寺島拓篤×FLOW TAKE 特別対談 アニメを通して築かれたリスペクト、念願の共作で開いた新たな扉

TAKE「(アニソンの)“多様化”の流れはもう止まらない」
ーーカップリング曲の「夏の夜の夢」についてもお聞かせください。こちらはシングル曲「0+1」などを手がけてきたShinnosukeさんが作曲・編曲を担当しています。
寺島:Shinnosukeさんとはもう10曲くらいには何曲も一緒に作ってますねお世話になってますね。今回は『おれパラ 2025 夏場所』という披露する場があったので、夏っぽい曲が欲しいなと。僕は夏が好きなので、夏の曲は今までにもあったんですけど、しっとり系かアッパー系のどちらかしかなかったので、ちょうど間ぐらいの楽にノレる曲が欲しいと思い、Shinnosukeさんに書き下ろしてもらいました。
TAKE:清涼感のある夏の夜って感じで、気持ちいいよね。うだるような夏の暑さじゃなくて、日が落ちて涼しくなってきた海沿いで、カクテルを飲んでるみたいな。歌詞も面白くて、物語性よりは音のハメかたの気持ちよさに特化したんだろうなって。英語詞と日本語詞が行ったり来たりするなかで、日本語の部分も英語に聴こえる瞬間があったりして。テラシーはこういう書き方もできるんだなあって思った。
寺島:その辺りのさじ加減はレコーディング現場で試したものを取り入れたりしつつ、今回は本当に音の流れに乗せて、もともとハメていた言葉をどれくらい崩すかを重要視しました。それこそバンド名じゃないですけど、言葉がフロウする感じというか。
TAKE うんうん、ちょっとヒップホップっぽいよね。
寺島:そうですね。やっぱりShinnosukeさんのサウンドだなあと思いました。ただリズムとウワモノの拍が裏表逆みたいになっているので、リズムの取り方がめちゃくちゃ難しくて。しかもレコーディングした2週間後くらいにライブだったんですよ。もうめちゃくちゃ怖くて。ドキドキしながら歌いました。
TAKE:すごい、完全に録って出しだね。
寺島:でも、僕がすごく不安がってたら、スタッフから「大丈夫、まだ誰も聴いたことない楽曲なので、間違ってもわからないです」って言われて(笑)。それで勇気を持って歌えました。
ーー歌詞の内容に目を向けると、寺島さんのゲーム好きな一面が出ているように感じました。
寺島:それもありますけど、この曲はどちらかと言うと、昔を懐かしむようなところがあって。この数年で生活のフェーズが変わって、子育てとかをしているなかで、「子供の頃って良かったな」って思い出すことが多くて。夏休みに何も考えずゲームをやっていた、あの頃の良さを歌詞にして残しておこうと思ったんですよね。それこそ同い年くらいの声優仲間と「あの頃の夏休み、このゲームやってたよね」みたいに盛り上がることがよくあって。おじさんたちが昔話で盛り上がるってこれなんだなって実感してます(笑)。
TAKE:テラシーもついにその領域に(笑)。
寺島:今も楽しいはずなんだけどなあと思いながら、過去に浸っちゃうんですよね。さっきTAKEさんがおっしゃってたみたいに、ビーチのクラブとかで聴いてもハマりそうなサウンド感ですし、お洒落さもあるけど、よく聴くと「何を歌ってるんだろう」っていうバカバカしさもあって。そういうバランス感を狙った曲ですね。
TAKE:いやあ、なんかおもしろい2曲ができたね。
ーーありがとうございます。それとこの機会にぜひ聞いてみたかったのが、近年のアニメソングのトレンドについてです。声優・アーティスト・楽曲の作り手など様々な形でアニメ音楽に関わるお二人から見て、近年のシーンはどのように映っていますか?
TAKE:ひと言で言うと「多様化」と「より高い親和性」、この2つが進んでいる印象ですね。この間、『クランチロール・アニメアワード 2025』の結果が発表されたんですけど、最優秀アニソン賞を獲得したのはCreepy Nutsの「オトノケ」で、完全にヒップホップの曲が受賞したんですよ。でも、我々が初めて「GO!!!」や「DAYS」にラップを入れた当時は、2ちゃんねるで「アニソンにラップを持ってくんな」ってめちゃくちゃ叩かれまくって(笑)。
寺島:ええっ! あれがめちゃくちゃいいのに!
