片寄涼太の核心に触れてほしいーーソロアルバム、ジュエリーブランドに込めた“自分らしい呼吸”

「朝日のように、夢を見て」の歌詞は「自分らしい呼吸を込められた」

――楽曲についても伺います。GENERATIONSメンバーによるプロデュース企画「PRODUCE 6IX COLORS」で片寄さんが担当したプロデュース曲「気づいたことは」（3月3日リリース）では長年交友がある蔦谷好位置さんとタッグを組み、20曲以上ものデモから絞り込んでブラッシュアップしたそうですが、今回の初ソロアルバムではリード曲「Stay or Go」を手掛けた☆Taku Takahashiさんや3rdトラック「Smoky Town Rain」サウンドプロデュースを手掛けた土岐麻子さんとはどんなやり取りでしたか？

片寄：大ファンであるm-floの☆Takuさんには「Possible」を作っていただいた経緯がありますが、初ソロアルバムでも是非ご一緒していただきたいなと思いました。対面でお打ち合わせした時に「アップテンポでポップなナンバーにしよう」と決まり、今回のアルバムではリード曲としてプロデュースしていただきました。

　土岐さんとは、それこそブックレットを書いている頃にお打ち合わせをしました。事前にビルボードでのライブも観に行かせていただいて。土岐さんにとっても「Smoky Town Rain」が初サウンドプロデュース曲ということで、ざっくばらんにお話しました。

　僕の父が音楽教師であることなど自分自身の生い立ちの話題や、歌謡曲のような懐かしい雰囲気の曲を今の時代に僕があえて歌うことの面白さ。近年のトレンドとして「イントロは短くサビ始まりで」という時代の中で、日本語の美しさや行間を感じられる曲を土岐さんとご一緒したいですとお伝えしました。

――「Smoky Town Rain」のフレージングがまさに行間を感じさせる歌い方だと思います。ブックレットの武勇伝ページに「ゆっくりと時間をかけて一つ一つが呼吸を思いだすように」という印象的なフレーズがありますが、いざ声を吹き込むレコーディングはどうでしたか？

片寄：例えば、「朝日のように、夢を見て」は、タイトル先行でこの曲を作りたいという強い思いから制作をスタートしていますが、『Bouquet』制作過程で自分の中から生まれてくる発想や感覚からイメージがある程度出来上がっていました。そのためレコーディング中は自分らしい呼吸を込められ、楽曲と向き合えたという実感があります。

――「朝日のように、夢を見て」では作詞を担当しています。どんな場所で作詞しましたか？

片寄：自宅が多かったですね。「朝日のように、夢を見て」は、GENERATIONSの楽曲でもお世話になっている和田昌哉さんにタイトルと曲のイメージをお伝えして作っていただき、あとは自分の中にある言葉や曲のメッセージをどう落とし込むのかというところでした。

　自分の中でイメージが固まっていましたが、サビは悩んだ部分もあります。そういう時、部屋の片付けをしている瞬間、パッと外を見ると不思議と虹が見えたような気がしました。その体験がサビの歌詞になりました。

――素敵なエピソードですね。2015年にリリースしたGENERATIONSのアルバム『GENERATION EX』収録曲「STORY」で初作詞を経験しましたが、その頃と比べて作詞の仕方は変化しましたか？

片寄：年を重ねる中で発想力が変化しているなとポジティブな意味で思います。一方でどうでしょう、今後も作詞をする時には悩む瞬間も出てくるのかなと思います。「朝日のように、夢を見て」は僕が普段から感じていたことが長い時間を経て表現された楽曲でもあり、自分としては特に書かなければいけないという気持ちが強かったです。その意味でもたくさんの方に聴いていただけると嬉しいですね。

「自由に創作活動できることが僕の理想」

――音楽とアートが豊かにオーバーラップするソロ世界を表現する片寄さんは「アート愛好家」という肩書きが加わることも多いと思いますが、今回はアルバムリリースと同日にジュエリーブランド『Ruban de bouquet』をローンチしました。アルバム10曲がそれぞれジュエリーとリンクするわけですね？

片寄：贈り物というのは、自分のために贈る場合もありますが、誰かとのお祝いの席、誰かに「おめでとう」という気持ちを込める時に贈るなど、その体験、思い、時間に寄り添い、花を添えてくれるようなジュエリーを考えました。その上でアルバム収録曲を花に見立て、その10曲をモチーフに天然石に落とし込もうとデザイナーさんに提案したんです。せっかくこのタイミングでローンチするわけですから、応援してくださるファンの皆さんがアルバムを聴くタイミングと地続きで、僕の世界を感じてもらえたらいいなと思っています。

