星街すいせい「私たちが今、折れないことが本当に大事」 過渡期のVTuberシーンを背負って活動する覚悟

例年通り、2025年もVTuber/アーティストとして大活躍を見せた星街すいせい。日本武道館公演『Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live “SuperNova”』を筆頭に、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のタイアップソングのヒットや「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2025」に選出されるなど、その影響力は止まることを知らない。
リアルサウンドでは毎年恒例となっている年始インタビューを行った。2025年の様々なトピックを振り返りつつ、“バーチャル”と“リアル”を越境して活動した日々を振り返ってもらった。(編集部/記事内ライブ写真=『Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live “SuperNova”』より)
2025年は、夢を叶えて、未来の準備をした1年

ーー星街さんにとって昨年、2025年はどんな1年になりましたか?
星街すいせい(以下、星街):念願の日本武道館公演を完遂したという意味では私にとって夢を叶えた年になりましたね。同時に、次への第一歩のための準備期間、充電期間にもなった1年だったと思います。
ーー充電期間というには、ずっと動き続けていた感じですけどね。
星街:あははは。確かにそうですね。去年はサンボマスターさんと対バンさせてもらったり、私がVTuberを始めるきっかけであるKizunaAIちゃんとライブで共演したり、いろいろなフェスに出演させていただいたりはあったんですけど、新曲を出す頻度はちょっと落ちてたんですよ。年始にアルバム(『新星目録』)リリースがあって、それ以降はアルバム曲のMVを出したりっていうのが主だったので。そういう意味での充電期間。とは言え、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』とのタイアップというありがたい大きなお仕事もあったんですけどね。今年はもっと新曲を出していきたいなと思っております。
ーー「次への第一歩」という部分に関しては、武道館公演を経て、明確なビジョンを持って動き出した感じもあるんですか?
星街:そうですね。自分の中ではふわっとしてた部分もたくさんあったんですけど、武道館を経たことでそこをしっかり明確にして、「じゃあ次はこんなことをしてみようか」みたいなことを決めた感じで。そこに向けて今、頑張っているところです。その最初の動きが2月に開催する武道館公演の再演ライブ『SuperNova:REBOOT』なんですけど。そこから星街すいせいの新章をはじめていけたらなって。


ーー「REBOOT」に関しては後ほどお話を伺いますが、現在の星街さんの中にある新章のイメージって具体的にどんなものなんですかね?
星街:それはね、まだ内緒です(笑)。しっかりしたイメージが自分の中にはちゃんとあるので、楽しみにしていてください。
ーーわかりました。では昨年の活動をいろいろ振り返っていけたらなと思うのですが、まずは今、お話に出た日本武道館公演。開催から約1年が経った今、あらためて感想を聞かせてください。
星街:デビュー以来、7年間にわたって夢として掲げてきた場所だったので、それが叶うことによってどんな気持ちになるのかが自分ではわからなかったんですよ。「燃え尽きちゃうんじゃないかな」とかっていう不安もあったりして。でも実際、武道館のステージに立ってみたら、ただただ一生懸命ライブをやることに集中できて、やり切った気持ちだけしかなかったというか。ある意味、武道館に立った実感があんまりなかったんです。でも、インタビューで武道館の感想を聞かれたり、周りの人や一緒にバンドで頑張ってくださったメンバーの方々から「武道館、良かったよ!」って言葉をもらえたりすることで、ちょっとずつ実感が湧いてきたんですよ。「私、本当に武道館に立ったんだな」っていう感情が、時が経つにつれて後から後から湧いてきたのは、すごく不思議な感覚でしたね。


ーーあまり実感がなかったのは、これまで積み重ねてきたものをしっかり持った上で、いつも通り気負うことなくライブに臨めたからなのかもしれないですよね。
星街:あー確かにそうかもしれない! 私にとって武道館は夢の場所ではあったけど、そこを終わりにはしたくなかったので、ある意味、気負わずに向き合えたことで一つの通過点としてのライブにできたのかなって今は思いますね。


ーー武道館に立ったことで新たに手に入れたものもありましたか?
星街:もちろんあります。先ほども言ったように、次への一歩へのビジョンを明確にすることができましたし、あとは「武道館に立ったぞ!」という勲章、自分にとっての特別なバッジみたいなものをもらえた感覚があります。メディアに出たときに「武道館にも立たれたアーティストですよ」みたいな紹介をしていただけるようになったことで、イロモノ感がちょっと薄まるというか(笑)。受け入れてもらいやすくなったかなって。それがすごくありがたい。

