岡田武史×ラモス瑠偉×橘ケンチ×EXILE TETSUYA座談会、『EXILE CUP』を続けることの意義

『EXILE CUP 2024』座談会

 9月15日、愛媛県今治市にある「アシックス里山スタジアム」で、小学校4年生から6年生を対象としたフットサルの全国大会『EXILE CUP 2024』の決勝大会が今年も開催された。

 コロナ禍により一時は大会の開催見合わせをしていた時期もあったが、昨年より再開され、今年で12回目の開催となる。『EXILE CUP』がこれほど長期間続くようになったことでの大会のあり方の変化を大会アドバイザーを務める岡田武史とラモス瑠偉、橘ケンチ(EXILE/EXILE THE SECOND)、EXILE TETSUYA(EXILE/EXILE THE SECOND)に語り合ってもらった。(編集部)

『EXILE CUP』は年々レベルアップする大会に

ラモス瑠偉

――今年も晴れて『EXILE CUP』の決勝大会を、ここ今治で迎えることができたと同時に、昨年と同じく、またみなさんとお会いすることができました。まずは、今年の大会全体を通しての感想を聞かせてください。

ラモス瑠偉(以下、ラモス):毎年言っていることですけど、毎回毎回、本当にレベルが高くなっていると思います。チームとしてもそうですけど、個人に関してもめちゃめちゃ上手い子が何人かいて。残念ながら決勝には来てないんですけど、地区大会で男の子たちに交じってものすごい上手な女の子がいました。

岡田武史(以下、岡田):今年は、(予選大会に)全国で456チームが参加してくれたんだけど、応募自体はもっと多かったらしくて。地区大会は、それぞれの地域で朝から夕方まで丸一日かけてやるんだけど、あまりチーム数が多いと一日では終わらないじゃないですか。関東とか関西はチーム数が多いから、なかなか大変だったみたいだけど、小学生サッカーの世界では、それぐらい知名度が上がってきているということですよね。

橘ケンチ(以下、橘):僕は去年の秋から、LDHのSocial Innovation Officer(ソーシャルイノベーションオフィサー)という「社会貢献」と「地方創生」を見る立場になったということもあって、今年の『EXILE CUP』に関しては、長野、群馬、福島、沖縄、愛媛、山口、北海道、岐阜、奈良、佐賀と、すべての地区大会の会場を回ったのですが、大会的には、年々面白くなっているなっていう感覚があるのと同時に、やっぱり反省点とか課題もあって。今年の夏は、とにかく暑かったじゃないですか。

――そうですね。

橘:地区大会は、6月から8月の終わりぐらいにかけてやったのですが、結構猛暑の日が多くて。それがちょっと心配だったので、来年以降は時期をズラすことを考えるとか、対策を練らないといけないなって思いました。

EXILE TETSUYA(以下、TETSUYA):今年の決勝大会も、すごく盛り上がっていて、素晴らしいなって思いましたが、これだけ継続できていることは、改めてすごいことですよね。もちろん、そこには協力してくださる方々が、年々増えてきているということもありますが、だからこそ、すごくいい大会になっているんだなっていうのは感じていて。あと、僕が監修した「クラッキ!ダンス」(※EXILE TETSUYA監修のもと、日本サッカー協会が開発したウォーミングアップダンス)を活かせる場所として、やっぱりこの大会は最高なんですよね。今日も開会式のあと、子どもたちと一緒に踊ることができて嬉しかったですね。

――(笑)。子どもたちも、結構楽しそうに踊っていましたよね。

TETSUYA:そうなんですよね。地区大会でも踊っていただいているようで、毎回Instagramとかをチェックして「今日も踊りました!」みたいな動画を見たりしているんですけど、ちょっとずつ浸透してきたと言いますか、みんな結構踊れるようになってきたなっていうのはすごく感じていて。だから今日、子どもたち一緒に踊れて、すごく楽しかったです(笑)。

『EXILE CUP』はただフットサルをやるだけの大会じゃない

EXILE TETSUYA
EXILE TETSUYA

――今、TETSUYAさんのほうから「継続できていることはすごい」という話がありましたが、継続できているいちばんの理由は、どんなところにあると思いますか?

岡田:そうだよね。もともとLDHがサッカー事業をしていたとか、そういう話でもなかったわけで。そう考えると、やっぱりLDHというのは、なかなか変わった会社ですよね。儲けにならないようなことを、平気でやるというか(笑)。それこそ、2014年に僕が今治に来たときに、HIROさんが「岡田さんの夢に共感しました」と言って、LDHがFC今治のスポンサーになってくれたんです。あれがなかったら、今のFC今治はなかったと思うし、あのときの恩は忘れないんだけど、やっぱり変わった会社だなっていうのは、改めて思うよね(笑)。

TETSUYA:やっぱり僕らLDHは、「夢」というワードにすごいパワーを感じているところがあるんですよね。だから、この『EXILE CUP』も「“子どもたちが夢を叶える場所”を作ろう」っていうことを、いちばん最初の立ち上げのときから掲げているからこそ、ここまで続いてきたんじゃないかなって思っていて。僕らLDHは、基本的にはエンタテインメントの会社なので、そもそもサッカーとの繋がりはまったくなかったというか、今もこの『EXILE CUP』ぐらいしかないんですけど(笑)。でも、だからこそ、ここまで続けてきたっていうのはあるかもしれないです。直接的な繋がりがないからこそ、純粋な気持ちでやってこれたっていう。

岡田:あと、ただフットサルをやるだけの大会じゃないからっていうのもあるかもしれないよね。決勝大会の前後に必ず何かをつけるというか、今回も決勝大会の前日には、このスタジアムでFC今治の公式戦を子どもたちに観てもらって、決勝大会の翌日には、今年も「しまなみアースランド」に連れていって、そこで環境教育をやったりして。

ラモス:そこが、この大会の素晴らしいところだと思うんですよね。あとやっぱり、大会の名前に「EXILE」って入っていることは、すごく大きいですよね。その名前があることでLDHアーティストのみなさんが関わっている大会であると分かるし、岡田さんのこともみんな知っている。岡田さんがやるなら中途半端な大会になるはずがないっていうのも、サッカー関係者だったら、きっとわかっていると思うので。それで、いろんなコーチたちが興味を持ってくれたところはあると思うんです。EXILEをはじめとするLDHのアーティストのみなさんが手伝っている大会で、なおかつ岡田さんがやっている大会であるという。だからこそ、ここまで続けることができたんじゃないかな。

LDHアーティストや社員にとっての社会勉強の場

橘ケンチ
橘ケンチ

――ちなみに、LDHの社内的には、どういう位置付けのイベントになっているのでしょう?

橘:LDHの中では『EXILE CUP』といえば、もう夏の風物詩みたいなイメージになっているかもしれないです(笑)。この大会の運営には、LDHのスタッフが数多く関わっているんですけど、いろんな部署から有志が集まってくるんです。10年以上ずっとやっている2人のスタッフがいて、その方々を中心に、いろんな部署からスタッフが集まってきて、夏の間だけ活動して、またそれぞれの場所に帰っていく。そういう離散集合を繰り返しているような大会なんですよね。なので、この大会にくると、普段会えないスタッフに会えたりするし、前日から入って、みんなで一緒にご飯を食べて「明日、頑張りましょう!」みたいな時間もあるし、いつもいる中目黒のオフィスとは、また違った感覚があって。そこが僕らにとっても、すごくいいところなんですよね。

TETSUYA:僕はEXPGの代表も務めているので、定例会で社員から『EXILE CUP』の地区大会に行ってきましたという報告を受けたりするのですが、みんなすごく活き活きとした顔をして帰ってくるんです。なので、「子どもたちに夢を」というのがもちろん主軸ですが、会社にとっても意味のある活動になっているんだなと思っていて。あと、『EXILE CUP』は、LDHの所属アーティストが手伝いにくることも多いですが、アーティストにとっては、通常とは全然違う活動の仕方になるわけじゃないですか。

