YEONJUN『NO LABELS: PART 01』全曲解説 魂の叫び――手に入れた自由、より強固になった自分だけの色

ついにTOMORROW X TOGETHERのYEONJUNが、初のソロミニアルバムを発表した。昨年に初のソロミックステープ『YEONJUN's Mixtape: GGUM』がリリースされてから、「近いうちにソロアルバムも発表されるのでは」と期待していた。11月7日、デビューから6年8カ月を経てリリースされたのは、1stミニアルバム『NO LABELS: PART 01』だ。今作でYEONJUNは、境界や枠を設けず自分自身を自由に表現し、自分だけの色を強固なものにした“YEONJUNコア”を提示している。

今作にはタイトル曲「Talk to You」をはじめ、全6曲が収録。これまでにTOMORROW X TOGETHER として、多数の曲作りへ参加してきたYEONJUNだが、「GGUM」では素材から歌詞、パフォーマンス構成など、制作全般を主導した。今作でも、作詞作曲やパフォーマンス企画へ参加し、作品の世界を作り上げている。そんな今作を一曲ずつ解説していきたい。
Talk to You
1曲目を飾るのは、YEONJUNがパフォーマーとしてだけではなく、ディレクターとしての顔も見せたタイトル曲「Talk to You」だ。作詞作曲をはじめ、パフォーマンスの企画から振り付けの創作までに参加し、これまでの経験を存分に発揮した。繰り返される〈When I talk to you〉というフレーズは、YEONJUNの癖のある唯一無二の歌声とともに中毒性を生んでいる。ハードロックという爆発力とシンプルさを併せ持つジャンルを選んでいるのも、YEONJUN自身や今作のコンセプトを強化する一因となっているだろう。
音楽番組で「Talk to You」を披露する際には、いずれもタンクトップにジャケットを羽織ったシンプルな衣装でステージに立った。ドラムのリズムに合わせて体を揺らすイントロだけでもダンスの上手さを感じられる。どのパートもさらりとこなしているように見えるが、動きの一つひとつを細かく見てみると、とんでもなくハードなことが行われているとわかる。サビでは頭を振り、すぐにジャンプターンをしたかと思えば、マイクを持ったまま片手でフロアを見せ、立ち上がるとまたジャンプターン。サビ以外ではゆったりと踊りながら歌い、曲全体を通してバランスよく緩急がつけられている。そのうえで、“表情管理”も完璧だ。どのシーンを切り取っても絵になる。この爆発的なエネルギーと繊細な技術が、YEONJUNをYEONJUNたらしめている。

Forever
2曲目には、エレクトロニックサウンドで雰囲気を一変させる「Forever」が収録されている。そのコントラストのなかで感じられるのは、「YEONJUNは自由だ」ということ。ステージでのパフォーマンスにフォーカスし、情熱的に歌っていた「Talk to You」に対し、「Forever」では力を抜いた歌声を披露している。そんな彼の歌声にシンセサイザーの音色と癖になるメロディが相まって、浮遊感を漂わせる心地好い楽曲だ。

今作で唯一の英語曲であるこの曲を歌いこなし、「永遠なものはないから焦らずに日々を忠実に生きていこう」という哲学的なメッセージも伝えていく。1曲目「Talk to You」とはガラリと変わった要素を違和感なく受け入れさせるのは、YEONJUNの技術力だからこそ成せる業だろう。YEONJUNはダンスだけじゃない。こうして見せた歌の技術もあれば、彼はなんだってできるのだ。

Let Me Tell You (feat. Daniela of KATSEYE)
3曲目の「Let Me Tell You (feat. Daniela of KATSEYE)」で、R&Bまで聴かせてくれた。YEONJUNは甘く気怠い歌声で、時に情熱的に自身が作詞したラブソングを歌っており、さらなる表現力の幅を見せている。この楽曲にはHYBE × Geffen Recordsによって昨年デビューしたグローバルガールグループ・KATSEYEより、メンバーのDANIELAが客演として参加。サビの掛け合いでは、DANIELAがスペイン語の歌詞を歌っている。落ち着いた歌声は大人の恋を連想させ、一途に相手を追い求めるラブストーリーが展開されるこの楽曲の世界をより深めていく。客演によってふたりの物語であることが強調された、効果的な起用だ。

