新着MVランキング:乃木坂46「ビリヤニ」はやみつき必至? 王一川監督による映像の面白さとニクい仕掛け
MV Chart Forcus
毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV Chart Focus」。11月7日〜11月13日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:乃木坂46「ビリヤニ」MV
2位:Snow Man「愛のせいで」Rec Video
3位:BE:FIRST「I Want You Back」THE FIRST TAKE
4位:玉置浩二「ファンファーレ」MV
5位:DECO*27「カイコ feat. 初音ミク」MV
6位:Juice=Juice「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」THE FIRST TAKE
7位:Kanaria「カートゥーンガール」MV
8位:STARGLOW「PIECES (STARGLOW Ver.)」Lyric Video
9位:サカナクション「怪獣」from『SAKANAQUARIUM 2025 "怪獣”』
10位:ザビャン「67の起源」MV
今回取り上げるのは、乃木坂46の40枚目のシングル表題曲「ビリヤニ」のMV。前作『Same numbers』から約4カ月ぶりとなるリリースで、6期生の瀬戸口心月と矢田萌華がWセンターを務めている。近年ブームの兆しのあるインドなどのルーツ料理の名前をタイトルに選ぶというトリッキーさが目を引くが、曲調はきわめて明るく爽やかなポップソング。“ビリヤニ”という一度聞いたら忘れられない語感のワードを効果的に使いつつ、恋を成就させようと必死にもがく主人公の心情を生き生きと描いている。
MVは異国のマーケットのような路地を訪れた瀬戸口と矢田のドラマパートからスタート。雑貨を見ていたふたりの後ろで、突如TVが起動。そのまま画面の中の世界に入り込んでしまうという展開とともに、イントロが始まる。続くAメロ、Bメロでは、センターのふたりが魔法のスパイス(?)をかけられミニサイズに。不思議な世界に集ったメンバーたちがふたりをもとの姿に戻すべく、道具を探したり文献を調べたりしてスパイスの調合に挑む。サビでは、めでたく元の姿に戻ったふたりを中心に華やかなフォーメーションダンスを披露。エキゾチックなボリウッドダンスとアイドルらしいキュートな振り付けの融合が、新鮮かつ斬新に映る。
2番では肖像画に描かれたメンバーが歌い出したり、瓶からこぼれたスパイスの効果で体が浮き上がったりと、ファンタジックな演出がさらにパワーアップ。その後はお揃いの衣装にチェンジし、ワンフレーズずつサビを歌い継いでいく。間奏ののち、一列に並びCメロを歌うメンバーを順に映し出すパートを挟み、大サビへ。ふたつのシチュエーションと装いを目まぐるしく切り替えながら、歌い踊るメンバーの弾ける表情が映し出される。曲が終わると、調合に成功したスパイスを手にした瀬戸口と矢田をメンバーが取り囲み終幕。どこかホッとしたような表情は、初センターという大役を見事務め上げた充足感の表れともとれる。
MVの監督は「不道徳な夏」や「ってかさ」を手掛けた王一川。ギミックや遊び心たっぷりの映像を得意とする彼らしい、細部までこだわった演出は今作でも健在。特に、スパイスと異国情緒あふれる小物を散りばめた映像で未知のものへのワクワク感を表現し、歌詞で綴られる主人公の心情をなぞってみせた点は興味深い。まだ食べたことがないビリヤニへの期待と初デートに臨むドキドキ。それらが渾然一体となって生まれる感情は、調合することで芳醇な香りや味わいを生むスパイスの世界ともリンクする。そしてどちらも、一度味わったらやみつき必至。スパイスを手に入れてしまったセンターのふたりも、もしかしたらもう元の世界には戻れないという設定なのかもしれない。結局“ビリヤニ”は登場せず、〈ビリヤニって何?〉という謎を残したまま終わるのもニクい仕掛けだ。MVを観てビリヤニを食べてみたくなったファンもさぞ多かろう。
そんな乃木坂46は、『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出場が決定しており、来年1月14日には約7年ぶりとなる新作オリジナルアルバム『My respect』を発売。29thシングル『Actually...』から最新シングル『ビリヤニ』までの表題曲と新曲が収録される。さらに2月にはアルバム発売を記念したライブの開催も発表されており、年明けからすでに全力疾走していきそうな勢いだ。このタイミングでリリースされる本作が、新たなシーズンへ向けた起爆剤として一役買うのは明らか。2026年の活躍にもいっそう期待が高まる作品だ。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly


























