GENERATIONS 小森隼・中務裕太、“正反対”の2人が語り合う 単独公演ならではの意識と目指すもの

2021年からスタートした、小森隼の単独トークライブ『小森隼の小盛りのハナシ』。2022年からスタートした、中務裕太の単独舞台『中務裕太のマルチダンス〜多次元裕太をお見せします〜』。GENERATIONSの時とはまた違った彼らの一面が見られるとあり、両公演とも毎年大盛況を収めてきた。そんな2公演が今年はタッグを組み、初の関西・関東公演での開催が決定した。そこで小森、中務に対談をしてもらい、公演についてたっぷり語ってもらった。(高橋梓)
“自分自身”のためでもある単独でのステージ
ーー今年で『小森隼の小盛りのハナシ』は5回目、『中務裕太のマルチダンス〜多次元裕太をお見せします〜』は4回目の開催となります。現在の心境はいかがでしょうか。
小森隼(以下、小森):「もう5年かぁ」という感じですね。初回から「ライフワークにしていこう」とは考えていましたが、正直5年目の自分をイメージできてはいませんでした。なので、「5年も続いたのか。嬉しいな」とシンプルに思います。
中務裕太(以下、中務):過去3回いろんなダンサーさんが来てくださったり、協力してくださる人が増えていったりしていて。ありがたい環境でやらせてもらっていると、毎回感じています。
ーー公演は毎回大好評ですよね。こうして続いている要因はどこにあると分析されますか?
中務:この公演って、もちろん観に来てくださる方のためにやっていますが、自分が自分でありたいからやっている部分もあるんです。グループ活動をしていると、自分が踊りたいダンスジャンルだけを表現できるわけではないじゃないですか。なので、この舞台で自分がやりたいダンスを存分に表現しているという側面もあるんです。しかも、「こういうのが見たかった」と言ってくださる方も多くて。僕自身にもファンの方にもマッチした公演になっていることが、続いている理由なのかなと思っています。

小森:僕も似ているかも。『小森隼の小盛りのハナシ』は自分自身のチャレンジから始まりましたが、「自分が自分であるために」、「自己肯定感を上げるために」という理由もありました。グループで活動していたり、バラエティ番組に出演させてもらったりしていますが、ふと「自分の強みってなんだろう」、「本当の自分ってなんだろう」と思ってしまうことがあるんです。そんな中で1人で2時間喋り続けているのを皆さんに見てもらうという瞬間が、自分をさらけ出している感じがしていて。“小森隼”を皆さんに知ってもらったり、自分自身を再認識したりできる場所が『小森隼の小盛りのハナシ』なんです。そういった役割を持つ舞台だからこそ、続けられているのだと思います。
ーー本当の自分を見せられる場所だからこそ、続いている、と。お二人とも表現者として普段からステージに立っていることは前提に、1人でステージに立って自分をさらけ出すことに抵抗はなかったのでしょうか。
中務:僕はほとんどありませんでしたね。もともとずっと1人でダンスをやっていましたし、1人でダンスバトルにも出ていましたし。怖さや不安よりも、「本当の自分を表現できる時が来た!」という楽しみが勝っていました。
小森:そっかぁ。僕はめちゃくちゃ怖かった! なので、まさにチャレンジの企画だったんです。毎回震えるほど緊張していますし、本番が終わっても「大丈夫だったかな……」と思っています(笑)。本来だったらやらなくてもいいことではありますが、あえて飛び込んでいくヒリヒリ感が刺激になっていたりもするんですよね。
ーーなるほど。回数を重ねて慣れてきた部分もあるかと思いますが、慣れたからこそ見えたことはありますか?
中務:うーん、いまだに慣れてはいないかもしれません。でも、普段はグループでステージに立っているので、1人で立つことによってメンバーに助けられている部分がたくさんあるんだなとは改めて感じています。
小森:たしかにグループのありがたみは感じられるよね。それと、僕は裕太くんと違って踊らずにずっと喋り続ける公演なんですね。GENERATIONSとしてデビューして13年目ですが、その中でもチャレンジしたことがないことをやっていて。なので、毎回「こういう話の持っていき方ができたな」とか「こういう話もできたな」、「こういう企画もやれたな」という広がりを感じられること自体が新鮮なんです。慣れたから、というわけではないのですが、自分がやりたいことや作りたい空間に対する新しい気づきはあります。
「なるべく日常の生活の延長線上に公演があるようにしたい」(小森)
ーー逆に回数を重ねたからこそ気をつけていることはありますか?
中務:ダンスを間違えないことですね(笑)。毎回分量が増えていっているんですよ。今回は初回と比べて2〜3倍くらい多くなっていると思います。
小森:本当に!? えぇ(笑)!?
中務:かなりの量を覚えないとダメなので、そこは大変だなっていう。振りを間違えないように頑張ろうって気をつけています。
小森:それは大変だわ。
中務:隼はないの?
小森:僕は日常の生活を変えないことを意識しています。

