w.o.d. ありのままの自分で歌い鳴らす“本当に大切なもの” Oasisからエモまで最新EPに昇華された刺激を語る

w.o.d. 自然体で歌い鳴らす“大切なもの”

 w.o.d.が初のEPとしてリリースした『grunge is dead. EP』から約半年、新たなEPとなる『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』が完成した。「dead」と「LIVE」からもわかる通り2作は対のコンセプトになっており、激動の時代に強烈なグランジで一石を投じたのが『grunge is dead. EP』だとしたら、それでも変わらないものや、生きる上で何を大切にすべきなのかといったことを素直に見つめ直したのが『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』だ。

 シンプルかつミニマルなサウンドに削ぎ落とされた分、バンドとしての地力の強さがダイレクトに伝わってくる今作だが、その中でストリングスやコーラスを駆使したアレンジ、エモへの傾倒など、これまでにない表現で幅を広げているのも聴きどころ。バンドの背骨である90年代~2000年代のオルタナ/インディロックの中でさらにリファレンスを広げつつ、サイトウタクヤ(Vo/Gt)の飾らない想いが表出したという点では、非常にw.o.d.らしいEPだと言えるだろう。

 これまでの常識も簡単に覆ってしまうほど変化が激しく、時に自分の在り方を見失ってしまいそうになる現代。『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』は、そんな今を生きるための心構えを再認識させてくれる“お守り”のような作品だ。今作の制作について、サイトウ、Ken Mackay(Ba)、中島元良(Dr)にインタビュー。自然体の自信に溢れたそれぞれの心境から、2025年の様々な思い出に至るまで、たっぷり語ってもらった。『grunge is dead. EP』のインタビューと合わせて読んでもらえたら幸いだ。(信太卓実)

w.o.d.がグランジを“終わらせる”真意 カオスな世界に生きる自分を描写した今鳴るべきロック

『grunge is dead. EP』をリリースし、夏の東名阪ワンマン『LOVE BUZZ Tour』も控えるw.o.d.。“…
w.o.d. - YOU ONLY LIVE ONCE. EP [Teaser Movie]

自分自身の“変わらない一面”を認められたEPに

ーー『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』、温かく沁み入るような素敵な作品ですよね。こういう空気感だけで作品をパッケージするのは初めてだと思いますけど、どういうところから構想していきました?

サイトウタクヤ(以下、サイトウ):『grunge is dead. EP』を出す前から、生と死みたいな“対になるもの”を組み合わせて2枚EP出したいっていうのはなんとなく考えていて。具体的にどの曲が入るのかはやりながら決めましたけど、全曲とも欠片はもともとあったものなんで、それを『grunge is dead. EP』を経てアレンジとか詰めていった感じでした。

ーー“対になるもの”のイメージは具体的にどんな感じでした?

サイトウ:前回も話したかもしれないけど、『grunge is dead. EP』では一旦“グランジをやり切って終わらせる”みたいな気持ちがあって、w.o.d.として積み上げてきたものを意図的に出すようなEPになったんです。でも『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』はそれを経て“もう1回始める一歩”であり、今感じていることをそのまま出すようなEPになったというか。「w.o.d.だからこうしないとあかん」ってことを一旦置いといて、日々生きる中で出てきたものを自然に曲にしたくて。

w.o.d. サイトウタクヤ アーティスト写真
サイトウタクヤ(Vo/Gt)

ーーそう思ったのはどうしてでしょう?

サイトウ:ミュージシャンとして、それが本来のあるべき姿なのかなっていう気がする。あえて狙って売っていくのももちろんいいけど、それは結構エンタメ的なやり方というか。日々を生きてて、その中で出てくるものを自然に表現するのがいいよなと思ってたから、それをやった感じです。

ーーなるほど。『grunge is dead. EP』って“激動”とか“変化”を受け入れていくような作品だったと思うんですけど、今回の『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』は“普遍”とか“不変”であることを歌い鳴らしている作品だなと感じて。そこも対になっていると思いました。

サイトウ:確かに。変わらないというか、変われないというか。いろんな側面があるうちの『grunge is dead. EP』とは違う自分を認められたっていう感じかな。俺ら3人でやってることやから、やっぱ意識してなくてもw.o.d.らしいものになったし、そういうサウンドもスタイルもちゃんと保てたなと思っていて。格好つけてる自分より、ダサいところも嫌なところも、ありのままの自分を認められたらいいなっていう気持ちで作り切れたし、そういうことが自然にできているバンドでありたいなと思っていたので、できてよかったです。

w.o.d. Ken Mackay アーティスト写真
Ken Mackay(Ba)

ーーKenさん、元良さんはいかがですか。

Ken Mackay(以下、Ken):ほんまに等身大で、ナチュラルに作れた気がする。何しても俺らになるなっていう“無敵感”を持って作れたのはめちゃくちゃデカい気がしますね。

中島元良(以下、元良):無理してたこともあったんだけど、確かに今は無理してないなって思う。「きっとこうなんだろうな」と思って鳴らしたものがちゃんとハマっていったし、音作りから演奏まで、何を取ってもそうなれたのはバンドとして嬉しいですね。

ーー「らしさって何だろう?」って考えてた時期もあったと思うんですけど、元良さんがそういう風に変われたのはどうしてだと思いますか。

元良:何だろうな……長く一緒にやってるからっていうのもあるし、年取ったからかもしれないですね。40歳になりました!(※/昨年末に40代を迎えたことをSNSでサプライズ公表し、たくさんの祝福の声とともに話題に)。

ーーそういえば! おめでとうございます!

