Besttedが交わした“高みへ羽ばたく誓い” 三者三様のソロステージでも魅了した『1st SHOWCASE』

ソニーミュージックの発掘・育成プロジェクト『TORA PROJECT』発の3人組ユニット Besttedが、自身初となる単独ショーケース『Bestted 1st SHOWCASE』を9月25日、LIQUIDROOMにて開催。オールスタンディングのフロアに多くのファンが駆けつけた。
定刻、リズムを刻むハイハットとドラムスに、観客の手拍子も自然と音を弾ませる。「Yo yo yo, what's up!?」と威勢よくステージに飛び込んできた3人を視界に捉えた観客は、1stオリジナル曲「SNooZe」で開幕早々に歓声を響かせる。『SUMMER SONIC 2025』(以下、『サマソニ』)の「出れんの!? サマソニ!?」ステージで初披露となった生バンド体制は早くも板につき、三者三様の彼らの歌声と混じり合って爆発を起こす。

続くは、ニュージャックスウィング調のノリが心地よい「CLIPPING!!!」。重心を落とし、ローなサウンドを感じながらマイクに歌を吹き込む。フロアの観客も高くハンズアップし、曲が終わる頃には山ほどの歓声が会場を満たしていた。
「今日は僕たちの1stワンマンライブに来てくださりありがとうございます!」(Rennosuke)と切り出したMCでは、3人の関係性に触れる場面も。例えば、深夜に電話を急にかけたり、ボイスメッセージを送ってくるほど仲の良い親友同士だという。EIJIはまっすぐに観客席を見つめ、「国籍、ジャンル、人種、性別、そういうものを超えたステージを作って世界中の皆さんに伝えたいという気持ちがあります」「すべての皆さんの目に、肌に、心に、細胞に焼きつけるようなパフォーマンスをお届けします!」と力強くシャウトした。

前半3曲目には、『サマソニ』でも披露したBeastie Boys「(You Gotta ) Fight For Your Right (To Party)」をカバーパフォーマンス。ヒップホップシーンの先頭を走りながらも、垣根を越えて愛されていた3人組であるBeastie Boysを自分たちに重ねて選曲したというのだから納得だ。
「皆さん、ところで気づきましたか? このセトリ見たことありますよね……『サマソニ』と同じセトリなんです」「てことは、次の曲は何ですか? EIJIくん」――そうYUITOが問いかける。「僕たちと皆さんとで同じ振り付けを踊って、一緒に盛り上げる曲」とした「CRUISE MODE」では、事前にハンドルを回すような振り付けをレクチャーし、会場全体を巻き込んで自由に遊び回った。

どんな曲でも「心から音楽が楽しい!」という笑顔が溢れ、身体から音楽が鳴っているようだったEIJI、トリオの中でもダンスボーカルラップのすべてにおいて個としてのアイデンティティをしっかりと発揮し、パフォーマンスに深みを与えるRennosuke、どのアングルから見ても魅せ方に長け、ハッとさせられるギャップめいた瞬間が多いYUITO……と全員が違った良さを持つ3人だが、YUITOが着替えに行っている間、EIJIとRennosukeは「弟みたいでかわいい」「真面目そうに見えて意外とふざける」とYUITOの魅力を語っている。
「さすがにYUITO探してくるわ! ちょっと待ってて!」と痺れを切らした(?)2人が去ったステージ。そこに再び登場したYUITOは、白いフードを深く被り、BLASÉ「Chosen 1」をダークな雰囲気の中でカバーした。BLASÉがもともと好きでいつか披露したいと考えていたYUITOは、今回のショーケースでソロステージがあると聴いた瞬間にこの曲を選ぶことを決めたという。“かわいい”、“美しい”という彼の普段の印象からはガラッと変わった、ギャップで魅せるヒップホップナンバーで、ラップスキルの高さを証明した。

打って変わってポップロックサウンドを奏でるRennosukeのギター。選曲したのは、彼が初めて大阪城ホールでライブを観てハマったというバンド The 1975の「Chocolate」だ。実はヘヴィな内容をポップに歌い上げている本楽曲だが、ヒップホップのディープな側面に日頃から触れながら、どんな音楽でも自分色に落とし込んでみせる力のあるRennosukeにしっくりくる1曲だったように思う。ちなみに、彼がギターを始めたきっかけもThe 1975だそうで、文字通り彼の音楽人生に大きな影響を与えたアーティストだ。

