BUCK∞TICK、原点回帰とともに深めた“新体制への自信” 『渋谷ハリアッパ!』クロスレビュー

輪廻転生の下で重なる“BUCK∞TICK”と“渋谷”の現在(今井智子)
櫻井敦司の命日を4日後に控えた10月15日、BUCK∞TICKはメジャー44作目になるシングル『渋谷ハリアッパ!』をリリースした。スポークンワード風に言葉を投げかける今井寿らしいアグレッシブなナンバーだ。骨っぽいギターと未来的な浮遊感が溶け合って、BUCK∞TICKらしいグルーヴを生み出している。
渋谷という街はBUCK∞TICKにとって忘れがたいところだ。メジャーデビュービデオ『バクチク現象 at THE LIVE INN』(1987年)は、渋谷の駅前にあるビル・渋谷駅前会館にあったライブハウス(渋谷 LIVE INN)でのライブ映像である。そのライブハウスはなくなってしまったが、1階がフルーツショップのそのビルは、今も変わらず立っている。その前の渋谷駅西口は大工事中のためすっかり様相が変わり、並びの東急プラザは建て替えられて渋谷フクラスになっている。路地を挟んで井の頭線に続くところは、確かただの通路だったが、渋谷マークシティという複合施設になった。その界隈だけでなく渋谷駅周辺が凄まじいほど変化していることはご存知だろう。『バクチク現象』とは彼らが『HURRY UP MODE』(1987年)でインディーズデビューする際に掲げたキーワードで、これを印刷したステッカーをあちこちにゲリラ的に貼って回ったりしたことを、彼らは今も誇らしげに話す。『渋谷ハリアッパ!』というタイトルからは、こうした彼らのスタートを思い出さずにはいられない。
2年前に櫻井が旅立ってから4人は新たな体制でBUCK∞TICKを進行させてきた。17曲を収録した『スブロサ SUBROSA』(2024年)は新たな自分たちを表現するための試みを惜しみなく示したものだった。もちろん、それはゴールではなくスタートであり、そこからさらにどう進めるかをこの1年の間に彼らは模索してきたのだと思う。表題曲「渋谷ハリアッパ!」は、そんな今の心情をダイレクトに歌っているのではなかろうか。〈get hurry up〉と繰り返し、〈もっともっとオマエの周波数/新しいロックンロール〉と前のめりに叫ぶのは、さらにスピードを上げて、より大きく羽ばたこうという想いを吐露しているかのようだ。
早く早く急げ急げと畳み掛けるエネルギーの根源は、輪廻転生。原点に回帰しそこから再び蘇る不死鳥のような生命力を彼らは求め発散しようとしている。そんなバンドの現在と、激しく変化し生まれ変わろうとしている渋谷駅周辺が私の中で重なった。ものすごいエネルギーを内在させて変化し続けている現在は、まだまだ未完成だがいつか近いうちに新たな力を宿すものとして完成されるはずだ。BUCK∞TICKがどんなバンドとなっていくのか、下手に予測しないほうがいい。
カップリング曲「風のプロローグ」は星野英彦らしい穏やかで美しいメロディのナンバー。4人体制になってから星野と今井はライブでもシンセサイザーを前に演奏しているから、この曲のサウンドもそれを想定しているようだ。『スブロサ SUBROSA』でボーカリストとしての可能性を存分に示した星野だが、この曲では一段と自信に満ちた声で歌を聴かせている。この世に生まれた意味、また生きて行くことの意味、そして生命力について歌うこの曲にふさわしい力強いボーカルだ。これもまた輪廻転生を連想させる命への賛歌であり、自分たちやリスナーへのエールのように思える。
このシングルをリリースした後に、彼らは『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』をスタートさせた。そこでこの2曲も披露されることだろう。ツアーファイナルは今年も日本武道館だ。(今井智子)


◾️シングル情報
BUCK∞TICK『渋谷ハリアッパ!』
2025年10月15日(水)発売
配信URL:https://BUCK-TICK.lnk.to/ShibuyaHurryUpper
購入URL:https://www.jvcmusic.co.jp/linguasounda/Linkall/VICL-79011.html
・完全生産限定盤(2SHM-CD)¥2,750(税込)
LIVE CD『TOUR 2025 スブロサ SUBROSA (Live at 豊洲PIT 2025/5/25)』
スペシャルパッケージ仕様
BUCK∞TICKロゴステッカー封入
シングル購入者対象応募シリアルナンバー封入 [応募期限:2025年10月31日(金)23:59応募登録分まで有効]
・通常盤(SHM-CD)¥1,320(税込)
BUCK∞TICKロゴステッカー封入
シングル購入者対象応募シリアルナンバー封入 [応募期限:2025年10月31日(金)23:59応募登録分まで有効]
※初回生産分仕様(2025年12月末生産分まで)
<収録曲>
01. 渋谷ハリアッパ! [作詞:今井寿/作曲:今井寿]
02. 風のプロローグ [作詞:星野英彦/作曲:星野英彦]
<ボーナスディスク収録内容>
『TOUR 2025 スブロサ SUBROSA (Live at 豊洲PIT 2025/5/25)』
01. スブロサ SUBROSA
02. 夢遊猫 SLEEP WALK
03. paradeno mori
04. 冥王星で死ね
05. TIKI TIKI BOOM
06. BOY septem peccata mortalia
◾️全国ホールツアー情報
『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』
2025年10月19日(日) 広島:上野学園ホール 17:00 / 18:00
2025年10月21日(火) 福岡:福岡市民ホール 大ホール 17:30 / 18:30
2025年10月25日(土) 埼玉:大宮ソニックシティ 大ホール 17:00 / 18:00
2025年10月26日(日) 群馬:高崎芸術劇場 大劇場17:00 / 18:00
2025年11月3日(月・祝) 兵庫:神戸国際会館こくさいホール 17:00 / 18:00
2025年11月8日(土) 長野:長野市芸術館メインホール 17:00 / 18:00
2025年11月22日(土) 宮城:トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール 17:00 / 18:00
2025年11月28日(金) 神奈川:カルッツかわさき 17:30 / 18:30
2025年11月30日(日) 愛知:Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 17:00 / 18:00
2025年12月7日(日) 香川:サンポートホール高松 大ホール 17:00 / 18:00
2025年12月13日(土) 大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)17:00 / 18:00
2025年12月14日(日) 大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)16:00 / 17:00
2025年12月18日(木) 北海道:札幌市教育文化会館 大ホール 17:30 / 18:30
2025年12月29日(月) 東京:日本武道館 17:30 / 18:30
チケット発売中 ¥11,000(税込)
























