Devil ANTHEM.、新メンバー加入で見えた変化の肯定と“今”を超える力 『a story beyond』制作の想いに迫る

デビアン、メンバー加入で見えた変化の肯定

 昨年末の活動休止を経て、今年3月に塩崎めいさと矢吹寧々を迎えた新体制で再始動したDevil ANTHEM.。アイドル未経験の“大型新人”を加えた6人は、戸惑いも重ねながら“物語のその先”へ歩みを進めてきた。10月22日にリリースされたアルバム『a story beyond』には、過去との比較や葛藤を受け止め、それでも前に進もうとする彼女たちの決意が息づく。加入から半年、変化の最中で見つけた“デビアンらしさ”とは――竹越くるみ、塩崎めいさ、矢吹寧々の3人に話を聞いた。(編集部)

「6人一緒にアイドル1年目の気持ちで」──新体制デビアンが生まれた瞬間

ーーDevil ANTHEM.(以下、デビアン)は昨年末に一度活動休止するものの、今年2月には塩崎めいささんと矢吹寧々さんの加入を発表して、3月から新体制でライブ活動をスタートさせました。この体制になってから半年以上経過しましたが、竹越さんから見たお二人はどんな子たちですか?

竹越くるみ(以下、竹越):私は2人のことを“大型新人”と呼んでいるんですけど、レッスンを始める前は歌もダンスも未経験で、一般人として普通の生活をしていた子たちなんです。でも、逆にそのおかげで変なところで肝が据わっていて、恐怖心を感じることなく何でも前向きに楽しんでくれていて。キャピキャピしながらどんなことにも挑戦できる新メンバー2人に、先輩メンバー4人もいい方向に引っ張られて、6人一緒にアイドル1年目の気持ちで活動できています。

竹越くるみ(撮影=三橋優美子)
竹越くるみ

ーーそもそも塩崎さんと矢吹さんはアイドルはもちろん、芸能活動も未経験だったわけですが、アイドルに対して興味はあったんですか?

塩崎めいさ(以下、塩崎):それが、最初の頃は全然なくて。アイドルの世界に関しても疎くて、「楽しくてすごくキラキラした職業なんだろうな」と思っていたくらいで……。初めてレッスンを受けた時も、自分で全力で踊って歌ってみると1曲でこんなにキツいのかと初めて気付いて、「アスリートみたいなことをしてるんだ」と実感しました。

矢吹寧々(以下、矢吹):私はもともとアイドルが好きでしたけど、自分がアイドルになるとは想像もしていなくて。もともと自分が知っていたアイドルグループ以外のことはほとんど知らなかったのですが、デビアン加入をきっかけにこの世界を知りました。

塩崎めいさ(撮影=三橋優美子)
塩崎めいさ

ーーデビアン加入から半年以上が経過しましたが、お互いの印象についてはいかがですか?

塩崎:2人でいる時は本当にずっと笑ってて。お仕事の時は同じアイドルグループで活動するメンバーですけど、お仕事が終わると「ごはんに行く?」とか「一緒に帰る?」っていう、普通の19歳の女の子の友達っていう感覚だから、一緒にいて楽だし、何に対しても「それなそれな!」って言い合ってます(笑)。

矢吹:加入前のレッスン時代からめいさちゃんは歌もダンスも上手で、いろいろ教えてもらうことも多くて、すごくしっかりしてる子だなっていう印象でした。でも、加入してからずっと一緒にいると、知らなかった一面もいろいろ出てきて。常に明るいからどんな話をしても安心できるし、気付いたら本音で話し合えるようになって、トーンが合うんだなと思いました。

矢吹寧々(撮影=三橋優美子)
矢吹寧々

ーーデビアンに対しては、加入前はどういう印象を持っていましたか?

塩崎:加入前からライブを見学する機会があったんですが、当時はここに入るっていうことをまだ知らなかったので、「すごくカッコいいアイドルだな、こんなに爆音の中でバリバリ生歌で踊るんだ!」ってすべてが衝撃で。すでに完成されているグループという印象でした。

矢吹:私も以前からライブを見学させていただいていたんですけど、まずその迫力に驚きました。中でも一番印象的だったのは、フロアのお客さんがすごく盛り上がって、一体感を作り上げていたこと。ファンの皆さんがアイドルと同じぐらいの熱量で応援している空間がすごく素敵だなと思って観ていました。

ーーでは、加入してからのグループの雰囲気や先輩たちの印象は?

塩崎:最初は10年やってきた大先輩の中に入ったという意識がすごく強かったから、何に対してもサラッとこなしているのかなと思っていたんです。でも、実際は何事に対しても謙虚で、本番前には練習を欠かさないし、直前には緊張もしている。これを10年続けられていることがシンプルにすごいなって、今も身に沁みて感じていますし、だからこそ私たちももっと頑張らなきゃいけないって気持ちにもなります。

矢吹:私も勝手なイメージで、芸能界とかアイドルの世界って裏側ではみんなライバルみたいな意識があって、バチバチしているのかなと思っていたんですけど、いざ加入してみると想像とまったく違っていて。何もわからない私たち2人が急に入ってきたのに、1からすごく丁寧に教えてくれて、本当に優しいなという印象です。

竹越:2人が入る前のデビアンって、新メンバーが入ってきてもみんな年齢が近かったから、先輩後輩感があまりなくて「仲間がひとり増えた」というか……ライバルが増えたって感じだったんです。当時の自分たちは思春期真っ只中だったから、新しいものが怖かったし、「和を乱されたらどうしよう」と勝手にツンツン、バチバチしようとしていて。そこでいっぱい失敗もしたので、今度は大人になっていろんなことに慣れてきた私たちが2人に対して、赤ちゃんを育てるようなつもりで、どんなことが起きても受け止めようと準備していたんです。でも、想像を遥かに超える柔らかい子たちが入ってくれて本当によかったなと思っています。

矢吹:歌って踊る時のマイクの持ち方もわかっていなかったし、自分のパートがきたときもどのタイミングにマイクを口元に持っていけばいいかもわからなくて。そういうことも全部、先輩方が丁寧に教えてくださったんです。

竹越:3列に並ぶ時はこれくらいの感覚だけど、2列だとこう変わるんだよとか、私たちも普段感覚でやっていたルールをちゃんと言葉で伝えなくちゃいけないので、改めて気が引き締まるんですよ。そういう意味では働き方改革じゃないですけど(笑)、「これは別に必要ないね」ってことも浮き彫りになったので、すごくいいきっかけになったなと思います。

Devil ANTHEM.(撮影=三橋優美子)

ーー新生デビアンとして今の空気感が出来上がってきたなと感じた瞬間って覚えてますか?

竹越:2人と初めて会ったのが今年の2月1日だったんですけど、その後から一緒にレッスンを始めて。最初はガッチガチだったんですけど、その頃から今の空気感があったように感じます。そこに加えて、最近は慣れてきたのもあってか、ちょっとおちゃめな部分が出てきたんですよ。だんだん楽しい雰囲気が強まっているような気がします。たとえば、2人がよくわからないことをずっと喋っていて、それを先輩4人がずっとはてなマークを浮かべて眺めているような(笑)。

塩崎・矢吹:(笑)。

竹越:とにかく2人の世界観がすごい。「ラーメン食べに行かない?」って時も、ずっと肩を震わせて「ラーメン……(急にテンションが上がり)ラーメンラーメン!」みたいに、もうワケがわからないんですよ(笑)。年齢がそこまで大きく離れているわけではないんですけど、普通の19歳ってラーメンひとつでこんな盛り上がるのかっていう驚きがありました。遠征で初めて新幹線に乗った時も、先輩たちはみんな寝ているんですけど、2人は急に「富士山っ!」ってスマホで連写し始めて。でも、新幹線のスピードが速すぎてちゃんと撮れていないみたいな(笑)。あと、対バンイベントでほかのアイドルさんと共演した時も、「一緒に写真を撮ってもらっていいですか?」と誰かひとりにお願いするんじゃなくてグループ全員に囲んでもらって撮っていたんですよ。

塩崎:だって、皆さん本当に可愛いから誰かひとりを選ぶことができなくて……(苦笑)。

竹越:きっとほかのアイドルさんもそんなことを言われるのが新鮮だから、皆さん「可愛いね!」と言って要求に応えてくださるんだと思います。あと、別のインタビューで寧々ちゃんが途中で何を喋っているかわからなくなって、普通に「わかりません」とか言い始めて(笑)。それが新鮮すぎてみんな笑っちゃったし、そういう意味でも本当に大型新人なんですよ。

矢吹:すみません……(苦笑)。

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