日向坂46、転換期を“前進”に変えた希望の2025年 一期生卒業の節目を越え、五期生が示した新しい強み

 2025年の日向坂46は、グループにとって大きな転換期だった。デビュー6周年を迎えつつも、一期生全員の卒業という節目を経て、二期生から五期生による“新生・日向坂46”へと体制が移行。相次ぐメンバー卒業と新世代メンバーの台頭、精力的なシングルリリースと全国ツアーの完走、そしてテレビやラジオ、雑誌など多方面での活躍など、グループの“節目”がいくつも重なり、次の章へ進んだ1年だった。

一期生の卒業を越えて始まった、“新生・日向坂46”への移行と五期生の台頭

 まず特筆すべきは、メンバー卒業のラッシュである。4月には佐々木美玲と佐々木久美(いずれも一期生)がグループを離れ、神奈川・横浜スタジアムで開催された『6回目のひな誕祭』では、それぞれ卒業セレモニーが行われた。長年グループを牽引してきた初期メンバーとの別れは、ファンにとっても大きな区切りだった。5月には高瀬愛奈も卒業し、デビュー当初から日向坂46を形作ってきた一期生が全員ステージを降りたことで、次のフェーズが明確に始まったと言えるだろう。

日向坂46 Blu-ray&DVD『6周年記念MEMORIAL LIVE ~6回目のひな誕祭~ in 横浜スタジアム -DAY1 & DAY2-』ダイジェスト映像

 6月には二期生の富田鈴花が配信ミニライブ内で卒業セレモニーを行い、「(アイドル人生は)幸せ以外の何物でもありません」と涙ながらに語ったのも印象的であったし、秋には同じく二期生の河田陽菜が15thシングルの活動をもって卒業し、全国ツアーの東京公演で8年間のアイドル活動に幕を下ろした。河田の「日向坂でいられて幸せでした」という言葉が象徴する通り、河田の卒業は日向坂46で過ごした時間を前向きに抱きしめて終えるものだった。

日向坂46『言葉の限界』MUSIC VIDEO

 そして12月、二期生から松田好花が卒業を発表した。12月1日のブログでは「この場所が好きだからこそこの決断」として、2026年2月末をもって日向坂46を離れる意向を明かし、16枚目シングルの活動が最後になることも伝えている。文章の中では「私は日向坂46を卒業します」とまっすぐに綴られており、この場所への愛情があるからこそ選んだ決断であることが伝わってきた(※1)。

 その流れの中で、グループに新たな風を吹き込んだのが五期生の加入だった。卒業が続く年は、ともすれば“欠けたものを埋める”視点で語られがちだが、2025年の日向坂46が示したのはむしろ逆だったように思う。五期生が加わったことで、これからの物語を担う存在が増え、グループの表現の幅も一層広がっていった感覚がある。象徴的だったのは、14thシングル期から五期生が楽曲やパフォーマンスの中で存在感を増していったことだ。ライブでも、ただフレッシュさを添えるだけではなく、先輩たちの背中を追いかけるだけで終わらない。

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 たとえば、五期生が挑んだ『新参者 二〇二五 in TOKYU KABUKICHO TOWER』のステージは、五期生にとって場数を増やすだけでなく、グループの一員として戦える手応えを掴む時間になったのではないだろうか。そこで身につけた度胸や表現が、その後の大きな舞台やツアーにもつながっていくという流れが見えたのも、この一年の大きな収穫だ。新体制の最初の大きなステージ、そしてツアーと経験を重ねる中で、グループの空気を変えていく存在として、確かに役割をまっとうしていたと思う。年明けには16thシングル『クリフハンガー』もリリース予定となっているが、そこでセンターに選ばれたのは、五期生の大野愛実だ。大野のセンター起用は、五期生がすでに日向坂46の未来を象徴する存在であることの表れだと言えるだろう。

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