grating hunny、muk、from NOW、シェカラーシカ……ロッキン・ライフの「俺のイベントに出てくれないか!」第3回
2025年4月から不定期で連載を開催した【招待状型連載コラム】「俺のイベントに出てくれないか!」。季節は夏。2025年のライブシーンはより活況、あちこちの現場で盛り上がりをみせている今、本コラムの第3回目をはじめたいと思う。
grating hunny
最初に紹介したいのは、grating hunny。大阪・寝屋川発の4人組パンクロックバンドで、寝屋川VINTAGEを拠点に、精力的にライブをこなしている。10代ならではの瑞々しい感性で解き放つ衝動は、何とも痛快。銀杏BOYZだったり、神聖かまってちゃんだったり、独自路線で己の美学を研ぎ澄ませてきたバンドに青春を染めてきた人であれば、きっとその「さらけ出している感じ」が突き刺さるはず。エッジの効いたサウンドと、儚さが宿ったメロディーを展開するロックナンバー「インソムニアの底で」や、パンキッシュなアンサンブルで刹那を駆け抜ける「高槻」などは、特におすすめ。ライブバンドとしてのアグレッシブさにも定評がある。
muk
次に紹介したいのは、2023年に大阪・堺で結成されたmuk。「現代病焦燥イノセントロックバンド」というキャッチコピーを掲げ、現在は秋本ユクと長谷川ミュウツーの二人で活動している。大きな区分としては90年代以降のオルタナティブロックの系譜に当たるサウンドが印象的なバンドだが、その中身はどこまでも独自に発展させている印象。それを示すかのように、「処女作」でも「さよなら生活」でも、あまりにストレートでインパクトのあるワードを歌の中に放り込む。ある種の喪失や葛藤、内面に宿ったぐちゃぐちゃの感情を赤裸々にさらけ出す言葉選びが、mukの楽曲に生命を宿し、聴き手に強烈なインパクトを与えることになる。叫ぶように鳴り響く轟音のギターと、感情むき出しにした秋本のボーカルは特に印象的だ。
from NOW
現在は活動休止中だが、同世代の大阪のバンドを続けて紹介したため、from NOWも取り上げたい。大阪・寝屋川を拠点にしたスリーピースであり、一部界隈では活動の再開を熱望されているバンドだ。「ナレナイ」「大阪」など、激しくてエモーショナルなのに、どこか切なさも宿った、不思議な味わいの楽曲を紡ぐ。サウンドとしては真っ直ぐなギターロック。だからこそナイーブな感情にも突き刺さるような哀愁が宿る。特に「日々、」はバンドの代表曲ということもあって、その魅力がより顕著に。大胆なギターサウンドだが、今にも何かが消えそうな響きも音の奥にあり、聴いていると胸がきゅっとしたような気持ちになって歌の世界に引き込まれる。ひねった何かで楽曲を展開するというよりは、歌とサウンドというシンプルな武器で、感情を射抜くような痛快さが大きな魅力だ。
シェカラーシカ
最後は関東を拠点に活動するシェカラーシカを紹介したい。今回紹介したバンドの中ではもっともメロディーの強度が高い印象で、等身大の目線で歌の中に起承転結を作り上げる。疾走感のあるサウンドもこのバンドの武器。ハネるようなリズムを生み出し、駆け抜けるような展開の中で、素朴ながらもエッジの効いた日常を歌い上げる。「彼岸花」「アネモネ」など、効果的に使われる歪んだ音とこーねの突き抜けるボーカルが混じり合い、美しいバランスで響かせるのも見事。結果、歌としてはどこまでもリアルなのに、響きとしては幻想的なイメージを与えることになる。
ライブのコンセプトとしては、新進気鋭な「若手」バンドであり、真っ直ぐなのにどこかアウトローな己の美学を貫き続けるバンドのばっちばち。そんな妄想で、この4組でまとめてみた。日に日にライブのパフォーマンスが上がっているバンドたちをぜひ目撃してもらいたい。

























