“令和の感性”で蘇る80年代サウンド セブンス・ベガ、1stフルアルバム『PRINCESS』で見せた新人離れの才能

結成2年での快進撃
“シティロック”を掲げる東京発4ピースバンドのセブンス・ベガが、1stフルアルバム『PRINCESS』を10月7日にリリースした。
セブンス・ベガは、シブヤカンナ(Gt/Vo)、ソラ(Ba)、ハイブリッドマイマイ(Dr)、サコティッシュフォールド(Gt)によって2023年に結成され、シブヤカンナがソングライティングを手掛ける形で活動を開始。以来コンスタントにリリースを重ね、今年は2カ月おきに「アダルト・チルドレン」「卵と牛乳とレコード」「君とParadiso」を発表。そのたびに各ストリーミングサービスで注目を集め、11月に開催予定の下北沢SHELTERでの初ワンマンライブは即日ソールドアウト。さらに代官山UNITでのワンマンライブが決定するなど、インディーズバンドとして異例のスピードで頭角を現している。
その快進撃を支えているのは、フロントマンであり全曲で作詞作曲を務めるシブヤカンナのソングライティングのセンスと、それを下支えする巧みなバンドアレンジだ。シブヤカンナの紡ぎ出す歌詞の世界は、シティポップ的ロマンチシズムと等身大の感情が見事なバランスで同居している。“憧れ”や“トゲ”を巧みに織り交ぜたそのリアリティある筆致は、往年の音楽好きからライトな若い世代まで、幅広いリスナー層の共感を呼ぶポテンシャルを持っていると言えるだろう。
また、バンドアレンジにおいてはファンク寄りのカッティングギター、跳ねるベースライン、そして隙間を埋めるドラミングなど、いずれも2000年代J-ROCKと地続きのアプローチを下地としつつ、ネオシティポップブーム以降の現代的な感覚で再構築されている。ガールズバンドの系譜にありつつも、その中に80年代シティポップから影響を受けた音楽的嗜好性を散りばめた、まさに“シティロック”と呼ぶに相応しいものだ。
“懐かしさ”と“新しさ”を両立する1stフルアルバム『PRINCESS』
そんなセブンス・ベガが満を持して発表した『PRINCESS』は、一聴してどこか懐かしい香りを放つ。踊るようなベースやギター、緻密なドラム、艶のあるボーカル――いずれも杉山清貴&オメガトライブや杏里、さらには角松敏生らが描いたラグジュアリーな世界観を彷彿とさせるものだ。
オープニングを飾る「君とParadiso」はその象徴と言える一曲で、エレガントなコードワークと軽快な16ビート、そしてシティポップ特有の“夏への憧憬”が印象的。歌い出しの〈I can’t say 夏よこのまま〉というフレーズには、1980年代のオメガトライブが描いた“終わらない夏”のイメージが重なる。だが、セブンス・ベガはそのまま懐古趣味に陥ることなく、現代的なセンスでアップデート。タイトなドラムや歌うようなギターが織りなすグルーヴは、ストリーミング世代の耳にも馴染むものと言えるのではないか。
「上海恋物語」では、彼女たちの都会志向が開花。トレンディドラマ風のタイトル、リズム隊のシックなタッチ、どことなく異国情緒のある独特のメロディに、とても新人とは思えない成熟した感性が見て取れる。しかし、そこに現代的なラップ調の平歌を忍ばせるのがZ世代の彼女たちならではのセンスだ。どこか懐かしさもあるが確かに新しさも持ち合わせた、レトロとモダンが絶妙なバランスで溶け合っている。
歌詞の表現も面白い。たとえば「SUPPER」では、恋愛を“食べる/食べられる”というイメージで描き、〈傷つけてみてよ みじん切り〉という衝撃的かつユーモラスな一節でジャブを繰り出す。攻撃的なギターが畳み掛けるようなサウンドも相まって、生々しい感情がロック的躍動感とともに襲いかかってくるようだ。
「魅惑のバニラ」は年上の男性に恋した歌と解釈でき、おそらくバニラとは香水のことを指していると思われるが、令和の時代を生きる彼女たちならではの等身大の表現が印象深い。恋愛ソングでバニラが象徴的に登場する曲と言えば、あいみょん「満月の夜なら」が思い出されるが、同曲は官能的でより刺激の強い比喩表現だったのに対して、セブンス・ベガのこの曲はよりガーリーなニュアンスを含み、変に背伸びしすぎていない可愛らしさを醸し出している。平成レトロなエフェクトを交えながら、楽曲の世界観を表現したMVも秀逸で、10月16日時点で再生回数は11万回超え。新たなバズの気配も漂わせている。
こうした絶妙なバランスで成り立つ楽曲が並んだ本作。タイトルに使われている“PRINCESS”という言葉は、少女的な憧れやロマンチシズムを内包しながらも、同時に凛とした力強い魅力も放っている。「魅惑のバニラ」のような等身大の魅力のある楽曲もあれば、「SUPPER」のような強さを持った楽曲も書くことができる。どちらの側面も持つ彼女たちに相応しいワードと言えるだろう。シブヤカンナはこのタイトルについてインタビューでこう語っている。
「“PRINCESS”って綺麗なんですけど、強いんですよね。基本的に強い女の子に憧れて今までずっと生きてきたので、宣戦布告という意味合いもあって、4人のPRINCESSだぞっていう意味で、『PRINCESS』にしました」(※1)
4人の“PRINCESS”による美しく力強い音。そのなかには過去の音楽へのリスペクトがあり、そして何よりもそれらを現代の感覚で再構築する腕がある。セブンス・ベガはデビュー作にしてその新人離れした才能を見せつけた。この“宣戦布告”を機に、彼女たちの快進撃はこれから加速していくだろう。
※1:https://lp.p.pia.jp/article/news/438470/index.html
■リリース情報
1stフルアルバム『PRINCESS』
発売中
価格:¥2,500(税込)
販売:TOWER RECORDS ONLINE限定販売(一部店舗を除く/ライブ会場でも販売予定)
配信リンク:https://7v.lnk.to/PRINCESS
<収録内容>
01. 君とParadiso
02. SUPPER
03. 魅惑のバニラ
04. 上海恋物語
05. Hey! Crush!
06. 硝子
07. 無実
08. アダルト・チルドレン
09. 東京ラブストーリー (2025 ver.)
10. 今日はもう帰ろう
■公演情報
『7thVega 1st ONE-MAN LIVE -PRINCESS-』
日程:2025年11月7日(金)
会場:下北沢SHELTER(東京)
時間:OPEN 19:00/START 19:30
<チケット>
Sold Out
『7thVega ONE-MAN LIVE「I’M A PRINCESS」』
日程:2026年1月25日(日)
会場:LIVE SQUARE 2nd LINE(大阪)
時間:OPEN 16:00/START 16:30
日程:2026年2月7日(土)
会場:代官山UNIT(東京)
時間:OPEN 17:30/START 18:00
<チケット>
価格:ADV ¥3,850(税込)/DOOR ¥4,400円(税込)+ドリンク代
[アルバム封入特典先行(抽選)]
期間:2025年10月7日(火)12:00 ~ 10月19日(日)23:59
当選発表:2025年10月23日(木)18:00
販売:https://pia.jp/v/7thvega26al/
[ニュースレター会員先行(抽選)]
期間:2025年10月24日(金)19:00 ~ 11月3日(月)23:59
当選発表:2025年11月6日(木)18:00
[一般発売(先着)]
期間:2025年11月7日(金)10:00〜
■関連リンク
公式サイト:https://bio.to/7thVega
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