FRUITS ZIPPER 東京ドーム公演で目撃したアイドルシーンの転換点 結成3年10カ月の快挙、日本が誇る“SUPER IDOL”への軌跡

〈どデカい事 ハッタリかましてこう〉という歌詞とともに東京ドーム公演が発表されたのが、昨年8月のさいたまスーパーアリーナでのことだった。それから半年。FRUITS ZIPPERは、アイドル最多(※1)となる夏フェスへの出演、初のアジアツアー開催、悲願の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出場と、決して“ハッタリ”などではなく、名実ともに東京ドームに見合うグループへとFRUITS ZIPPER自身をさらなる高みへ成長させていった。多忙を極めるスケジュールのなかで、『FRUITS ZIPPERのオールナイトニッポンX』(ニッポン放送)のラストで行われる毎週の告知が、東京ドームでのライブが着実に近づいていることを、メンバーにも、ふるっぱー(ファンの呼称)にも、現実味を帯びて実感させていたはずだ。
2月1日に東京ドームで開催された『FRUITS ZIPPER SPECIAL LIVE 2026 「ENERGY」』は、FRUITS ZIPPERが結成当初から夢に掲げてきたひとつの到達地点。事務所のASOBISYSTEMとしても所属アーティストが東京ドーム公演を行うのはこれが初であり、デビューから3年10カ月という早さで東京ドームに立つという意味では、日本の女性アイドルグループとしての快挙、ひいてはアイドルシーンの大きな転換点を観ている感覚を筆者は現地にいて強く覚えた。



驚くのは、ソロ曲やユニット曲、新曲を含めた全44曲、グループ曲としては持ち曲全てを披露したことだ。メンバーが“惑星D”の調査へ向かうというストーリーと地続きの世界観を持つスペーシーな「RADIO GALAXY」から、東京ドームという祝祭に相応しい「超めでたいソング 〜こんなに幸せでいいのかな?〜」まで。今回が初披露となる「Sugarless GiRL」をはじめ、初期曲の「ハートのローラーコースター」から「ふれふるサマー!」までの5曲を繋げたメドレーなど、「なんとしてでもこの東京ドームで全てを披露するんだ」という気概が伝わってきた。筆者が思い起こしたのは『紅白』でメンバー7人が着ていた衣装(※2)。そこには「ARIGATO」という感謝の文字とともに、これまでリリースしてきた楽曲名が散りばめられていた。ライブラストのMCで早瀬ノエルが話していたように、楽曲の数だけ大切な思い出や見てきた景色がある。その全てを、3年10カ月という歳月を引き連れて東京ドームに立つという、まさに本公演はFRUITS ZIPPERにとっての集大成なのだと感じ取った。







特筆すべきは3時間余りというライブとしては長尺のなかでも、冗長的な時間がなかったこと。先述したメドレーのほかにも、“COSEI メドレー”としてメンバー7人のソロ曲をシームレスに繋げていったり、「さん」から「ハピチョコ」への流れではリバーブをかけたフェードアウトで飽きさせない細かな演出を随所に施していた。ほかにもVTRでメンバーが話すセリフに楽曲のフレーズがインサートされていたり、ライブのラストで映し出された「To Be Continued」という文字とともに輝いた星々は4周年アリーナツアー『FRUITS ZIPPER ARENA TOUR 2026』の開催場所を示していたりと、仰々しい告知や説明は省いた、言うなればふるっぱーを信じた上でのライブだったように思う。ライブではお決まりと言える記念写真やTikTokの撮影時間がなかったことを考えると、詰め込みに詰め込んだ3時間だったことが想像できる。





「ぴゅあいんざわーるど」から「はちゃめちゃわちゃライフ!」の玉屋2060%提供曲の繋ぎ、「スターライト・ヴァルキリー」「We are Frontier」「Re→TRY & FLY」という黒衣装を纏ったメンバーのかっこいい“NEW KAWAII”を打ち出す3曲、「フルーツバスケット」から「JAM」という“果物”がテーマの流れなど、セットリストの妙も感じるなかで、筆者が思わず感極まったのはライブ序盤の「君の明るい未来を追いかけて」だった。グループにとってのデビュー曲であり、月足天音への“天音コール”が鳴り響く始まりの楽曲。特にこの半年はFRUITS ZIPPERが7人でいることが当たり前ではないということをメンバーも、ファンも実感した期間だったように思う。だからこそ、ドームに轟く5万人の“天音コール”には、ふるっぱーの愛や優しさも一緒に乗っている気がしてならなかった。「虹」もメンバー7人、7色だからこそ輝ける楽曲。さいたまスーパーアリーナでは叶えることのできなかったその先が、東京ドームには確かにあった。




