RAISE A SUILENとトゲナシトゲアリが“三次元”で激突 音で戦い、熱狂へと達した奇跡の対バンライブ

『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)プロジェクトから生まれたロックバンド・RAISE A SUILEN(以下、RAS)とテレビアニメ『ガールズバンドクライ』と連動するリアルバンド・トゲナシトゲアリ(略称:トゲトゲ)が、対バンライブ『RAISE MY CATHARSIS』を12月7日に京王アリーナ TOKYOで開催した。今年1月にはトゲトゲが、『バンドリ!』から誕生したMyGO!!!!!と対バンライブ『Avoid Note』を開催しており(※1)、同プロジェクトから生まれたバンドとの競演はこれが二度目。精力的なライブ活動を展開するという共通点を持つRASとトゲトゲが、コンテンツの枠を超えた、音と音のぶつかり合いによる真剣勝負を繰り広げた。
両コンテンツにスポットを当てたオープニングムービーを経て、トップバッターとしてステージに登場したのはトゲトゲ。ステージ上手に夕莉(Gt/河原木桃香役)、下手に朱李(Ba/ルパ役)、そして中央にはギターを抱えた理名(Vo/井芹仁菜役)が登場すると、理名が激しくギターをかき鳴らしながら歌う「声なき魚」にて、勢いよくライブをスタートさせる。彼女たちがアリーナ規模でライブを行うのは今年9月に開催した初の日本武道館公演(※2)以来だが、自身のファンとRASのファンが混在するフロアを前に、トゲトゲはいつもどおり、いや、いつも以上に熱のこもった歌とプレイを届けていく。そんな彼女たちの真剣具合がストレートに響いたのか、客席からは早くもクラップが自然発生。理名の囁くような〈スベテコワシタイ〉から始まる「渇く、憂う」でも、その熱量は上昇し続け、豪快なリズムと独特のグルーヴを生み出す朱李のベース、切れ味鋭い夕莉のギター、そしてここでもギターをかき鳴らしながら全力で歌い上げる理名……これらの要素が一丸となって、場の空気を掌握していった。

鬼気迫る演奏で観る者を圧倒させるも、一方でMCでは普段のトゲトゲらしい自然体の姿を見せる。夕莉や朱李が対バン公開調印式を振り返る中、理名が「ライバルみたいな感じですけど、本当はすごく仲良しで。楽しくやらせていただいています。対バンという言葉の響きがタイマンに近いから、そういう感じになってしまっているんですかねえ(笑)」と発言すると、客席からは笑いが起こる。しかし、そんな和やかな空気も夕莉の「60分16曲、よろしくお願いします!」の一言で、再びピリッと引き締まることに。
エモーショナルさが際立つ「蝶に結いた赤い糸」にてライブを再開させると、曲タイトルにある赤い糸をイメージさせる赤いレーザーが会場中を飛び交うなど、粋な演出も用意。理名と夕莉のコンビネーションが抜群な「空の箱」、朱李の「激しくいくんじゃないの?」からなだれ込むベースソロを経て始まる「空白とカタルシス」など、アニメの名場面がリンクする瞬間も多々あり、トゲトゲファンはもちろんのこと、この日が初見のRASファンまでをも巻き込む白熱ぶりで、1曲ごとにクライマックスのような盛り上がりを見せる。そんな中、理名の高速ボーカルから始まるトゲトゲの“原点”「名もなき何もかも」は、会場にいるすべてのオーディエンスに強烈なインパクトを与え、初期衝動の塊のような熱演に惜しみない拍手が送られた。



この日は『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】青春狂走曲』および『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。』の公開直後ということもあり、『青春狂走曲』のオープニング主題歌「もう何もいらない未来」に続けて、エンディング主題歌「命をくれよ」をライブ初披露。途中でテンポが倍になるなど圧倒的な疾走感で観る者を虜にする、王道のトゲトゲナンバーである前者と、高揚感の強いサウンドに乗せて理名がじっくり丁寧に、感情をたっぷり込めて歌う後者と、フックの効いた楽曲の連発に観客は歓喜の声を上げる。
これまでのライブでもかなりの頻度で初披露曲を1曲披露してきたトゲトゲだが、さらにこの日は『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。』のオープニング&エンディング主題歌「arrow」「荊の薔薇」も初披露。特に後者はライブ時点では配信開始前で、映画の中でしか聴けない1曲だったこともあり、客席からは大歓声が湧き起こる。エモーショナルさを強調した実にトゲトゲらしい「arrow」では、タッピングを取り入れた夕莉のトリッキーなギターソロをフィーチャー。スピードを抑えることで開放感を強めることに成功した「荊の薔薇」では、幸福感の強さをにじませたメロディと演奏が会場を温かく包み込んでいく。この至福の瞬間を、オーディエンスは心置きなく満喫した。

テレビシリーズのオープニング主題歌である「雑踏、僕らの街」にて、トゲトゲのパートもいよいよ佳境に突入。矢継ぎ早に突入する「最期の禱り」、会場がひとつになってシンガロングを響かせる「爆ぜて咲く」と続け、最後に「運命の華」で会場中をハッピーな空気で充満させて、トゲトゲは約1時間にわたる自身のステージを完遂した。



















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