――お気に入りジュエリーを教えてください。

片寄：「Color stone bouquet ear cuff」ですね。3連3連4連になっている、ありそうでないようなデザイン。花に見立てた10曲を落とし込んだ天然石もそれぞれ一つひとつが繊細に主張してくれています。

――8月29日から3日間限定POPUP STOREも開催されます。見どころを教えてください。

片寄：実際にジュエリーを手に取って触れて感じていただける展示にする予定です。8月6日にリリースのアルバムとローンチしたジュエリーブランドの二つがうまく相乗効果で感じられる空間にしたいなと思います。

――片寄さんの音楽とアートがリンクする世界観を一斉にアウトプットするわけですが、全ての制作を終えて感じることはありますか？

片寄：自分は性格的に飾らないタイプだと思っています。生身そのものを届けたい。そういう思いの中で制作した今回のアルバムにもたくさんの片寄涼太が詰まっています。自分自身の奥にタッチしてもらえる表現を心がけ、これからも作品づくりを続けていきたいです。

――今後も音楽とアートが豊かに連動する制作を行うのでしょうか？

片寄：そうですね。メインフィールドとする音楽活動と他の芸術分野が分け隔てなくそれぞれ行き来しながら、自由に創作活動できることが僕の理想です。

――「まえがき」ではオーディションを受けた時期の「片寄涼太」とそうした自由な創作活動の時期に入ったアーティストの「片寄涼太」と15年間ずつで明確に書き分けていますが、パーソナルな自分とアーティストの自分は現在の片寄さんの中でどのくらいの比率ですか？

片寄：どちらとも言えないというか、はっきり五分五分とも言えないし、五分五分でなおかつ100％とも言える。今後それが一体化していく気がしていています……。今、お話を伺いながら思ったんですが、今回の作品を経て今までの自分自体が一つの節目になり、今後またより密に絡み合いながら、自分らしさをきちんと表現できるフェーズに入るのかなとふと感じました。

――アーティストの「片寄涼太」を「私はまず、時間をかけて彼と向き合うことにしたいと思う」とあえて三人称で置いた「彼」と向き合いながら片寄さんが今後多面的に表現することが楽しみです。8月29日には31歳の誕生日を迎えますが、アーティストの「片寄涼太」が、これで1年多くなるわけですね。

片寄：そうですね、また折を見て、自分自身を振り返りたいと思うタイミングがくるのが楽しみです。『Bouquet』はソロアーティストとしての自分の集大成でもあると感じています。そういう意味でここからさらに新しい挑戦が始まる。今は、新しい自分がスタートする清々しい気持ちでいます。

■リリース情報

片寄涼太『Bouquet』
2025年8月6日リリース

1. Stay or Go prod. by ☆Taku Takahashi (m-flo)
2. Possible
3. Smoky Town Rain
4. 運命
5. 今夜はブギー・バック feat. eill / prod. Shin Sakiura
6. Dance the life away
7. サクライロ
8. tenkiame
9. 朝日のように、夢を見て
-Bounus Track-
10.Pray -for Bouquet- feat. Shinya Kiyozuka

■イベント情報
『Ruban de bouquet』ファーストコレクション　POP UP
日程：8月29日(金)~8月31日(日) OPEN/12:00 CLOSE/19:00
場所：VERTICAL GARAGE NAKAMEGURO
（〒153-0051 東京都目黒区上目黒1丁目15−11）

※一部アイテムはオンライン販売のみ
Ruban de bouquet Online Store：https://verticalgarage.jp/ruban_de_bouquet/
Ruban de bouquet Instagram：https://www.instagram.com/ruban_de_bouquet.official/

アート展覧会『The Vase for Bouquet』開催概要
会期：2025年8月7日（木）～8月30日（土）※日曜定休
時間：18:00～24:00
※1.5時間毎の入れ替え制
会場：WALL_alternative （東京都港区西麻布4-2-41F）
入場料：無料（事前予約制）、ワンドリンク制

申し込みURL：https://wallalternative-thevaseforbouquet-08060830.peatix.com/
HP：https://avex.jp/wall/exhibition/633/

■関連リンク
片寄涼太 公式Instagram：https://www.instagram.com/ryota_katayose__official/
スタッフ公式X：https://x.com/yose__staff