RAISE A SUILEN、熱気溢れるパフォーマンスが生んだ感動 史上最大ボリュームで臨んだ単独ライブ『OVERKILL』レポ

RASが生んだ感動のステージ

 RAISE A SUILEN(以下、RAS)の単独ライブ『OVERKILL』が6月19日、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催された。この春、メンバーの夏芽(Dr./マスキング役)と紡木吏佐(DJ/チュチュ役)にインタビューした際、『OVERKILL』に関して2人は「実は、そこでめちゃくちゃ曲数やるよと、先に言ってしまっていて(笑)」(夏芽)、「現在リハーサルをしているところなんですが、あんなに長いセトリは初めて見ましたよね」(紡木)、「マジで“OVERKILL”しにかかります!」(夏芽)と、RAS史上最長のライブになることを予告(※1)。どんな内容になるのか、開催前から期待感が高まる一方だった。

 前日にMorfonicaとの熱演を繰り広げた『Mythology Chapter 2』のあとだけに、一体どんなライブになるのか……前日の雨天とは打って変わって、晴天に恵まれた『OVERKILL』当日。定刻を少し過ぎた頃、ステージ上のLEDスクリーンにオープニング映像が流れ出すと、メンバーがひとり、またひとりとステージに姿を現す。いつもより神妙な面持ちの5人だが、小原莉子(Gt./ロック役)が重低音を効かせたギターリフを刻み始めると空気が一変。そのまま「SOUL SOLDIER」からライブがスタートすると、いつも通り熱気に満ちたステージが展開されていく。

Raychell

 夏芽&Raychell(Ba.&Vo./レイヤ役)がヘヴィなグルーヴを作り上げ、その上で倉知玲鳳(Key./パレオ役)が繊細かつ豪快なピアノフレーズを響かせ、さらに堅実さと派手さをあわせ持つ小原がギタープレイとリズミカルな紡木吏佐のスクラッチが楽曲に華を添える。そんな煌びやかなサウンドに乗せて、Raychellは伸びやかでソウルフルな歌声を、紡木は個性的なラップで曲に彩りを加えていく。たった1曲で場の空気を力技で一変させるその表現力と説得力こそRASの魅力だと、このライブ冒頭で再認識させられた者はきっと大勢いたはずだ。

 その流れから、間髪を容れず「EXPOSE ‘Burn out!!!’」のイントロへとつなげると、Raychellは「お前ら、暴れ倒す準備はいいか? さあ、会場ひとつになっていくよ!」とバンドリーマー(『バンドリ!』ファン)たちを煽っていく。マスク姿で声こそ出せないものの、会場の熱気が一気に高まったことは観客の表情で一目瞭然。そんなバンドリーマーを前に、RASの面々は安心の笑みを浮かべながら曲へとなだれ込む。楽曲中盤ではメンバー、バンドリーマーが一心不乱にヘドバンをして一体感を高め、続く「A DECLARATION OF ×××」でライブは早くも最初のクライマックスを迎えた。

倉知玲鳳

 シーケンスリズムに乗せてピアノ、ギター、DJがそれぞれソロプレイを披露する短尺のインストから「Sacred world」へとつなげるスリリングな演出は、いつもより長丁場のライブならではの試みだったのだろうか。プレイヤーとして高い表現力を備えたメンバー揃いのRASだけに、こうした演出はもっと積極的に取り入れてほしいと思ったのはきっと筆者だけではなかったはずだ。そこからキラーチューン「Repaint」へと続く構成も圧巻で、曲が進むにつれて熱量が上昇し続け、後半になるとメンバーが無表情でパラパラダンスを披露するアレンジ含め見どころの多いこの曲は、ライブ序盤の山場と呼ぶにふさわしいものだった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる