橘ケンチ・EXILE SHOKICHI・EXILE NESMITH・岡田武史『EXILE CUP』座談会 “繋がり”を糧に大会として見据える未来

『EXILE CUP』は、社会貢献活動としての過渡期を迎えている?

――『EXILE CUP』という大会名ではあるものの、そこまでLDH色を前面に出した大会ではないと言いますか、基本的にはフットサルをやる小学生たちが主役の大会なわけで……。
ケンチ:そうですね。ただ、今年は、地区予選の開会式で、数カ所ですけど、EXPGという僕らがやっているダンススクールの生徒に来てもらって、オープニングアクトとして、ちょっとダンスをしてもらって、みんなを盛り上げるみたいな取り組みもさせていただいて。やっぱり、LDHはエンタメの会社なので、もう少し大会にエンタメ色みたいなものを入れてもいいような段階になってきているのかなっていうのは、今いろいろと考えているところです。
――岡田さんは、今日の決勝大会を、どんなふうに見ましたか?
岡田:チームが増えたからかわからないけど、やっぱり今年は、お客さんの数が増えている印象はありますよね。ただ、来ていただいている方々は、基本的には保護者とか選手の関係者なので、もうちょっと地元の人というか、一般の人たちが観にきてくれるようなものになってもいいのかもしれないよね。それぐらい面白い大会になってきていると思うし、そもそも無料で観戦できる大会なので、ある種の「お祭り」みたいな感じで、スタジアムのまわりにキッチンカーを出したりとかして、子どもたちの関係者ではない一般の人たちが気軽にやって来れるような、お祭り的な盛り上がりがあってもいいのかなっていうのは、今日の会場の様子を見ていてちょっと思ったかな。

――地元今治の人たちは、この大会のことをどれぐらい認知しているのでしょう?
岡田:ほとんど知らないと思うよ。そういう宣伝は、これまでやってこなかったというか、LDHのアーティストの誰が当日のゲストで来るのかっていうのも、前もって言わないじゃない?
ケンチ:そうですね。あくまでも、子どもたちが主役の大会なので。
――その按配というか、バランスがすごく難しいところですよね。多くの人に知ってほしいけど、大会の主旨から外れるようなことは、あまりしたくないという。
ケンチ:そうなんですよね。今回は誰々が来ますよっていうことを事前に告知していないのも、そういう理由からなんです。あくまでもこの大会は、社会貢献事業のひとつとしてやっていることなので、僕らが前面に出てしまうのも、またちょっと違うのかなっていうのがあって。だけど、この大会のことは、もっとたくさんの人に知ってもらいたいという。そこがちょっと歯がゆい部分ではあるんですけど……。
岡田:でもさ、もうこのあたりでそろそろ振り切って、社会貢献というか、ちゃんとビジネスとして成り立つようにしていったほうがいいのかもしれないよね。今年も結構入ってもらっているけど、もっとスポンサーを募って、ちゃんと事業化するとか。そうじゃないと、長続きしないよ。
ケンチ:そこはちょっと、過渡期な気はしますよね。そもそもこの大会は、2010年のワールドカップ南アフリカ大会のときに、EXILEが「VICTORY」というサッカー日本代表の応援歌を作らせてもらったことで、当時日本代表の監督だった岡田さんとご縁ができて、その繋がりで始まった大会であって――最初は本当にもう、言ってしまえば、子どもたちの夢を僕らが全力で応援しますっていう思いだけで、全部自分たちの持ち出しでやり始めた大会だったんですよね。そこから年月が経ち、いろいろな方々に協力していただきつつ、途中にコロナ禍があって、なかなか大変な時期もあったりして。それも含めて、今、岡田さんが言ったように、ちゃんとサステナブルに続けていけるような事業システムというものを、そろそろ考えていかなくてはならない段階に入っているのかなっていうのは、今ちょっと感じているところではあります。
岡田:そうだよね。だって、第一回大会は、東京・江東区の体育館とかでやって――基本的にはLDHのファンが中心の集まりみたいな感じで、選手のレベルも全然大したことないというか、1、2チーム強いところがきたら、そこが圧倒して優勝しちゃうみたいな(笑)。そんなところから始まっている大会なわけで……。
13年続いたからこその「繋がり」を大切にしてより良い大会に

