KREVAが切り拓いた“クレバの日”新章 MACCHOとの共演、熱狂が更新され続けた『908 ON THE DAY 2025』

日本記念日協会に正式認定されている「クレバの日=9月8日」に、東京ガーデンシアターで開催された『908 ON THE DAY 2025』。当日に有観客ライブが行われるのは、かなり久しぶりだ。この特別な日を祝福するために集まった人々が、客席を埋め尽くしていた。スペシャルゲストであるMACCHO(OZROSAURUS)との共演など、この日ならではの見どころも満載だったライブの模様をレポートする。

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オープニングSE「908 ON THE DAY THEME」が鳴り響く中、ステージに登場したKREBandの白根佳尚(Dr)、大神田智彦(Ba)、田中義人(Gt)、熊井吾郎(DJ+MPC)、SONOMI(Cho+Key)、柿崎洋一郎(Key)。そして「I Wanna Know You」の演奏がスタートして間もなく、ステージ下手袖からKREVAが現れた。歓声に包まれながら繰り出すラップは早くも絶好調。続いて「トランキライザー」に突入すると、激しい手拍子が客席内で沸き起こった。この曲の中には〈いきなりクライマックス〉というフレーズがある。まさにその表現が描き出されたかのような光景が作り上げられていた。








「まずは謝罪からさせてください。この度、開演時間が少々遅れまして。19時スタートの予定だったところを19時08分のスタートになってしまいました」――“908(クレバ)”に掛けたMCで観客を和ませた後、「最初に言っておく。アンコールなしで一気にやりきります!」と力強く宣言。「IWAOU」を起爆剤として、強力な曲が次々届けられた。巧みなビートを乗りこなし、高速ラップ、変幻自在なフロウを惜しげもなく連発しながら披露された「No Limit」や「ストロングスタイル」によって興奮状態となった観客。「基準」のイントロでKREVAがサングラスを外した瞬間、「キャー!」という熱狂的な歓声が上がった。

「2025年9月8日。今日は満月らしいぞ」という言葉が添えられた「Under The Moon」。外の夜空に満月が浮かんでいるのを想像すると、一際心地よく迫ってきた。そして「Forever Student」と「人生」も披露された後、待ち侘びていた共演がスタート。「人生って何があるかわからないよな? まさか俺があいつと一緒に曲を作ることになるとは。そしてクレバの日にあいつを紹介することになるとはな。そしてもっとまさかのまさか。俺が『この曲やってくれないか?』とお願いしたら、自分のライブでも20年も歌ってないのに歌ってくれるってよ! なんでそこまでしたいの? みんなのためだよ。心が震えるだろ? 心が痺れるはず。電気 VILI VILI!」――引用された〈電気 VILI VILI〉を聞いて「おっ!?」となった人がいたはず。MACCHO(OZROSAURUS)をゲストに迎えて、最初に届けられたのは「VILI VILI」だった。

OZROSAURUSの曲「VILI VILI feat. SHALLA」が「feat. KREVA」で披露されるとは、誰も予想していなかったのでは? 過去にはいろいろあった間柄だが、リスペクトの交わし合いがラップから伝わってくる。「お前ら全員、これが聴きてえんだろ?」とMACCHOが観客に呼び掛けて雪崩れ込んだ「Players' Player feat. KREVA」も、観客のアドレナリンを徹底的に絞り上げていた。MCなどでの細かな説明ではなく、曲自体が現在の関係性を浮き彫りにしているのを感じて胸が熱くなる。ふたりがハグと握手を交わしてエンディングを迎えた瞬間、大きな拍手と歓声がステージを包んだ。

9月8日は「クレバの日」だが、コーラスを務めているSONOMIの誕生日でもある。「居場所」「音色」「アグレッシ部」を経て披露された「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」は、KREVAと並んで歌う彼女を祝福するひと時になった。観客の大合唱は、最高のプレゼントだったはずだ。「ケーキは用意できなかったけど、これをでっかいケーキだと思って、思いっきり吹き消してください。おめでとう!」――歌い終えた直後、たくさんの笑顔がきらめく客席をローソクの炎に見立てたKREVA。SONOMIが息を吹きかける仕草をすると照明が暗転したのは、心温まる演出だった。

また、「Tonight」も印象的だった曲として触れておきたい。歌う際に使用したのは、鍵盤演奏とマイクで拾う歌声を連動させ、ロボットのようなマシンボイスを響かせるボコーダーという機材。これを駆使しながら歌うのは、楽器プレイヤーではないKREVAにとってなかなか大変な挑戦となる。そして、そこには斬新な要素も加えられていた。「おそらく世界で初めて使う機材を持ってきました。音を見えるようにしたいと思います」という言葉通り、マイクを起点として配置されたLEDバーに沿ってゆっくりと移動した美しい光の粒子。闇夜に舞う蛍の軌跡のような幻想的な演出を眺めながら歌声に耳を傾けるのは、とても素敵な体験だった。
























