Mr.Children、“永遠に未完成”なトップランナーが踏み出す新章 「Again」で小林武史と無垢な衝動を鳴らした意味
鳴り響いたのは、積み上げた歳月に安住する回顧的なリフレインではなく、鮮烈な“産声”だった。今年でデビューから34年を迎えるMr.Childrenから1月19日に放たれた新曲「Again」。日曜劇場『リブート』(TBS系)の主題歌として書き下ろされたこの曲は、キャリアの長さを誇示するような落ち着きとは無縁だ。そこにあるのは、まるで初めて楽器を手にした時のような、剥き出しの衝動である。
22年ぶりの日曜劇場主題歌 「Again」という言葉に宿る覚悟
まず、このタイアップに、長年のリスナーなら微かな既視感と、高揚感を覚えたはずだ。彼らがTBS系列の日曜劇場で主題歌を担当するのは、『オレンジデイズ』(2004年)主題歌に起用された「Sign」以来、実に22年ぶりのこと。奇しくも「Sign」は、バンドがデビュー10周年を越え、国民的存在としての地位を盤石なものとした時期を象徴する楽曲であった。そこから22年という歳月を経て、『リブート(再起動)』と題された日曜劇場へと帰還した彼らが掲げたタイトルが、他でもない「Again(ふたたび)」であること。これは単なる偶然以上の意味を孕んでいるように思えてならない。システム的な“再起動”ではなく、血の通った人間が、何度打ちのめされても“もう一度”と立ち上がる、泥臭くも崇高な意志の表明である。
今作における最大のトピックは、やはり小林武史のレコーディング参加だろう。長年、プロデューサーとしてバンドと共に数々の名曲を作り上げてきたパートナーである小林。2010年代中盤からのバンドメンバーによるセルフプロデュース期を経て、今作「Again」で聴こえてくる小林のピアノは、その長い歴史の中でも、かつてないほどバンドの肉体性と有機的に結びついている。かつての緻密なオーケストレーションによって楽曲のスケールを拡張させていたアプローチとは対照的に、今作ではバンドが磨き上げてきた野性味のあるビートの隙間から、小林のピアノがダイレクトに飛び込んでくる。それは、互いの領域を補完し合う関係を超え、磨き抜かれた個々の音楽性が一音一音で火花を散らすような、極めて純度の高い対話の響きだ。これは単なる過去への回帰ではない。セルフプロデュースという研鑽の季節を経てより強固になったバンドのグルーヴと、小林武史という類稀なる音楽家の個性。その両者が、月日を経てさらなる高みで共鳴し合った結果と言えるだろう。また、これまで幾度となくMr.ChildrenやBank Bandと共に音楽を紡いできた山本拓夫のサックスや四家卯大のチェロといった鉄壁の布陣によるアンサンブルも抑制の効いた美学に貫かれており、それがジョー・ラポルタによる現代的でワールドスタンダードなマスタリングによってエッジの立った音像に仕立て上げられている。
歌詞に目を向ければ、そこには桜井和寿(Vo)の“現在地”が際立っている。前作『miss you』(2023年)で見せた、ヒリつくような内省と孤独。あの季節を経て放たれる言葉には、かつての「君が好き」と歌うような全肯定の眩さではなく、拭いきれない影を背負ったまま、それでもなお前を向こうとする大人の覚悟が宿っている。シンプル極まりないフレーズがこれほどまでに重く響くのは、彼らが何度も自分たちを更新し続けてきた歴史を知っているからだ。『リブート』という過去の汚名や痛みを引きずりながら進む物語と呼応するように、桜井の歌声もまた、積み上げてきたキャリアの重みを捨て去るのではなく、その全てを抱えたまま“ふたたび”産声をあげようとしている。






