元良:ありがとうございます! 40歳って“不惑”の年らしくて。迷ってる暇がないだけな気もするんですけど、いよいよそういうマインドになってきました。「どうやってもここに戻ってきてしまう」っていうのが明確にある感じかもしれないです。

ーー『YOU ONLY LIVE ONCE』という言葉に辿り着く気がしますね。

元良:そうかもしれない。最近ネットでバズってた「あなたの人生を1日で変える考え方」みたいな海外の記事を偶然見て。一応全部読んでみたんですけど、最初にやるべきこととかプロセスがいくつか書いてあって……もう俺、すでに全部できているというか、自分がいい状態にいるから「もう大丈夫だ」と思えたんですよ。そういうことが(作品にも)反映されたのかなって。

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中島元良(Dr)

「マジでOasisのおかげ」ーーリアムが放つ“自然体のスケール”を観て

ーー言われてみれば、演奏にしても歌詞にしても、“自分がすでに持っているもの”を確かめ直すような楽曲が多い気がしますね。そういうモードで1つEPを作れるのはバンドとして健康的だなって。

元良:そう思います!

サイトウ:そこに関しては、Oasisにめっちゃ勇気もらいました。

ーー今日はその話を聞きたいなと思ってました!

サイトウ:昨年3人で東京ドーム観に行ったんで。

Ken:行けてよかったねえ。

元良:ねえ!

ーー僕も同じ日(2025年10月26日)に行ってたので! めっちゃわかります。

サイトウ:マジで最高やったよね。あれこそ自分の才能を愛してるというか、「ありのままの俺はこう!」っていう音楽やと思うから。特にリアム(・ギャラガー)はそうで。「もらった才能に感謝してやってるぜ」みたいなことも言ってた気がするけど、やっぱりそれでしかないよなって改めて気づかされた。若い時は可能性が無限にある気がするから、そうじゃなくなってきたっていう年齢的なこともあるかもしれないけど、それで焦るみたいな感覚すら超えていて。悲観的に言えば「もうこれでやっていくしかない」ってことなんだけど、プラスに捉えると「これでやってこれてるよな!」みたいな。「w.o.d.でやってきたこと、結構いいやん!」って思えたのはマジでOasisのおかげ。

ーー「何があっても大丈夫。それがお前なんだ」って全力で肯定してくれる「Whatever」精神というか。

サイトウ:ねえ(笑)。Oasis観れたのが自分に素直になるきっかけだったし、あの年齢になったリアムに歌われるとさらにグッときた。「Oasis好き」ってあまり言ったことなくて自分でも忘れてたけど、「全曲知ってるし全部好きやわ」って。普通に「いいものがいい」って言えた方がいいな、みたいに思えましたね。

ーー『YOU ONLY LIVE ONCE. EP』は全曲もともと欠片があったということでしたけど、ソングライティングにも結構Oasisからの影響が出てそうですよね。

サイトウ:そうですね。『grunge is dead. EP』を作ったこともあるし、Oasis観に行ったのも大きい気がするし。あとは去年、同世代のバンドとかアーティストと対バンする機会が多くて楽しかったのもあって、現状に感謝する気持ちが強かったのかなって。みんな10代から音楽やってきて、今一緒にライブやって、口には出さんけど、うっすら影響や刺激を与え合ったりしてるのってシンプルにすごいことやなって。そういうことを経て完成した気がしますし、逆にいえば「俺らは俺らやから何かに寄せる必要はない」「俺らが曲作って完成させればちゃんと個性が出る」ってことにも気づけました。Age FactoryはAge Factoryにしかできないライブをやってるし、さよならポエジーはさよならポエジーじゃないとできないライブをやってる。もちろん、Oasisもそうですけど。

w.o.d. アーティスト写真

ーー話を聞いてると『YOU ONLY LIVE ONCE』ってすごくポジティブな言葉だなって改めて思ったんですけど、数年遡るだけでも『LIFE IS TOO LONG』(2021年)というタイトルを掲げていたりして。当時は“らしさ”を求めてもがいていた気もするから、今みたいなメンタリティじゃなかったとは思いますけど、言ってること自体はコインの裏表というか、あくまで同じ事象を捉えて音楽にしている感じがしますよね。

サイトウ:そうなんですよね。大枠のテーマは生活とか人生とか、ずっと一緒。それに対してどういう気持ちかっていう捉え方が変わったんだと思います。“ペースが変わった”というか、もっと大きい波を感じながら生きるようになった。普通に楽しく生きたいのは一緒やし、その楽しく生きる方法が少しずつ変わってきただけというか。『LIFE IS TOO LONG』を出した時も楽しく生きたいと思ってましたけど、日々その瞬間その瞬間の“一波”に対して反応しては燃え尽きて……っていう感じだったから。今はもっとでっかく物事を捉えるようになったし、そうじゃないとしんどすぎるなって。そうなっていく過程がアルバムを出してきたことに表れていて、今はわりといい意味で俯瞰できている気がします。

ーーなるほど。

サイトウ:今もしんどい時はもちろんあるけど、もっと大きなバイオリズムの中で「風の音や鳥の声を聞けるようになった」みたいな感覚。けど、リアムって最初からあのままだったと思うから、本当に天然でやれていてすげえなって。ドキュメンタリー映画とか観てたら悩んでることもありそうでしたけど、だからマンチェスターを大事にしてるんやろうなってこともわかりましたし。地元があるから、母親や昔からの友達がいるからこそっていう……そこも素敵やなって思いましたね。

ーーその意味でも、自然体でいるために側にある“大事なもの”を確かめ直すような歌詞も今作の特徴ですよね。

サイトウ:うん、そう思います。

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