ソロステージのラストを飾るのは、EIJIが歌うTani Yuuki「W/X/Y」。約2年前に『Nizi Project Season 2』で初めて披露し、“EIJIといえばこの曲”という印象も強い1曲を、この大切な機会に用意した。イントロが流れ出した瞬間から大きな歓声に包まれるステージに現れたEIJIは、甘さとやわらかさがミックスされた歌声でしっとりと歌い上げ、聴き入る観客たちの間にはいつまでも絶えない余韻が満ちていた。

ここから、後半戦は新曲を披露。うち3曲は、3人が1人1曲振り付けを手がけたという。YUITO振り付けの「Swagger」は、ノリのいいベースとギターのカッティングがリズムを刻むポップチューン。一方、EIJI振り付けの「Turning up」は、R&Bのバイブスも加わった1曲で、ホーンの高らかなサウンドが象徴的だ。Besttedのスキルや息ぴったりな3人の関係値が覗けるダンスブレイクと、YUITOの〈もう戻れないぜ〉というキリングパートからRennosukeの落ちサビへと繋がるパート……と、見どころが詰まった楽曲となっている。
そして、Rennosuke振り付けの「Sweet」は、チルサウンドが心地よいミドルテンポのナンバー。ラストサビ前には3人それぞれのソロダンスパートも設けられ、歌の魅力もダンスの魅力も同時に堪能することができる、まさに“Sweet”な1曲だ。
Rennosukeは本楽曲について、「例えば、『サマソニ』や今日のショーケースを“Sweet”とすると、これまでに経験してきた努力や困難ーー2人(YUITO、EIJI)にとってはオーディションだったり、僕にとっては以前組んでたチームが解散してしまったことだったり、そういったくじけそうになった経験を“bitter”と考えて歌いました」と語る。そんな言葉に続き、メンバーが1人ずつショーケースを振り返りながら話していく。

「Bestted結成前からいつか自分たちのワンマンライブがしたい、と思いながら練習してきたしました。初めて3人でパフォーマンスした時に、この3人ならどんなことでもやってのけられるという気持ちが強くて湧いてきて。正直、それまでは自分もこの道を歩み続けるか、真剣に悩んだこともあって……。でも、今日改めてこの3人ならどこまででも高みを目指せると感じました」「だけど、こんなふうに頑張れるのもファンの皆さんがいるからで。皆さんのおかげでステージに立てているので。今まで応援してくれてありがとうございます。そしてこれからも応援よろしくお願いします」(YUITO)

「みんな、本当にいつも傍で支えてくれてありがとうございます。応援してくださる皆さんがいるおかげで、僕は毎日辛いことやしんどいことがあっても頑張れています。皆さんと直接会えない期間が長くて、この1年ほどはただただ練習をひたむきに頑張っていましたが、やっぱりもどかしくて。でも、今日こうやって最高の場所で、最高のメンバーと最高のバンドと一緒に皆さんの前でパフォーマンスすることができて本当に光栄です」「これから世界中に羽ばたいていけるような、かっこよくて愛されるグループになれるよう頑張ります。最高の宝物をありがとうございます!」(EIJI)

「夏から始まって急に大きな舞台に立てたのも、スタッフさんやバンドメンバー、ファンの皆さんのおかげ。いつもありがとうございます」「応援してくださっている皆さんのおかげでワンマンライブも叶ったと思いますし、次の『eyes on me』は見守ってくれている誰かのことを想って歌う曲なので、皆さんのことを想って歌いたいと思います」(Rennosuke)
そう語って、最後の1曲「Eyes on me」を歌うRennosukeの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

本編が終わった瞬間から「Bestted!」と始まったコールを受け、揃いの白Tシャツで登場した3人。アンコールでは再び「CLIPPING!!!」を披露。本編よりもさらに近い距離で、コール&レスポンスやハンドウェーブで大きく盛り上げていく。
「もう嫌だ、終わりたくない!」「もっと大きいな景色が見られる場所でまたみんなで会いましょう、絶対に!」ーーそんなEIJIのメッセージを乗せて音を鳴らすラストサビでは、3人の想いに応えるような観客のハンズアップと熱気がフロアを揺らした。


























