乃木坂46、40thシングル「ビリヤニ」フォーメーション解説 6期生 瀬戸口心月&矢田萌華のWセンターは何を意味する?

 11月26日にリリースされる乃木坂46の40thシングル表題曲「ビリヤニ」の選抜フォーメーションが、10月19日深夜放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で発表された。そこで明かされたのは、グループ最年少世代である6期生の瀬戸口心月と矢田萌華をWセンターに据えた16人選抜という大胆な構成だ。

【公式】「乃木坂工事中」# 536「乃木坂46 いい旅選手権 後編」2025.10.19 OA

 加入から約9カ月の6期生の2人が表題曲のセンターに抜擢されるというサプライズには、大きな驚きがあった。今このタイミングでの6期生Wセンター起用は何を意味し、そこにはどのような戦略が垣間見えるのか。本稿ではその狙いと背景を、過去のフォーメーションとの比較も交えながら紐解いてみたい。

瀬戸口・矢田のWセンターは自身の資質と努力に裏打ちされた必然の起用に

 今回のWセンター起用は、乃木坂46が世代交代を本格化させる中で打ち出した“攻めの戦略”と言える。前作では、4期生の賀喜遥香が単独センターを担い、グループの“再構築”を印象づけたが、前々作となる38thシングル表題曲「ネーブルオレンジ」では、5期生の井上和と&中西アルノの2人がセンターを務めた。今作は、その「ネーブルオレンジ」以来のWセンターとなった。

 過去を振り返ると、乃木坂46は要所要所で大胆なセンター起用に挑んできた経緯がある。初期には生駒里奈がグループの顔を務め、白石麻衣や西野七瀬、齋藤飛鳥、山下美月といったエースが世代が変わるごとに台頭。Wセンター楽曲としては、白石麻衣と西野七瀬による「今、話したい誰かがいる」「インフルエンサー」を経て、2017年には3期生の大園桃子と与田祐希を18thシングル表題曲「逃げ水」でWセンターに抜擢した。そうした流れの中で、加入して1年足らずの6期生をセンターに、それもWセンターという形で抜擢した今回。5期生の中西が加入から約1カ月半で29thシングル『Actually...』で表題曲センターに起用されたのも記憶に新しいが、乃木坂46が新メンバーを積極的に前面に押し出してきた通例の延長線上にあるだろう。運営の明確な意思を感じさせる、大胆な一手と言えると思う。

乃木坂46 『逃げ水』

 Wセンターに抜擢された瀬戸口と矢田は、ともに今年2025年2月に初お披露目された6期生メンバー。瀬戸口は鹿児島県出身の20歳、矢田は秋田県出身の17歳。2人ともすでに期別曲で頭角を現しており、矢田は6期生楽曲「タイムリミット片想い」、瀬戸口は6期生曲「なぜ 僕たちは走るのか?」でセンターポジションを務めている。そうした実績があったからこそ、今回の大役にも白羽の矢が立ったのだろう。

乃木坂46『タイムリミット片想い』
乃木坂46『なぜ 僕たちは走るのか?』MUSIC VIDEO

 矢田は地元・秋田の“憧れの先輩”として生駒に強い想いを寄せ、オーディションを受けるきっかけとして5期生の池田瑛紗を挙げており、先輩たちの背中を追って乃木坂46の門を叩いたという背景を持つ(※1)。グループ創成期に秋田出身のメンバーがセンターを担ったように、結成15年目の成熟期を迎えた今のグループに秋田出身の新センターが再び誕生した点は、何だか運命めいたものをも感じる。

 一方の瀬戸口は小柄ながら芯の強さを備えた努力家で、南九州・鹿児島出身。乃木坂46において、全国各地から多様な才能が集う現在のグループならではの魅力を体現しているとも言える。

 選抜発表時、瀬戸口が「まだ理解が追いつかない」と戸惑いつつも「萌華と一緒に頑張りたい」と意気込みを語れば、矢田も「頭が真っ白になった」と心境を吐露しながら「後輩だからって、先輩たちに甘えてばかりじゃダメだと思うので、自分のできることを探してこのシングルを通して強くなりたい」「この子たち(6期生)ならやっていけると思ってもらえるように成長したい」と前向きな決意を示した。フレッシュな2人ではあるが、その言葉からは責任感と向上心が感じられ、新人とは思えない堂々とした姿勢が窺える。グループの“顔”となるセンターに抜擢された背景には、こうした内面の成熟ぶりも評価されたのではないだろうか。瀬戸口と矢田のWセンターは、単なる話題という領域に留まらず、彼女たち自身の資質と努力に裏打ちされた必然の起用だったのだろう。

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