Hilcrhyme、20周年を前に示した新たな決意と自らのルーツ 全国ツアー『Moments』東京公演を観て

Hilcrhyme、全国ツアー東京公演レポ

 Hilcrhymeが11月からスタートさせた全13公演を巡る全国ツアー『Hilcrhyme TOUR 2025「Moments」』が12月27日に終幕。即時公開された本ツアーのセットリストのプレイリストと共に、先日開催された東京公演(11月29日、Zepp DiverCity(TOKYO)公演)のライブレポをお届けする。

 チケットはソールドアウト。満員の会場に鳴り響いたインスト「Introduction -Moments-」に導かれてステージに登場したTOCは、「EVIL」でライブの幕を開ける。スタンドマイクを使い、重厚なラップでメッセージを飛ばす姿に、会場は一気にHilcrhymeの世界に飲み込まれていく。ハンドマイクに持ち替え、2曲目「Killer Bars」からはステージを縦横無尽に動き回りながら、ソリッドな言葉の刃で斬りつけていく。「東京! 来年でHilcrhymeは結成20周年。マイク持って25年。レぺゼンは新潟。めちゃ稼いでる。こんなヤツはいない」とセルフボースティングをかました後は「大注目」へとなだれ込み、Hilcrhymeの矜持を叩きつけた。

 「楽しみにしてたぜ。調子はどう、東京? 今日は13枚目のアルバムを携えてのツアー、東京公演。ここが一番盛り上がると信じてるので、よろしくお願いしますね」

Hilcrhyme ライブ写真

Hilcrhyme ライブ写真

 続いて披露されたのは「No.109」。MCであるTOCのルーツを感じさせるナンバーを今のスキルで表現し尽くすことで、来年控える結成20周年という大きな節目に向けた新たな決意を確固なものとしていく。最新アルバム『Moments』収録の「右肩上がり」では、バースによってガラッと声色を変化させ、MCとしての進化を鮮烈に提示した。

 「斬捨御免」では、学生時代に剣道を経験してきたルーツを見せつけるように模擬刀を持ちながらのパフォーマンスを展開。サビでは鞘から抜かれた刀を掲げながら、ソリッドなラップでシーンの現状をバッサリと斬り捨て、自身で道を切り拓くことの大切さを説き、〈お前ならやれるって〉とオーディエンスの背中を力強く押す。曲のラストで刀を見事な所作で鞘へと納めたTOC。「押韻見聞録」「続・押韻見聞録 -未踏-」ではマイクだけを武器として戦ってきたラッパーとしての旅路をあらためて見つめていく。曲の後半ではサビの大合唱が巻き起こり、ここからまだまだ続いていくHilcrhymeの旅への期待をグッと高め合った。

Hilcrhyme ライブ写真

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「2006年に生まれたHilcrhymeは今を積み重ねて、瞬間を積み重ねて今日、2025年の11月29日に辿り着いてるわけです。いろんなことがあって1人になって、そしてコロナ禍も明けて、ここに辿り着いてる。これはもう偶然ではなく必然ですね。常に今を歩いてきたからだと思っています。みなさんも自分の道を無事に歩いていけますように」

 そんな言葉を経てドロップされたのは「Walk」。常に崖っぷち、“ワイルドサイド”を選びながらも、その歩みを止めることなく進んできたHilcrhymeのスタイルをあらためて提示していく。「一緒に歌ってくんない、これ」という一言で大合唱を巻き起こしたのは「THE AMBITION」。強気の裏にある弱い部分をさらけ出しながらも、変わらずに“大志”を抱き続ける熱い想いをラップに注いだTOCは、曲の最後に「すべての情熱を胸に宿してる! 男子も女子も関係ねぇ。リスペクトを送るぜ。This is Hilcrhyme!」と高らかにメッセージを叫び、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。

Hilcrhyme ライブ写真

 次のパートでは、様々な“愛”をテーマにキャリアを築いてきたHilcrhymeから極上のラブソングが連続で披露されていく。客席を目がけて愛のこもった高速ラップを放った「LOVE RAP」、赤い照明に照らされるステージの上で情熱的な世界を描き出した「恋の炎」。「今、俺の恋の炎は完全に着火してしまいました」とつぶやいたTOCはおもむろに客席へ下り、2人の女性を選んでステージに上げる。そこで歌われた「二人の女」では、2つの魅力の間で揺れ動く感情をリアルに表現していった。そこからさらに、“嫉妬”をテーマに女性目線で紡がれた「Jealous」、メロウなトラックの上で溢れる切ない想いを織り重ねた「Rhapsody In Rhyme」という2曲を届け、めくるめくHilcrhyme流の愛に満ちた時間を繰り広げた。