――それが今や、この大会に参加した子たちが、その後Jリーガーはもちろん、世代別の日本代表に選ばれたりするような活躍を見せているわけ。ちょっと隔世の感があるというか、よくぞここまで大会を継続して、育て上げてきましたよね。
ケンチ:ありがとうございます。そこは、岡田さんをはじめ、ご協力いただいているみなさんのおかげと言いますか、やっぱり夢に向かって必死で頑張っている子どもたちと接することで、大人たちも、すごく元気や刺激をもらえるし、そこにたくさんの可能性を見出すことができるんですよね。だからこそ、ここまで長く続けてこれたのかなっていうのは思っていて。もちろん、まだまだ課題や改善すべきところはたくさんあると思いますけど、引き続きみんなで試行錯誤しながら、この大会を続けていけたらなって思っています。
NESMITH:やっぱり、年数にして15年、大会の数で言ったら13回やることによって築き上げたものが、きっとあると思うんですよね。フットサルの大会としても、それなりに歴史のある大会になってきているわけで。なので、そこに参加した僕らとしては、ここで実際に見て感じたものを、できるだけ発信して、もっと多くの人たちに知ってもらえたらいいなっていうのは、今日この場所に来て、改めて感じました。そうやって、この大会の未来に繋げていけたらなって思っています。
SHOKICHI:やっぱり、スポーツの何が素晴らしいって、挨拶だったり礼儀だったり、そういうことを学べることだと思うんですよね。あと、勝つ喜びはもちろん、負ける悔しさを、そこで感じることができるという。それはきっと、大人になってからも、自分自身の糧になるというか、その後の自分を作り上げるものになっていくと思うんです。なので、そういう場所を提供できている、この『EXILE CUP』というプロジェクト自体、僕はすごく素晴らしいことだと思いますし、会社としてこういう活動をやっていることは、自分たちの誇りにもなると思っていて。だから、僕らとしても、こういう場所を大切にして、なおかつそこに貢献できるような自分でありたいなっていう。今日ここに来て、改めてそんなことを感じました。
――「Dreams for Children・子どもたちに、夢を。」という社会貢献的な側面はもちろん、ここ今治で決勝大会をやるようになってからは、「地域共生」という側面が生まれてきているようなところが、すごく面白いと思いました。
ケンチ:そうですね。それは本当に、岡田さんのおかげというのが大きいと思うんですけど、僕自身、本当に面白い成り立ちと仕組みをもった大会になっていると思っているし、いろいろな人や企業さんと、僕らなりの「繋がり」を築きながら、今後もっともっと面白い大会にしていけたらなっていいなって思っています。
「この大会はまだまだ面白くなる」(岡田武史)

――では最後に、岡田さんのほうから締めの言葉を。
岡田:まずは、日本サッカー協会の副会長として、こういう大会を長年にわたって続けてきてもらっていることは、本当に感謝しかないです。それともうひとつ言うのであれば、今ケンチさんが言った「繋がり」というものを、この大会に参加してくれた子どもたちも含めて、今後も大事にしていけたらいいなっていうのをちょっと思っていて。ビジネスの世界では、最近はよく「アルムナイ」とか言いますけど、自分はこの大会の出身者であるとか、参加者同士のネットワークみたいなものを作っていけたら、ちょっと面白いんじゃないかなと思っていて。そういうものが、将来的なところで、お互い役に立つようなことが、きっとあると思うんだよね。
ケンチ:なるほど。大会に参加した子どもたち同士の交流というか、その繋がりみたいなものが年代を超えて生まれていったら、また面白くなりそうですよね。
岡田:そういう意味でも、この大会はまだまだ面白くなると思うし、いろいろと期待しています(笑)。
ケンチ:はい、頑張ります(笑)。こちらこそ、引き続きよろしくお願いいたします。





