TAKE:もし当時XみたいなSNSがあったら、多分ボロクソだったと思う。でも、今はヒップホップが普通に受け入れられているし、ロックとの相性はもともと良かったと思うけど、最近は『ガチアクタ』のPaleduskみたいにゴリゴリのラウドロックやメタルコアもある。まあ、それはSiMとかcoldrainもやってきたことだけど、ともかく今は本当にいろんなジャンルの音楽がアニメの主題歌で楽しめるようになった。『怪獣8号』のオーロラやOneRepublicみたいに海外アーティストが主題歌を担当することも増えたし、DJイベントでもアニソンがめちゃくちゃかかる。この「多様化」の流れはもう止まらないだろうなと。
寺島:そうですね。
TAKE:それが「多様化」。そして「より高い親和性」というのは、作品の成り立ちや作者の意向と、よりリンクしていないと認められないということ。例えばVaundyが『SAKAMOTO DAYS』の主題歌で「走れSAKAMOTO」って言っちゃったり。星野源の「ドラえもん」もそうか。
寺島:作品のタイトルがそのまま入っていますもんね。ある種の原点回帰というか。
TAKE:あとは米津玄師が『メダリスト』の原作コミックが好きすぎて主題歌の逆オファーしたっていう話とか。実際、「BOW AND ARROW」という楽曲は、歌詞を見ると作品の内容そのままなんだよね。他にも今期の作品だと、アイナ・ジ・エンドさんが「革命道中」のAメロで作品タイトルの「ダンダダン」って言葉をそのまま入れてたりとか。そういう意味で、「より高い親和性」というのも今のポイントとしてあるのかなと。
寺島:めちゃくちゃためになる話。いや、これすごく良い記事ですよ。アニソン談義としてめちゃくちゃおもしろい。
TAKE:俺、そういうのを研究するのが好きなの。最近だと2000年代に盛り上がっていたドラムンベースがアニソンでも再燃していて、それこそ「BOW AND ARROW」も「革命道中」も、ドラムンベースなんだよね。俺もその流れに乗っておこうと思って、この前、ドラムンベースの曲を作った(笑)。もともと好きだったっていうのもあったんだけど。
寺島:いやあ、おもしろいなあ。この後に話すことなんて何もないんですけど……僕もTAKEさんと同じことを思ってましたね。
TAKE:アハハ(笑)。
寺島:でも、今のアーティストの皆さんは作品との親和性をすごく大事にしているというのは、はっきりと感じますし、音楽自体もジャンルの壁が取り払われてきているので、これからアニソンはもっと変わっていくんだろうなと思っていて。その中において、声優さんが歌う意味というのもあると思いますし、誰が歌うかの意味もどんどん強くなっていくのかなと思います。
TAKE:うんうん。作品に出ている声優さんに歌われたら、それ以上の親和性はないもんね。
寺島:そう、そこの強みは絶対ありますよね。でも、アーティストさんたちはそこを乗り越えてくるんですよね。歌詞もサウンドも歌い方も、作品を汲み取ったうえで出してくる。それこそ米津さんは、いろんな作品に対しての読み込みやピックアップと表現が半端ない。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の楽曲もすごく良かったですし、アニメを観たうえで聴くと「なるほど、プラズマか」と思って。
TAKE:あのピックアップはすごくよかったよね。あのキラキラがプラズマだったっていう。
寺島:いやあ、よく思いつくなあっていう。やっぱりずっと音楽をやってきている人じゃないと踏み込めない領域もあると思うので、アニソンという大きな枠の中で今後どんなことが起こるのかは、ちょっと読めなくなってきましたね。
ーーその中で今回の「more than W」はどんな楽曲になったと感じますか?
TAKE:ジャンル的にはゴシックラウドロック。『マイノグーラ』のダークファンタジーな世界観とテラシーの歌の表現が合わさって完成した、この作品と寺島さんと出会ったからこそできた楽曲ですね。
寺島:作品をすごく意識して作ってくださった曲に、親和性のある歌詞、そして声優が歌うというアニメ界隈との親和性もあって。例えるなら、ラーメン二郎ぐらい濃いし量の多い曲になりました(笑)。詰め込みすぎてるなっていうくらい、ハマったら抜け出せない濃さを持った曲になったと思います。
TAKE:いいね。俺の今後の野望は『おれパラ』へのゲスト出演。楽曲提供した場合、ステージで共演するまでがセットだから。
寺島:無理無理、『おれパラ』でバンド乗り込みは抱えきれれないっするかなぁ(笑)。でも、実現したら最高ですね。またステージでご一緒できるのを楽しみにしてます。
TAKE:それこそFLOW FESに出てほしい。こうやって楽曲提供の繋がりができたので、コラボもしやすいし。
寺島:えっ、マジっすか? 出たいです! 隅っこでガチガチに緊張すると思いますけど、もしお話をいただけたら超頑張ります!
■リリース情報
12thシングル『more than W』
2025年8月27日(水)発売
【初回限定盤】
品番:LACM-34742
価格:¥2,750 (10%税込)/¥2,500 (税抜)
仕様:EPサイズの紙ジャケット
【通常盤】
品番:LACM-24742
価格:¥1,650 (10%税込)/¥1,500 (税抜)
仕様: TVアニメ『異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~』描き下ろしイラスト使用のジャケット
【CD INDEX】※初回限定盤・通常盤共通
1.more than W
(TVアニメ『異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~』ED主題歌)
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:TAKE(FLOW)
2. 夏の夜の夢
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:Shinnosuke
3. more than W(Instrumental)
4.夏の夜の夢(Instrumental)
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