その多作っぷりには驚きを隠せないが、何より収録されている楽曲一つ一つのクオリティの高さにも驚いてしまう。加えて、収録された5曲はタイアップソングとなる。本格的に活動開始から2年目を迎えたがらりは、音楽的実験を重ねながら、より深い場所にあるポップスの核心に手を伸ばす。新しい音を探し続けるがらりの創作の美学に迫る。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】

根本的に必要でない音が鳴っているようなことはない

ーー2024年11月の1stアルバム『手のひら望遠鏡』リリースから約1年2カ月が経ちました。その間も精力的に音源を発表し続けていたがらりさんですが、ご自身ではどんな時間を過ごせたと感じていますか?

がらり:自分としてはずっと制作に集中していた1年だったという印象がありますね。今回のアルバム『コントラスト』に収録されている楽曲はもちろん、楽曲提供をさせていただいたりもしていました。タイアップのお話をいただくことも増えたので、いろいろなご縁を感じながらコンスタントに曲作りを積み重ねてこれたなと。

ーー楽曲リリースを重ねていく中で、がらりというアーティストへの注目度がさらに高まった印象もありますよね。

がらり:正直、「まだまだかな」っていう思いが第一に来るんですけど、コアな音楽ファンの中には、「こんなヤツがいるんだ!」みたいな感じで興味を持ってくださっている方も増えてきているのかなという気はします。

ーーそういった好状況がご自身のクリエイティブに影響を与えたところもあります?

がらり:そうですね。自分の中心にある一番の軸の部分はあんまり変わらないんですけど、リスナーの方が増えたり、あとはタイアップ曲が増えたりしたことで、1曲1曲においてターゲッティングする層を明確にイメージするようにはなりました。自分自身の中に燃えている創作の炎だけで曲作りをするのではなく、生まれた楽曲がどう受け取られるのかというところをより意識するようになったというか。楽曲の中で自分の言いたいことはもちろんあるのでそれを中心に据えつつも、それが結果的にどんなメッセージをリスナーに対してデリバーしてしまうのかっていう、そういう見方をする感覚が強くなったと思います。

ーータイアップが顕著だと思いますが、求められるものに対して楽曲を寄せていく創作は、がらりさんにとって楽しいものでもあるんですかね?

がらり:はい、楽しいです。タイアップであれば対象となる作品や企業に、楽曲提供であればそのアーティストさんにどんなファン層がいて、どんなものを求めているのかっていうことをリサーチするのがけっこう好きなんですよ。そういう部分を踏まえた上で、「じゃあこんな曲がいいかな」みたいに楽曲のイメージを固めていく作業は、自分の中にあるたくさんの答えが絞られていく感覚でもあって。ある種、そういった縛りがあるからこそ作りやすい感じはあるかもしれないです。

ーーそういった変化がある中で、先ほどおっしゃった「変わらない自分の中心にある一番の軸」というのは具体的にどんなところになるんですか?

がらり:ひとつ明確に持っているのは、歌謡曲やJ-POP、引いてはポップスと言っちゃってもいいかもしれないですけど、そういったものに一番大事なエッセンスはメロディ、コード、そして言葉であるという思いなんですよ。それらの組み合わせによって感動が生まれるんだという気持ちが僕の中には強くあるんです。タイアップ曲であろうと、ノンタイアップ曲であろうと、その楽曲のコアな部分にはスタンダードナンバー的な受け取られ方をし得るポテンシャルが絶対に秘められていなければならないと僕は思うんですよね。単純に流行りの言葉を乗せてみるとか、なんとなく耳心地がいいものっていうだけでは成立し得ないといいますか。ジャズには黒本というものがあるのですが、そこにはコードとメロディしか載っていない、もっと言ったらもはやコードのみだけの場合もある。それを見ながらスタンダードナンバーを演奏するようなことが一般的なんですよね。そういった意味では、楽曲を単純な状態にしても楽しめるものであることが重要で。僕の場合は、そんなことを常に見つめながら制作をしているところがあるんです。

ーーなるほど。がらりさんはご自身でアレンジメントまでされますけど、それは根幹にある強度の高いメロディ、コード感、言葉をより増幅させるための装置という感覚なんですかね?

がらり:その通りですね。メロディ、コード感、言葉、もう一つ付け加えるならBPMもそうですけど、その必然的な組み合わせこそが楽曲の中で言いたいことの発露になるわけで。そこに寄り添い、肉付けをすることがアレンジやミックス、ボーカルの乗せ方だという考え方なんです。ある種、ラッピングする感覚に近いんだと思います。

ーーがらりさんの曲を聴かせていただくと、鳴っているすべての音にしっかりとした意味を感じる部分があるんですよ。必要である場所に必要な音が収まっているというか。そういった聴き心地は、がらりさんの揺らがない創作スタイルに起因しているんでしょうね。

がらり:曲ごとにいろいろ実験しながらやってます。この音は必要かな、不要かなということをすごく考えるし、ちょっと時間を置いた後、どこを削れるかを探る作業をけっこうするとタイプだと思います。なので、根本的に必要でない音が鳴っているようなことはないんじゃないかな。

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