トゲナシトゲアリ、迫り来る運命の日! Fear, and Loathing in Las Vegasから学んだ、日本武道館ライブへの心得

テレビアニメ『ガールズバンドクライ』発のガールズバンド トゲナシトゲアリが、2025年9月23日にワンマンライブ『奏檄の叫』にて日本武道館に立つ。数百人規模のライブハウスからスタートした彼女たちだが、活動2年で着実に人気を高め、会場の規模を拡大。今では日本を飛び出しアジア圏でもライブを開催するなど、ワールドワイドに支持を集める存在となった。
そんなトゲナシトゲアリの特別番組『トゲナシトゲアリ 武道館への道』が、MUSIC ON! TVにて7月から9月まで3カ月連続で放送。バンドの聖地 川崎の街ロケ、日本武道館を経験する先輩バンド Fear, and Loathing in Las Vegas(以下、ベガス)との対談、そしてスタジオライブと、彼女たちの様々な一面が見られる番組になっている。
リアルサウンドでは、ベガスと対談を終えたばかりのトゲナシトゲアリにインタビュー。特別番組の収録の感想をはじめ、今回の対談で得たもの、そして日本武道館とそれ以降の展望について話を聞いた。(編集部)
“食レポ”に大苦戦、街ロケで開いた新たな扉

ーーMUSIC ON! TVで3カ月連続特番『トゲナシトゲアリ 武道館への道』が放送されると聞いたとき、皆さんはどう思いましたか?
3人:びっくりしました!
夕莉:私たちのためにテレビ番組を作っていただくこと自体が初めてだったので、驚いたと同時にすごく嬉しかったです。しかも、初回がロケ、2回目が対談、3回目が収録ライブ、とどれも初経験のことばかりだったので、“ドキドキする気持ち”プラス“新しい経験ができる”ということに、すごくワクワクしました。
理名:これまで音楽番組でライブパフォーマンスをさせていただくことはありましたが、私たち3人の個性にスポットを当てていただくような機会は配信イベント以外では初めてだったので、「どうなるんだろう」という不安もあったんですけど、初回でいきなり食レポがあったりと、新しいことに挑戦できることのありがたみをすごく感じました。
朱李:内容に関して最初に聞いたときは、「これ、私にできるのかな? 全然うまくできなかったらどうしよう?」と不安だったんですけど、逆に初めてのことばかりだからこそ、「まだまだ伸ばせるところがたくさんあるんだ」という気付きにもなりました。そこからは、収録が楽しみになりました。
ーー確かに、これまでのトゲナシトゲアリ(以下、トゲトゲ)のテレビ出演は、音楽番組での演奏と、少しトークがある、という感じでしたよね。今回は初めてロケに挑戦することにもなったわけですが、それまではいち視聴者としてテレビで楽しんできたものを、いざ自分たちが経験してみていかがでしたか?
理名:私たちはロケがどんなふうに撮影されるのかもまったく知らなかったので、横から撮っていただいているのに全員横並びで歩いてしまったりして。食レポも、本当に「美味しい」って思っているのに、自分の言葉で伝えようとするとあまり美味しくないように見えてしまったり……。自分が視聴者として観ているときは他人事のように見ていましたけど、実際にやってみるとすごく難しかったです。
夕莉:「言語化ってこんなに難しかったっけ?」って思ったよね。私は最近よく読書をするんですが、本屋さんに行ったときに「言語化をうまくする方法」というような本があったので、ちょっと買おうかと思ったくらいでした(笑)。
朱李:本当に難しいんだよね。でも、スタッフさんに「美味しいんですよね?」って確認されちゃうぐらい反応が悪くて(笑)。
理名:あれは本当に美味しいと思っていたんです(笑)! なので、こうしてここでちゃんとお伝えしておきます!
ーー文字としてしっかり残しておきますね(笑)。朱李さんは初ロケで何がいちばん大変でしたか?
朱李:やっぱり食レポです(笑)。
理名:あれは大きな壁だったよね。
朱李:うん。味をうまく伝えようとして、言葉だけじゃ足りないから身体の動きとか表情も使うんですけど、なかなか「美味しい」という思いが伝わりきらなくて。本当に美味しいんですよ? なのに私たち、美味しくなさそうな表現になってしまいがちだったんですよ。葛餅のみずみずしさを伝える際に、間違えて「水っぽい」と言ってしまったり(笑)。
夕莉:「それって“みずみずしい”って意味ですよね?」ってスタッフさんに確認されてしまいました(苦笑)。
朱李:ポジティブな表現をうまく使えないんですよ、この3人は(笑)。そういう意味でも、全体的にポジティブにならないといけないなと実感しました。
Fear, and Loathing in Las Vegasから受けたアドバイスの数々

ーーそういう学びがあったと(笑)。そして、本日は8月20日にオンエアされる第2回の収録が行われ、Fear, and Loathing in Las VegasのSoさん、Taikiさんと対談されました。この対談は今年3月に開催されたベガス主催フェス『MEGA VEGAS 2025』にトゲトゲが出演したことがきっかけかと思いますが、最初にこのフェスに出演することが決まった際、皆さんはどう感じましたか?
理名:まずは、フェスに出演できることが嬉しくて。
夕莉:『MEGA VEGAS』は「激しいバンドが集まるフェス」という印象があったので、トゲトゲのファンの方々が飲み込まれちゃわないか心配だったんですけど、いざやってみたら私たちもすごく楽しくて。
朱李:リハから楽しかったよね。
夕莉:ステージから観た景色も一体感がすごくて、皆さん楽しんでくれていることが伝わってきて。当日は『MEGA VEGAS』用に、私たちの中でも激しめの曲を揃えて攻めたんですけど、初めて観てくださる方もめちゃくちゃ盛り上がってくださって、すごく嬉しかったです。