Do It
4曲目「Do It」は、ジャズ風の楽器要素がプラスされたオールドスクールHIPHOPに、ドラムとベースのサウンドがビンテージな雰囲気を与える楽曲だ。3曲目からさらにスローダウンしており、アルバムとしての流れもいい。
この曲ではYEONJUNの作詞能力が光り、英語と韓国語を行き来しながら、その両方で韻を踏んでいく。また、〈Speed it up, speed it up, slow it down〉というフレーズは、語呂のよさにプラスしてリズムに変化を出しており、聴いていて心地好い。サビでは〈Do it, do it how I do it〉と、「俺のやり方をやってみろ」とでも言うように歌われている。到底誰にも真似できない“YEONJUNコア”を真似してみろと伝えているのか、YEONJUNが自身に向けて自分のスタイルを問うているのか――。そんなふたつのメッセージが見えてくるのだ。

Nothin’ Bout Me
YEONJUNが作詞作曲に参加した5曲目「Nothin’ Bout Me」は、マーチングドラムから始まり、続く力強いラップでまた違ったエネルギーを見せた。同曲には明らかにYEONJUNの自信に漲った歌詞が散りばめられ、枠のなかに閉じ込めようとする人々に向かって「君たちは僕について何も知らない」と堂々とした態度で伝える。言葉のラベルはいらない、疲れていても関係ないと叫ぶ。グループとしてのスケジュールだけでも多忙を極める日々のなか、ソロ作品の制作を進めてきた苦労は想像に難くない。悩みに悩み、極限の状態で絞り出したアイデアもあるだろう。ハードスケジュールをこなし、言動の一つひとつを評価されるなかで生まれた自信と、唯一無二だと再確認した自分という存在。それを鋭くシンプルな言葉で表現したこの歌詞は、もしかしたら彼の魂の叫びなのかもしれない。

Coma
ソロアルバムのラストを飾るのは、「Coma」。ここでも作詞に携わり、ステージを掌握しようとするYEONJUNの自信と抱負、率直な思いが盛り込まれた。〈’Till the coda〉(曲の終わりまで)という印象的なフレーズは、のちのビハインド映像のタイトルにも冠されている。テープが伸びたようにテンポが緩やかになる後半のパートは、彼の自信に満ち溢れた言葉をじっくりと聴かせるようだ。シーンを背負う覚悟や憧れの対象となる自負が、そこには感じられる。アルバムを最後まで聴くうちに、“YEONJUN”という存在から目を離せなくなり、ここがどこなのかすらわからなくなるような錯覚に陥るほどじっくりと作り上げられた世界に呑み込まれた感覚が、テンポが緩やかになり、ついにはYEONJUNの声しか聴こえなくなるこの曲の構成と重なる。そして、そのまま1曲目「Talk to You」に戻り、再びこの作品を聴き出してしまうのだ。

『'NO LABELS: PART 01』のMVとして公開された映像も面白い。6分2秒のなかで「Coma」「Let Me Tell You (feat. Daniela of KATSEYE)」「Talk to You」の3曲が展開されているのだが、アルバムの1曲目を最後で、最後の曲を1曲目で見せるという、アルバムとは正反対の流れになっている。このミニアルバムを初めて聴いた時、最後の「Coma」を聴きながら「こんなにテンションの上がる曲を食らって、そのままこの世界を終われない。もう一周だ!」と勢いづいてしまった。それがこのMVは、「Coma」とともに一対一で喧嘩をするかのようなシーンから始まる。“ソロアーティスト・YEONJUN”を強く叩きつける作品なのだと象徴するような映像だ。
「Talk to You」のパフォーマンスでも特に印象的なダンサーの上に立つ部分では、〈그럼 더 크게 call my name〉(じゃあもっと大きな声で名前を呼んで)と歌っている。TOMORROW X TOGETHERが歌い続けてきた“名前を呼ぶ”というテーマや、グループとして先日リリースした日本3rdアルバム『Starkissed』のタイトル曲「Can't Stop」で歌う〈Can’t stop calling you〉(君の名前を呼び続ける)という歌詞にも共通するメッセージがここでも刻まれているように思う。