ーー逆に、なんですね。
小森:「『小森隼の小盛りのハナシ』があるから、これはしないようにしよう」と特別な何かをしてしまうと、話せなくなってしまうんですよ。日常を生きている自分からにじみ出るものが『小森隼の小盛りのハナシ』に繋がっているというか。僕、平日夜毎日2時間ラジオ『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)の生放送をやっているんですね。でも、『小盛りのハナシ』の公演があるからという理由でラジオをお休みするということはしないようにしています。なるべく日常の生活の延長線上に公演があるようにしたいんですよね。
ーーリズムが崩れてしまうからということですか?
小森:そうそう。“特別を意識しないこと”を意識しています!
ーーそもそものところなのですが、お二人とも公演の内容をどのように決めていっているのですか?
中務:毎年「今年はこういう人とこういうダンスをしたな」というのを振り返って、「じゃあこの人を呼ぼう」、「テレビの企画でやったダンスを生で見られる場にしよう」と関わった方々を呼ぶようにしていますね。
ーー1年の振り返り的な。
中務:そういう側面もあるかもしれないですね。
小森:僕は毎日日記を書いていて。公演をやることが決まったから内容を決めていくというよりも、1年中ネタを探している感じですね。その年の『小森隼の小盛りのハナシ』が終わった瞬間から、来年の『小森隼の小盛りのハナシ』に向けてどうするかを考えているという。でも、頑張ってネタを探しているというよりも、段々と感受性が高まっているという感じがしています。人って毎日たくさんのことが起こっていますが、意外とスルーしてしまうことが多いじゃないですか。でも『小森隼の小盛りのハナシ』が始まってから、誰と出会ってどんな影響を受けたかという感情の機微の繊細さに慣れてきました。そういったものを活かして、毎日日記を書いています。
ーーそうして公演を作っていく上でつまずいた時は、誰かに相談をしたりも?
中務:俺はないですね。
小森:俺もないかな。
中務:意外とソロのことはメンバーに言わないです。あえて、相談しないようにしています。
ーー詰まった時はどう打破されるのですか?
中務:「どうにかなるでしょ!」って考えています(笑)。隼は文字起こしをして、書いて、話の流れを作ってという作業がありますが、僕は単純に踊るだけなのでそもそもあまり詰まることがないんですよね。ステージ上でトークする場面もありますが、THE RAMPAGEの陣がいるので、そこは陣に丸投げしています。
小森:あはは(笑)。
中務:「俺は頑張って踊るから、あとは頼んだ!」って(笑)。
小森:僕はひたすら苦しみ続けますね。悩んで詰まっても、ずっと書き続けるっていう。なので、この時期僕はほぼ毎日深夜は缶詰になっています。ラジオが12時くらいに終わって、そこから事務所で3時か4時くらいまで作業してから家に帰っているんです。
中務:すごいよね。
小森:そうやって書き続けていると、締切が絶対来るわけです。なので、締切でとりあえず提出する。そうするとスタッフさんたちが見てくれるんですね。初回から一緒にやっている方々ばかりなので、いろいろアドバイスや意見をもらえるのですが、それを聞くとああしたほうがいい、こうしたほうがいいというのが見えるんです。なので、もがき苦しみながら締切までにとりあえず形にするということを大切にしています。