――ステージがあって、そこでパフォーマンスを披露するみたいな活動ではないですよね。

TETSUYA:そこで社会を勉強するじゃないですけど、年齢が若いアーティストも多くて、社会人経験がなくバイトの経験もありませんとか、そういう子たちが結構いるんですよね。『EXILE CUP』が、ひとつ社会勉強の場みたいになっているというか。この場所は自分がやることを、自分で探しにいくような場所じゃないですか。そういう面でも、すごく意味のある活動になっているなっていうのは、毎年感じていることなんですよね。

橘:今、TETSUYAが言ったみたいに、実際ここにアーティストが来ても、開会式のあいさつをしてくださいとか、最後に表彰状を渡してくださいみたいなことはありますけど、逆に言うと、それ以外は特に決められたことはないんですよね。だから、この場所で、自分がどういう立ち居振る舞いをするとか、どんなふうにみんなの役に立つのかっていうのは、自分次第なところがあるんです。なので、若いアーティストの子たちは、実際ここに来てもらって、試行錯誤をしながら自分の役割みたいなものを見つけてほしいと思うし、自分たちのステージを作ってくれている人たちへの感謝の気持ちも、きっと生まれてくると思うんですよね。その経験が、10年、20年経って、自分が別のキャリアを探すときに、ひょっとしたら役に立つかもしれないし。

岡田武史
岡田武史

――普段は接しない人たちとの繋がりも、この大会を通じて生まれるでしょうし。

橘:そうですね。所属メンバーに対してはそう思うし、それこそ今、LDHの新入社員の研修の場にするのもいいんじゃないかっていう話も出ていたりして。なので、もっといろんな人たちに、この大会に参加して、この大会の雰囲気みたいなものに触れてもらいたいと思っているし、この場所をどういうふうに活用していこうかっていうのは、今いろいろと話しているところです。

――橘さん自身も、今年予選大会で全国を回って、普段とは違う体験をしたり、たくさんの人たちと交流したんじゃないですか?

橘:そうですね。僕としては、全国各地域の会場に行って、「LDHは、実はこんなこともやっているんですよ」ということを、もっとたくさんの人たちに知ってほしいというのもあって。今治で開催する決勝大会は、岡田さんのお膝元というのもあって、今日のようにメディアの方々がたくさん取材にいらっしゃってくれるんですけど、他の地域は、まだまだ知らない人のほうが多いんですよね。だから、各地域のメディアとか、いろんな媒体にお声掛けをして取材をしてもらったり、その地域の企業の人たちにも僕らの活動を知ってほしいっていうのがあって。

――それこそ「なぜ、EXILEが少年たちのフットサルの大会を?」みたいなところから?

橘:そうですね(笑)。なので、そのあたりもイチから丁寧に説明させていただいて、『EXILE CUP』のことを知ってもらったり、そういったLDHのCSR活動に興味を持ってくださる方々を増やすというか。それが、今の自分の役割かなって思っています。

岡田:まあ、そもそもサッカーの試合をやること自体が、違う考え方だったり、違う個性を持った人間が、力を合わせてプレイするっていうことであって。そこに価値があると思うんですよね。だから、今、話を聞いていて、LDHの社員だったりアーティストだったり、そういう違いを持った人たちがここへ来て、お互いを知る機会になっているというのは、「ああ、良かったな」って思って。『EXILE CUP』を始めた頃は、HIROさんがやるって言ったからやっているだけで、社員の人たちは半信半疑だったと思うんだよね。

橘:いやいや、そんなことないですよ(笑)。

岡田:まあ、最初の頃は、大会の形式や会場について試行錯誤していたし、そういうこともあるんじゃないかって、少し申し訳ない気持ちもあったんだけど、頑張って続けてきたことによって、ちょっとはLDHの人たちの役に立っているっていう話を今聞いて、ホッとしたよ(笑)。

――(笑)。

岡田:でもやっぱり、普段接することのない人と接するというのは、すごくいいことなんじゃないかな。それは、大会に参加してくれる子どもたちもそうだし、FC今治のスタッフもそうだし、みんながみんな、この大会で普段とは違う体験ができている。それは、ものすごく大きなポイントなのかもしれないよね。

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