さらさ、自在に広がる表現のフィロソフィー 桑田佳祐も注目する才能、初ドラマ主題歌抜擢に至るまでの変遷

“今この瞬間を信じてみる”ーー最新曲「YOU」の普遍的なメッセージ
こうした初期衝動を内包した楽曲群を経て、さらさは2ndアルバム『Golden Child』においてより身体的で開かれたグルーヴへと踏み出していく。
例えばリードトラック「リズム」は、タイトル通り、心地よく刻まれる“リズム”のグルーヴそのものを主役に据えた楽曲。日常の中でふと生じる違和感や心の揺れを、軽やかなステップに乗せて昇華していく感覚が心地よい。ライブでも人気の高い1曲で、そのパフォーマンスはまるで夢の中を彷徨っているかのように官能的で、幻想的なサウンドスケープを展開していく(※3)。
一方、「祝福」は同アルバムの中でも、とりわけメロディの強度が際立つ楽曲だ。90年代J-POP、とりわけR&Bポップスが最も輝いていた時代の空気感を下敷きにしながらも、決して懐古に寄りかかることなく、さらさ自身の現在地へと引き寄せられている点が印象的である。アレンジを手がけたのは、西田修太。音数を抑えながら、歌の呼吸や言葉の余韻を丁寧にすくい上げていく彼のスコアは、さらさのスモーキーな歌声と高い親和性を示し、旋律の輪郭を過度に強調することなく、感情の流れそのものを音像として立ち上げてみせた。
そして、さらさが初めて真正面から“恋”を歌ったラブソングが、前述の「Thinking of You」である。燃え上がる恋の情熱と、過ぎゆく季節の余熱が交錯する本作は、Kota Matsukawa、Reo Anzai、Ryuju Tanoueらによるクリエイティブコレクティブ w.a.uがアレンジに参加し、豊かな陰影を宿したR&Bサウンドへと昇華されている。
そうした楽曲群を経てリリースされた最新曲が「YOU」(作編曲にESME MORI、編曲にKota Matsukawaが参加)。その歌詞には、〈悲しみの影落とさず/痛み隠さず/信じていれる/この強さ〉といったフレーズが登場し、悲しみや痛みさえ抱えたまま、互いを信じようとする誠実な愛情が描かれている。〈終わりのない愛〉〈透明なモヤの中で/君を見つけたい〉という言葉からは、不確かな未来へ手探りで向き合う切なさすら滲み出る。さらさが織りなす壮大で包み込むようなメロディと、これまで以上にやわらかく体温を感じさせる歌声は、未来への不安と希望が交錯する物語世界に、静かに重なり合っていく。
「何が起こるかわからない、未来への不安に囚われている自分を捨てて、今この一瞬を信じてみる。そんな瞬間があれば幸福だと思います。信じきれなくても良い。不安な心を抱えたまま、明るい光を信じようとしてみる、その心の矛盾に美しさを覚えます」(※4)
この曲について、さらさ自身はこうコメントしている。人との関わりにトラウマを抱える大学生と、目の見えない女性が惹かれ合っていくドラマのストーリーに寄り添うような歌詞は、愛や信頼を一枚岩の理想として描くのではなく、揺れ動く感情の機微ごと丁寧にすくい上げた。そして、“今この瞬間を信じてみる”というメッセージは、ドラマの文脈を超えてなお、聴き手それぞれの現実にも照射される。
ドラマ主題歌という大役を経験し、その歌声と楽曲がこれまで以上に多くの聴衆へと届いた今、彼女への期待は確実に高まりつつある。唯一無二の世界観と確かな歌唱・ソングライティングを武器に、さらさが2026年以降の音楽シーンでさらなる飛躍を遂げていく姿を楽しみに待ちたい。
※1:https://qetic.jp/interview/salasa_remimatsuo-230523/450397/
※2:https://qetic.jp/interview/salasa-kazukiarai-230315/447410/
※3:https://billboard-japan.com/d%20news/detail/145811/2
※4:https://www.mbs.jp/kakekoi/music.shtml

◾️楽曲情報
さらさ「YOU」
2026年1月14日(水)リリース
配信リンク:https://lnk.to/salasa_YOU
ドラマ『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』エンディング主題歌
◾️さらさ 関連リンク
Instagram:https://www.instagram.com/omochiningen/?hl=ja
X:https://x.com/omochiningen_
TikTok:https://www.tiktok.com/@woody_bluesy
YouTube:https://www.youtube.com/@Salasa_official