『NO LABELS: PART 01』のMVでは、「Talk to You」のサビでヘリポートへ場所が移る。TOMORROW X TOGETHERの「Magic」パフォーマンスビデオでもヘリポートでダンスを披露しており、ここでもグループとの対比を楽しめると思う。TOMORROW X TOGETHERとして積み上げてきたグループとしてのイメージを、あえて覆すようなソロでの表現。これこそがYEONJUNの掲げる“NO LABELS”ということだろか。

過去にリアルサウンドのインタビューで、YEONJUN自身が「僕という人はただひとりだから」(※1)と語っていたことを思い出す。その通りだ。YEONJUNという特別な、唯一無二のアーティストを、どう言葉にできようか。もちろん、彼の抱える苦労も(制作の過程についてはぜひ「견뎌 Till the CODA」の動画を観てほしい)。彼がダンスで、歌で、詞で、ビジュアルで表現していることを、言葉ひとつで語るのは不可能なんじゃないかと、この作品が届けられた今思うのだ。
全曲を聴いたうえであらためて、飾り気のないジャケットがかっこよすぎると言いたい。身ひとつだ。タイトルは『NO LABELS』、それも『PART 01』と続編を窺わせる。とにかくかっこいい。これこそがYEONJUNだ。彼を修飾する言葉も、分類するラベルもいらない。こうしているあいだにも、彼のパフィーマンス動画やビハインド動画といったコンテンツがたくさんアップされている。“YEONJUN”を見て、聴くだけで過ぎていく日々に身を沈めたい。

※1:https://realsound.jp/2024/04/post-1633334.html
■リリース情報
YEONJUN『NO LABELS: PART 01』
発売中
配信URL:https://yeonjun.lnk.to/nolabelspt1_jpWE
「NO LABELS: PART 01」:計3形態(SET-UP A/SET-UP B/SET-UP C)
3,080円(税込)
「NO LABELS: PART 01(Weverse Albums ver.)」:計3形態(SET-UP A/SET-UP B/SET-UP C)
2,200円(税込)
「NO LABELS: PART 01(Trunk Shorts Ver.)」:1形態
7,150円(税込)
「NO LABELS: PART 01(Photocard Case Ver.)」:計2形態
2,860円(税込)
■ツアー情報
『TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : TOMORROW> IN JAPAN』
※終了した公演は割愛
愛知・バンテリンドームナゴヤ
2025年12月6日(土)OPEN 15:00/START 17:00
2025年12月7日(日)OPEN 14:00/START 16:00
福岡・みずほPayPayドーム福岡
2025年12月27日(土)OPEN 15:00/START 17:00
2025年12月28日(日)OPEN 14:00/START 16:00
東京・東京ドーム
2026年1月21日(水)OPEN 16:00/START 18:00
2026年1月22日(木)OPEN 16:00/START 18:00
大阪・京セラドーム大阪
2026年2月7日(土)OPEN 15:00/START 17:00
2026年2月8日(日)OPEN 14:30/START 16:30
<チケット>
・指定席:16,500円(税込)
・プレミアムシート(アップグレードチケット/MOA Membership限定):27,500円(税込)
※指定席 16,500円+アップグレードチケット 11,000円
※3歳以上要チケット。3歳未満は入場不可。
※別途プレイガイド手数料がかかります。
※プレミアムシートの一般販売予定はございません。
※各チケットの注意事項および詳細は特設サイトにてご確認ください。
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