ーーフェス当日、ベガスの皆さんとはお話しできましたか?
夕莉:はい。Soさんは以前、私たちのラジオ番組に出演してくださったことがあったんですが、ほかのメンバーのみなさんとはフェス当日に初めてご挨拶させていただきました。じっくりお話しできたのは今回の対談が初めてです。
ーーベガスというバンドに対しては、皆さんどんな印象を持たれていましたか?
夕莉:トゲトゲの曲も1曲の中で緩急が激しいんですが、ベガスさんの曲も1曲の中で表情がいろいろ変わったりするところが共通しているなと思っていましたし、それが「ライブではどんな感じになるんだろう」って、生で観るのをすごく楽しみにしていました。
朱李:私はもともと父がベガスさんのファンだったので、家でもよく楽曲を聴いたりライブ映像を観たりしていたんです。ライブで激しく動き回ったり、客席に飛び込んだりというパフォーマンスを観ていたので、ちょっと現実感があまりなかったといいますか……「本当に実在するのかな?」っていう憧れのような存在でした。
理名:これまでラウド系をあまり聴いてこなかったんですが、ベガスさんの曲を聴いたりMVを観たりして、すごく好きなジャンルのバンドだなと思いました。なにより、ライブ映像を観た瞬間に心を射抜かれました。そこからはライブ映像を2日に1回観るぐらい大好きになりました。とにかく激しいステージで、その一方でファンに対しての愛が強いことが伝わってきますし、そういう信頼関係の強さがベガスさんの魅力なのかなと思ったりもして。MCでの楽しませ方も含めて、長く活動してきたからこその経験が全部詰まっているなと感じましたし、私の中の新たな扉を開けてくださった、尊敬する先輩になりました。
朱李:『MEGA VEGAS』のときもベガスさんのライブをステージ袖から観ていたんですが、最初からお客さんの手拍子が揃っていて。そういうところからもお互いの信頼関係を感じましたし、『MEGA VEGAS』自体が信頼関係あってこそ全身を使って音楽を楽しめる場なのかなと、初参加してみて実感しました。


ーーその『MEGA VEGAS』を経て、今回ベガスとの対談が実現したわけですが、実際にじっくりお話しされてみていかがでしたか?
夕莉:すごく勉強になることをたくさん伺うことができました。バンドを長く続けられている先輩だからこそ、メンバー同士の信頼感や良い関係を築くために大切なことも聞けましたし、私たち自身、武道館に対して、気合いと同じくらい不安も感じているので、そこに対する気持ちの持っていき方や、普段なかなか知ることができないお話をたくさん聞けたので、武道館前にこの対談があって本当によかったです。
ーー改めてそういった話を経験者に聞く機会は、なかなかないですよね。
夕莉:そうなんです。なので、今日一日で武道館に対する「頑張ろう」っていう気持ちがより高まった気がします。
理名:普段は他のバンドやアーティストの方とゆっくりお話しする機会はほとんどないので、こうやって対談できること自体がすごく貴重で新鮮でした。今日は壁にぶつかったときの対処法がすごく勉強になりましたし、「苦しいのは自分だけじゃないんだ」ととても安心しました。皆さんとお会いしてまだ2、3回目なのに、不思議と安心感がありました。
朱李:武道館は“ロックの聖地”と言われるくらい大きな舞台ですし、私たちも結成してからずっと目標にしていた場所なので、私も対談をさせてもらうまでは「ちょっと怖いな」という想いが心のどこかにあったんです。それ以前に、「あんな大きな舞台でワンマンライブをやれるだけの体力が備わっているのか」「お客さんの期待を裏切らずに最後までやれるか」など、いろいろな不安を抱えていたんですが、ベガスさんから「あんまり考えすぎないでいいんだよ」とか「メンバーの顔を見ていたら落ち着くよ」とか、緊張しないコツや武道館を楽しむためのコツなど、たくさんアドバイスをいただいて。楽しみになる情報をたくさん聞けました。それ以外にも、悩んでいるときの対処法とか、たくさん貴重なお話を伺うことができて。普段生きていても不安になったり沈んでしまったり、ライブをやっていて力が入りすぎたりしたときに参考にできるアドバイスもたくさんありましたし、本当にためになりました。


ーー皆さんは”同業者目線”と”いちファンとしての目線”のどちらで質問されましたか?
夕莉:私は”先輩ミュージシャン”という目線で見ていて。音楽活動を始めてから自分が悩んでいることや、音楽活動をしているからこその心配ごとに対して、アドバイスしていただける機会はなかなかないので、今回はベガスさんに対して後輩みたいな気持ちで自分の聞きたいことを聞こうと臨みました。
朱李:私は半々だったかもしれません。武道館へのアドバイスは同業者としていただきましたが、ファン目線では『MEGA VEGAS』を開催しようと思ったきっかけを聞いたり、Taikiさんには「個性的なファッションがすごく印象的です」というようなお話しをさせていただいたりもして、とても充実した時間になりました。
理名:私は”先輩に対しての質問”を用意していたんですが、いざ収録が始まると、バンドのこと以外にも普段のメンバー同士の関係性や、「こういう話題で盛り上がってるんだよね」という、表に出ている部分だけではわからないベガスさんのお話を聞くことができて。そういった点ではファンとして嬉しく思いましたし、”武道館に立った先輩”という意味でもいろいろな経験を元にお話を聞かせていただいたので、私も朱李と一緒で半々です。
