ーーライブにおけるパフォーマンス面でも武道館以降で変化したところもあります?
星街:武道館に立ったからというよりは、武道館までの道のりが大きかったなと思っていて。そこに辿り着くまでには、ノドの不調であったりとか、思い通りにいかないことがいろいろあったんですよね。でも、そこを乗り越えて武道館まで行けたことで、自分の中の殻をひとつ破れたというか。自分の中でくすぶっていたものを取っ払って次に進むための、大きなきっかけになったなとは思います。
ーーその後、4月には「もうどうなってもいいや」「夜に咲く」の配信リリースもありましたね。この2曲はアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』で使用され、大きな話題を集めました。
星街:それもまた、最初はあんまり実感がなかったんですよ(笑)。「ガンダムとのタイアップ、すごいな」「どんな反響があるのかな」みたいな気持ちで、ワクワク半分、不安半分みたいな感じでした。ただ、「もうどうなってもいいや」が挿入歌として使われた劇場先行版では、事前に私の曲が流れるという情報が出ていなかったのが、自分としてはちょっとおもしろかったなと思っていて。先入観なく曲を聴いた人が、後からバーチャルのアーティストが歌っている曲だと知ったときに、「全然馴染んでた」という感想をつぶやいてくれていて。フラットな状態で曲を聴いていただける機会をいただけたことは、自分にとってすごく嬉しくて、ありがたいことでしたね。
ーー2曲とも楽曲自体のパワーがすごく強いし、作品にもマッチしていたからこそ、多くの人に受け入れられたのは間違いないですよね。ご自身としても、楽曲の仕上がりには自信があったんじゃないですか?
星街:曲を提出した時には、「本当に選んでもらえるのかな?」みたいな気持ちも正直ありましたけどね。あまり期待しすぎないようにしよう、みたいな。「決定しました」って聞いたときも、「え、そんなことあるんだ⁉」って思ったし。もちろん、ものすごく嬉しかったんですけど。
ーー星街さんの中には、まだやっぱりVTuberであることに対しての引け目みたいな思いがあるんですかね?
星街:あると思いますね。もしかしたらイロモノとして見られて一線を引かれてしまう部分があるんじゃないかな、とか。わざわざVTuberに頼まなくても、普通のアーティストでいいやってなる部分がまだあるんじゃないかな、とかね。でも、『GQuuuuuuX』の制作陣の方々は、そういう部分がすごくフラットなんだなっていうことを今回のタイアップを通して知ることができました。それがすごく嬉しかったです。私自身、「もうどうなってもいいや」に関してはエンディングとしてピッタリだなって強く思っていたところがあったんですよ。アニメの最後にこれが流れてきたら絶対かっこいいよなっていう自信があったというか。そういう私のイメージと先方のイメージがちゃんと合致してたんだなということがわかったので、すごくありがたかったですね。
ーー「夜に咲く」に関しては、制作の段階でどんな手ごたえを感じていましたか?
星街:スタッフさんとも話していたんですけど、「夜に咲く」は今までの「ガンダム」のイメージを持った楽曲だなっていうイメージはありましたね。実は、最初の段階で「もうどうなってもいいや」と一緒に「夜に咲く」も先方に提出していたんですよ。だから、どっちが劇場先行版の挿入歌になってもいいなっていう気持ちが自分の中にあって。で、結果的に後から「『夜に咲く』はTVアニメの挿入歌として使用することになりました」という連絡を受けたんですよね。
ーーへぇ! そういう流れだったんですか。
星街:はい。だから、その連絡をいただいてから急遽、フルでレコーディングした感じだったんです。ありがたいご縁で「夜に咲く」もTVアニメ版の挿入歌として輝きを放ってくれたのが嬉しかったです。
ーー星街すいせいというアーティストの認知度をさらに押し上げることとなった『GQuuuuuuX』とのタイアップの反響はどう受け止めていますか?
星街:反響は本当に大きかったと私自身も感じています。『ガンダム』が好きな方たちはフラットな目線で楽曲を聴いてくれましたし、純粋に『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』という作品とのマッチングという部分で評価してくださっていたんですよ。しかも「もうどうなってもいいや」という言葉がパワーワードすぎたみたいで、けっこうネタにしてくれていたんですよね。作中でものすごい展開が繰り広げられたときとかに、「いや“もうどうなってもいいや”じゃねえよ!」みたいな感じで、曲のフレーズで遊んでくれていて(笑)。そういう部分はアニメのタイアップでしか感じられない楽しさだなってすごく感じました。



