 最近ハマっているという“スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)”話で客席との距離をさらに縮めたMCを経て、ライブは「スタープレイヤー」で終盤に突入。学生時代の光景を鮮やかに綴った楽曲で再び自らのルーツを示した後は、未来への希望とここからも走り続ける意志を込めて〈俺は未完成〉だと歌う「UNFINISHED」、自らの心の内をさらけ出して思いのままに進む決意を歌う「NAKED HEARTS」を披露。HYの仲宗根泉とのコラボレ―ションで発表された「千夜一夜」では、仲宗根が歌うパートをオーディエンスが引き受け、ミラーボールが放つ光に満ちた空間の中で感動的な光景が生まれた。そして、スタンドマイクの前に凛と立ち、一人のアーティストとしての覚悟を語るように力強く放った「Moments」で本編は終了した。

Hilcrhyme ライブ写真

 「ルーズリーフ」で始まったアンコール。初期の大ヒットチューンに、サビでは大合唱が自然発生する。最高の盛り上がりを見せる客席を眺め、満足そうな笑顔を見せるTOCは、ステージに用意されたキーボードの元へ行き、ピアノを奏でながらメジャーデビュー曲「純也と真菜実」の冒頭を弾き語りで披露。そこからトラックが挿入され珠玉の名曲が鳴り響いていく。ここでも当然のように巻き起こった大合唱は、Hilcrhymeが積み上げてきたたくさんの“瞬間”が繋げてきたオーディエンスとのかけがえのない絆を証明するかのようだった。

Hilcrhyme ライブ写真

 感情たっぷりに歌い上げた後、TOCが「来年の結成20周年、宴を用意しました」と一言告げると、ステージ上のスクリーンに嬉しいニュースが映し出された。2026年7月18日、東京・SGC HALL ARIAKEにてHilcrhyme結成20周年記念公演『朱ノ鷺 2026』の開催が決定。大きな歓声が沸き起こる客席に向け、「来年、有明で待ってますね。四季を越えてまた会いましょう」と語った後、ライブはHilcrhymeの代名詞とも言える大切なナンバー「春夏秋冬」で会場をあたたかな空気で満たしてエンディングを迎えた。

◾️プレイリスト情報
Hilcrhyme TOUR 2025「Moments」セットリストプレイリスト公開中
https://umj.lnk.to/Hilcrhyme_Tour2025

1.Introduction -Moments-
2.EVIL
3.Killer Bars
4.大注目
5.No.109
6.右肩上がり
7.斬捨御免
8.押韻見聞録
9.続・押韻見聞録 -未踏-
10.Walk
11.THE AMBITION
12.LOVE RAP
13.恋の炎
14.二人の女
15.Jealous
16.Rhapsody In Rhyme
17.スタープレイヤー
18.UNFINISHED
19.NAKED HEARTS
20.千夜一夜 feat. 仲宗根泉(HY)
21.Moments
アンコール
1.ルーズリーフ
2.純也と真菜実
3.春夏秋冬

◾️新規ツアー情報
Hilcrhyme 結成20周年記念公演「朱ノ鷺 2026」
2026年7月18日(土)東京・SGC HALL ARIAKE
OPEN 16:00 / START 17:00

<チケット先行(抽選)>
OFFICIAL FC「4Seasons」会員先行3次受付
12月23日(火) 12:00~2026年1月5日(月)23:59
FC入会:https://hilcrhymeofficial.futureartist.net/fanclub

SNS/OFFICIAL HP先行受付 
2026年1月5日(月)12:00~1月12日(月・祝)23:59
詳細:https://hilcrhyme.com/news/357461

SNS/OFFICIAL HP先行2次受付
2026年1月13日(火)12:00~1月18日(日)23:59
詳細:https://hilcrhyme.com/news/357461

<一般発売>
2026年3月7日(土)10:00

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