SixTONES 京本大我、『Once』に反映されるソロの経験 ソロプロジェクトを経たからこそ見える景色

 SixTONESの京本大我が主演を務める舞台『Once』が9月9日より開幕した。

ミュージカル『Once』告知映像

 本作の原作は2007年公開の映画『once ダブリンの街角で』。劇中歌の「Falling Slowly」は『第80回アカデミー賞』で歌曲賞を受賞している。舞台版としては2011年にアメリカのニューヨークで初演され、2012年にブロードウェイへ進出、『第66回トニー賞』で8部門を受賞。世界中で愛されている名作で、今回が日本カンパニー初上演となる。アイルランド・ダブリンを舞台に、貧しいミュージシャンのガイとチェコ移民のガールが音楽によって互いに心を通わせていく様子を描く。

 振り返れば、京本はデビュー以前からさまざまな舞台に挑戦し、デビュー以降もコロナ禍によって上演がままならない時期もありながら、グループ活動と両立させ、2021年以降は毎年ステージに立っていた。去年上演されたミュージカル『モーツァルト!』は、京本が10年近く「いつか演じられたら」と思っていたことでも知られており、京本が演じたヴォルフガング・モーツァルト役のWキャストは盟友・古川雄大、そして演出は彼がミュージカル界に足を踏み入れるきっかけになったとも言える小池修一郎、会場は再建による一時閉館が決定していた帝国劇場ということもあり、俳優としての彼自身に大きな影響を与えたはずだ。公演終了後、約4カ月ぶりに出演した『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』2024年11月30日放送回(ニッポン放送)では、喉を守るために公演期間中は共演者とは極力食事に行かず、一人で、あるいはマネージャーと黙々と食事を摂ることが多く、稽古に入る段階から禁酒をするなど、徹底した準備をして臨んでいたことを明かしていた。稽古期間を含めると半年近くを投じて向き合ってきた『モーツァルト!』を経て、満を持して上演されるのが今回の『Once』ということになる。

 事務所としても珍しく、デビュー前から本格的なグランドミュージカルに出演してきた京本。舞台俳優としてステージに立つ彼は、ジュニアとして多くのメンバーとともにステージに立つ中で自分に注目を集める経験を積んできたからこその、観客の集中力をぐっと引きつける力に長けているように感じる。俳優だけでなく、グループとしての活動とも並行させながらステージに立ち続けてきたからこそ成せる技だ。

京本大我 – WONDER LAND (from TAIGA KYOMOTO Anniversary Event「30 -THI"ART"Y-」)

 京本は昨年、『モーツァルト!』の公演期間中にクリエイティブプロジェクト「ART-PUT」を発表。『モーツァルト!』大千穐楽を終えた直後に、同プロジェクトのキックオフイベントという位置づけの『TAIGA KYOMOTO Anniversary Event「30 -THI"ART"Y-」』を開催。今年4月には初のソロCDアルバム『PROT.30』をリリース。自身が作詞作曲を手がけた楽曲全17曲を収録する渾身の作品となった。そのアルバムを携え、Zepp Nagoyaを皮切りにライブツアーも開催。このツアーは追加公演となった東京ガーデンシアター公演以外はZeppでの開催となったが、それも彼が持つロックへの憧れやリスペクトを優先したからこその会場選びなのだろう。自分で作った作品をライブハウスで披露する――そんな“ソロアーティスト”としての経験も今回の『Once』には反映されるのではないだろうか。ゆえに、これまでの京本とはまた違った一面を期待したい作品になっている。

 今回上演される『Once』は、公演発表時、京本が自身のX(旧Twitter)にて「昨年はモーツァルト!でピアノだったけど今年はギターです。最近は楽器とご縁がありますね〜」(※1)と語っていた通り、舞台上で実際にギターを弾いて楽曲を披露するなど、より挑戦的な内容になっている。制作会見では本人も「『プロのアーティストさんに頼むべきでは』と思うくらい難しい曲ばかり。心が折れかけたときもありますが、皆さんとの練習の時間を早くから作ってもらい、おかげで今日まで来られた」(※2)と語っていたが、結果として自分で演奏することを選んだのは、彼自身が今回演じるガイと同じようにミュージシャンとして音楽を愛しているからこそ、とも言えるのではないだろうか。「特に10代の不安定な時期に歌詞が支えになっていたことが大きくて、いまでも歌詞に重きを置くことが多いです」(※3)と語っていた通り、『Once』は彼自身がアイドルとして、ミュージシャンとして、音楽の力を信じたうえに生まれる珠玉の演技が見られるるはずだ。

 先述の通り、ここ数年は毎年のように舞台に立ってきた京本。しかし、7月11日のInstagram Liveによると、来年はSixTONESがデビュー6周年を迎えるにあたり「来年は舞台はたぶん挑戦しません」と明かしていた。その中で、『モーツァルト!』、そして「ART-PUT」の本格始動を経て上演される作品『Once』は、彼の俳優人生でひとつの節目になるはずだ。無事に千秋楽まで走り切れることを願っている。

※1:https://x.com/TAIGA_KYOMO33/status/1886229917513461929
※2:https://natalie.mu/stage/news/639489
※3:https://www.fujingaho.jp/culture/interviews/a65609491/kyomoto-taiga-250815/

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