トゲナシトゲアリ 夕莉×朱李、結成から2年で培ったプレイヤーとしての成長 日本武道館見据えるバンドの現在地

トゲナシトゲアリが、2025年9月23日に日本武道館にてワンマンライブ『奏檄の叫』を開催する。テレビアニメ『ガールズバンドクライ』劇中と連動するリアルバンドとして2023年2月に結成されてから約2年。ワンマンやフェスなど数多くのステージを経験し、着実に成長を重ねてきたメンバーが、アニメの物語の目標とも言える大舞台に立つ。
リアルサウンドでは、河原木 桃香役の夕莉(Gt)、ルパ役の朱李(Ba)にインタビュー。2025年上半期に行ったMyGO!!!!!やShe is Legendとの対バンや新シングル『ダレモ』に関するトークをはじめ、ライブを通して磨いてきたプレイヤーとしての技術、バンドの現在地について話を聞いた。(編集部)
「技術面やパフォーマンス力が上がってきている」(夕莉)

ーーリアルサウンドでのトゲナシトゲアリへのインタビューは、昨年9月、『ATF 25th presents BAYCAMP 2024』出演時にバックヤードでお話を伺って以来となります(※1)。それ以降もほぼ毎月のようにライブやイベント出演を重ねられて、皆さんの佇まいやミュージシャンシップが常に進化し続けているように感じます。夕莉さんも朱李さんも、トゲトゲとして活動を始める前はほとんどライブ経験がなかったとのことですが、トゲトゲの初ステージから2年経たずしてここまで成長していることに対して、手応えを感じていますか?
夕莉・朱李:(同時に)感じています!
夕莉:ライブを重ねるたびに、技術面やパフォーマンス力が上がってきていると個人的にも感じています。特に、今年1月に開催したMyGO!!!!!さんとの対バン(※2)や、先日のシーレジェ(She is Legend)さんとの対バン、あとはフェスに出演して自分たち以外のバンドやアーティストの方々と同じステージに立ったときに、ワンマンとは違った手応えを感じて、いつもの自分よりも少しレベルアップした演奏ができているように思います。ほかの出演者の方々のステージを観ることで、「早くライブがしたい!」とライブに対する熱意や力が湧いてくるんです。
朱李:私はライブが終わったあと、本番の映像データをよく見返しているんですが、昔の映像と最近の映像を見比べると、自分の動き方や音の縦の揃え方が全然違うなと感じます。最近のライブではベースソロを弾くことも増えてきたんですが、最初の頃に比べると緊張もだいぶ和らいできましたし、そういう意味でもちょっと強くなってきているのかなと感じます。
ーーつい最近、『1st ONE-MAN LIVE “薄明の序奏”』が映像作品として発売されたばかりですね。
夕莉・朱李:(同時に苦々しい顔をする)
ーーあまり思い返したくないみたいですね(笑)。
朱李:家で観たんですけど……途中で観るのをやめちゃうぐらい、自分が拙くて(苦笑)。
夕莉:それだけ、その時より今が成長できてるってことだよね。
朱李:そうだね。1stワンマンはそのときの全力を出し切ったし、今の全力とそのときの全力も全然違うから、そこも成長を感じた瞬間です。
ーーShe is Legendとの対バンの話題が出ましたが、僕も会場でライブを拝見していました。東京ガーデンシアターという大きな会場で、あれだけ重くて激しいサウンドを信条とする手強いアーティストのあとにステージに出ていくのは、相当度胸が必要になりますよね。
夕莉:そうですね。シーレジェさんとは昨年の『アニサマ』(『Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-』)でご一緒していて、本当に圧倒的な歌唱力ですし、バンドの方々の安定感もすごくて。そのあとに自分たちが出ていくことに少し不安はありましたが、「ここで負けていられない!」と思って全力で挑んで、最終的にはその場を楽しむことができたと思います。
ーートゲトゲはアニメフェスのみならずロックフェス出演の機会も多いですが、例えばアニメやゲームコンテンツから生まれたアーティスト以外と対バンするならどんな方たちとしてみたいですか?
夕莉:私はポルカドットスティングレイさん。以前、ワンマンライブやフェスでステージを観たことがあるんですが、その場にいるお客さん全員を巻き込んでひとつになって盛り上がるステージがとにかく楽しくて。ぜひ対バンして、その魅力を学んでみたいです。あと、高校生でギターを始めたときからずっとSHISHAMOさんが好きなので……トゲトゲも同じく川崎がホームなので(笑)、いつか対バンしてみたいです!
朱李:私もポルカさんが好きだから、そこは一緒ですね。あとは、打首獄門同好会さん、サカナクションさん、ヨルシカさん、Chevonさんとか……皆さんただ好きってだけなんですけど(笑)。
夕莉:もちろん、MyGO!!!!!さんとの対バンもすごく楽しかったですし、同じ、“コンテンツから生まれたリアルバンド”として戦友みたいな感覚が強いので、また違った楽しさがあるのかなと思います。そういう意味では、いろいろなジャンルのバンドさんと対バンしてみたいです。
朱李:せっかくだったら、対バンツアーとかもしてみたいよね。


ーーライブの中では『ガーズルバンドクライ』というアニメ作品の世界を踏襲した演出も多いですが、リアルバンドとしてステージに立つ際に一番大切にしているのはどういったことですか?
夕莉:私たちは「5秒あれば勝てるバンド」と掲げてきていますが、「アニメのキャラを私たちに投影させてライブを楽しんでいる方にも、リアルバンドとしてのトゲナシトゲアリの魅力をしっかり伝えたい」という気持ちがすごく強いんです。今回リリースした10thシングル『ダレモ』に収録の2曲のMVにもアニメキャラクターが登場していますが、アニメの劇中歌ではない楽曲の中で、どうやって私たちらしい見せ方ができるか、ライブのたびに考えながらパフォーマンスしています。
朱李:私もなるべくリアルとアニメのギャップを埋めたいなと思いつつも、キャラクターたちの動きと自分たちの動きが違っているところはどうしても出てくるので、そこをどう表現するかを毎回考えていて。例えば、ルパは足を広げているけど重心は高めで、ピンと立っているような印象なんですが、そこを取り入れようと頑張っても、なかなか慣れない動きなので途中で弾けなくなっちゃうんです。
夕莉:朱李は重心が低めだもんね。
朱李:そう。なので、そのギャップに関しては今も少し悩んでいます。
ーーでも、そこが「アニメとは違った魅力としてライブで味わえる」という点では、リアルバンドとしての強みかもしれません。
朱李:そうですね。自分とルパのギャップも魅力と感じてもらえるような、良いパフォーマンスができるようになりたいです。