「BABY I LOVED」の流れから初お披露目されたステンドグラスの衣装や「スターライト・ヴァルキリー」での派手な特効、宇宙船を模したフロートも大舞台ならではだが、驚きなのはメンバーが乗って現れた気球“ピポパポバルーン”だろう。ドームという高さを活かした演出であり、思いついたとしても決行するには勇気のいるアイデアだ。ただ、その真の目的は2階席のファンにも近くに感じてもらいたいという気持ちの表れのようにも思う。さいたまスーパーアリーナで花道の先から伸びるクレーンの高さでも足が震えていた松本かれんが、満面の笑みでアリーナに、スタンドに手を振っている姿には大きな成長を見た気がした(ほかメンバーに比べて気球の高さはいちばん低かったが)。




本編ラスト、涙ながらに語った仲川瑠夏のMCも素晴らしかった。たくさんの夢を叶えてこられたのはメンバー7人の力だけではなくふるっぱーがいたからだと感謝を伝え、「みんなが『大好きだよ』ってくれる愛を自分にもたくさん与えてください。自分のことを愛してください」と真っ直ぐにメッセージを届けたのだ。それはFRUITS ZIPPERの代表曲「わたしの一番かわいいところ」や「かがみ」にも描かれている、自分を大事にするということ。“ファンはアーティストの鏡”とよく言うが、そんな互いを思いやる、“ENERGY”を与えあう、〈君〉と〈わたし〉が作り出した優しく幸せな空気が東京ドームには満ちていたように感じる。

FRUITS ZIPPERの魅力は、“SUPER IDOL”、“アイドル以上のアイドル”、“NEW KAWAII”という言葉をライブという場で7色の光を放ちながら体現していることだと、筆者は東京ドーム公演を観てあらためて感じた。たとえば、それは“自分らしさ”という言葉のように曖昧で、時に自分自身を縛り付けるものでもあるだろうが、挫折を味わいながらも、一つひとつ着実に夢を叶えてきた3年10カ月の物語、そしてステージでの輝きが言葉以上にそれぞれが思い描く多様な“SUPER IDOL”を表している。
3時間、全44曲というタフなライブをしてもなお、彼女たちは新曲のなかで「成長期なので。」と歌う。〈君の夢とわたしの夢が同じだって知った日から〉〈きみが居れば叶えられる気がする〉。アリーナツアーの先には、ドームツアー、スタジアムライブ、ワールドツアー、はたまた宇宙……といったように、夢の果てはまだまだ遠い。人からあざ笑われるような夢も言霊にして叶えてしまう、そんな“SUPER IDOL”が今のFRUITS ZIPPERだ。
※1:https://realsound.jp/2025/10/post-2178865.html
※2:https://x.com/FRUITS_ZIPPER/status/2006327000978555387
<セットリスト>
01 RADIO GALAXY
02 君の明るい未来を追いかけて
03 うぇるかむとぅ~ざ♡ふるっぱー!
04 ぴゅあいんざわーるど
05 はちゃめちゃわちゃライフ!
06 KawaiiってMagic
07 Sugarless GiRL
08 ハートのローラーコースター
09 キミコイ
10 ずっと、ずっと、ずっと!
11 skyfeelan
12 ふれふるサマー!
13 君と目があったとき
14 かがみ
15 大きくなったら何になる?(松本かれん・櫻井優衣)
16 BABY I LOVED
17 世界はキミからはじまる
18 好き、お願い
19 スターライト・ヴァルキリー
20 We are Frontier
21 Re→TRY & FLY
22 Midnight in my Head(鎮西寿々歌・早瀬ノエル)
<COSEI メドレー>
23 末っ子パラドックス(早瀬ノエル)
24 すーぱーかれんたいむ(松本かれん)
25 ぱーすとめいみー(鎮西寿々歌)
26 月の音(月足天音)
27 Spotlight(櫻井優衣)
28 Chill Out(仲川瑠夏)
29 マナカマナカマナ(真中まな)
30 CO-個性
31 Going!
32 ふるっぱーりー!
33 Round and Round(仲川瑠夏・月足天音・真中まな)
34 NEW KAWAII
35 ピポパポ
36 さん
37 ハピチョコ
38 わたしの一番かわいいところ
39 フルーツバスケット
40 JAM
41 完璧主義で☆
アンコール
42 成長期なので。
43 虹
44 超めでたいソング 〜こんなに幸せでいいのかな?〜

























