日向坂46、三作ぶりの選抜制が映すものとは? 『クリフハンガー』五期生 大野愛実のセンターがもたらす変化
日向坂46が2026年1月28日にリリースする16thシングル表題曲「クリフハンガー」のフォーメーションが、12月7日深夜放送の『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)で発表された。
日向坂46は結成から“ハッピーオーラ”を掲げ、グループ全員での一体感とポジティブさで独自のポジションを築いてきた。だがデビューから数年が経ち、グループが成熟期に入った今、“これまで通り”であり続けることは、同時にゆるやかな停滞と隣り合わせでもあると考える。16thシングル『クリフハンガー』は、その局面において日向坂46がどの方向へ舵を切ろうとしているのかを、はっきりと示す作品になりそうだ。
選抜制が示す“変化”と“更新”の選択
三作ぶりとなる選抜制の再導入、そしてグループ史上初となる五期生 大野愛実の表題曲センター抜擢。この二つを同時に打ち出したこと自体が、日向坂46が現状維持ではなく、変化と更新を選ぶという意思表示になっている。ファンの間でも戸惑いだけでなく、期待に近い空気が広がっているのは、多くの人がグループの風向きの変化を必要なプロセスとして受け止めているからではないだろうか。
2026年1月28日(水)発売、
16th Single「クリフハンガー」の
フォーメーションを公開いたしました✨ぜひご覧ください☀https://t.co/GvYKG2B6VG#日向坂46_クリフハンガー#日向坂46
— 日向坂46 (@hinatazaka46) December 7, 2025
今作の選抜メンバーは14人。全員選抜を続ける道もあり得た中で、あえて少数精鋭に絞り込んだ意味は大きい。選ばれたメンバーは、歌やダンスだけでなく、テレビやラジオ、YouTubeやSNSといったデジタルメディアまで含めて、グループの顔としての役割を担うことになる。その変化を最も端的に示しているのが、四期生 清水理央のブログだ。彼女は今回かつて選抜入りできなかった悔しさを綴る中で、「アイドルは歌やダンスばかり練習して上手になるだけではいけないんだなと学びました」「おもしろい発言ができるように研究しなければいけないし、伝えたいことをきちんと伝えられるように語彙力も磨かなければいけない」と書いていたことがあった(2024年4月/※1)。そこにあるのは、選抜=歌やダンスを含めたパフォーマンスだけではなく、番組やSNSなどあらゆる場で自分の魅力を発信できる力まで含めて評価されている、という自覚だ。
冠番組や外部仕事、個人配信やSNS。アイドルの活動領域が広がった今、どの場に出ても話題を生み、見つけてもらえる存在であることが求められているのだ。選抜という枠組みが、その“総合タレント力”を可視化する仕組みとして機能し始めているのが、16thシングル期の日向坂46だと言える。
その変化の中心に据えられたのが、五期生の大野である。五期生からの表題曲センターは今回が初めてであり、これは単に“若手にチャンスを”というメッセージにとどまらない。グループの“次の物語”を誰に託すのかという問いに対する、極めて具体的な答えだ。大野はセンター決定に際して、「今回表題曲に選んでいただいたということで新しい風みたいなものを吹かせつつも、今まで作り上げてきた日向坂46という大きな歴史をもっともっと大きいものに広げられるように全力でがんばりますので、皆さん応援していただけるとうれしいです」と語っている(※2)。そこには、与えられた役割にとどまらず、グループのこれからを一緒に作っていこうとする前向きな意識が感じられる。
大野が以前から口にしてきた“先輩方を超えることが礼儀”というスタンスも象徴的だ。これまでのグループの歩みを敬いながらも、どこか遠慮があった下の世代像を、自らの言葉で少しずつ書き換えようとする姿勢。それは五期生だけでなく、四期生を含めた若い世代に、リスペクトを前提にしつつも、上を目指していい、という空気を広げていく。
センター経験は、アイドルにとって最も短期間で成長を求められるポジションでもある。大野をその位置に据えることは、彼女を次世代エースとして育てていくための戦略であり、同時に先輩メンバーに対しては“支える”、“広げる”という新しい役割を意識させるきっかけにもなるに違いない。























