新着MVランキング:TWICE「THIS IS FOR」が残すインパクト 本作に宿る10年目の貫禄と軽やかさ
MV Chart Forcus
毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、ミュージックビデオをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV Chart Focus」。7月11日〜7月17日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:TWICE「THIS IS FOR」MV
2位:西野カナ「会いたくて 会いたくて」THE FIRST TAKE
3位:HANA「Blue Jeans」MV
4位:BLACKPINK「뛰어(JUMP)」MV
5位:HANA「Blue Jeans」THE FIRST TAKE
6位:Snow Man「夏色花火」Rec Video
7位:Mrs. GREEN APPLE「コロンブス」LIVE from “Harmony”
8位:しぐれうい「ひっひっふー」
9位:Mrs. GREEN APPLE「soFt-dRink」LIVE from “Harmony”
10位:JO1「BE CLASSIC」JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE’ IN TOKYO DOME
今週のランキングで首位を飾ったのは、TWICEの約3年8カ月ぶり、通算4作目となるフルアルバム『THIS IS FOR』のタイトルトラック「THIS IS FOR」だ。西野カナが『THE FIRST TAKE』に初登場した「会いたくて 会いたくて」に加えて、さらに、MVが3位となったHANAの「Blue Jeans」も『THE FIRST TAKE』バージョンが同時に7位ランクインしている。アーティストの求心力はもちろん、『THE FIRST TAKE』のプラットフォームとしての強さも感じられる。
さて、今回取り上げるのは、TWICE「THIS IS FOR」。アルバムリリースを告知する最初のティザーでは、ソリッドな打ち込みによるラテン系のダンスミュージックのリズムをBGMに、メンバー全員がまったく同じヘアスタイルと衣装でマネキンのように立ち尽くす姿が印象的だった。
ミーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーした昨年の「Strategy」しかり、ディスコ/ブギー路線を基軸として、近年はトレンドも手堅く押さえたポップで貫禄あふれるパフォーマンスを繰り広げてきたTWICEだが、『THIS IS FOR』はその延長線上にありつつ、よりクールなサウンドを展開。その点ではアルバムのイントロを飾るインスト「FOUR」、流麗かつビターなディスコ「OPTIONS」、ラテン調の「RIGHT HAND GIRL」やユニット曲「G.O.A.T.」、陰りのあるメロディの「PEACH GELATO」等々が印象的だ。
タイトル曲「THIS IS FOR」はTWICEならではの快活さを感じさせつつも、本作のクールなテイストを反映した楽曲。2023年の「MOONLIGHT SUNRISE」を思わせるアトランタベースのスタイルだが、音数少なく、一つひとつの音のアタック感も控えめ。メロディの動きもごく少なく、サビに至ってはほとんどチャントになっている。楽曲にドラマを作り、ボーカルの見せ所にもなるブリッジもなく、曲尺が2分11秒とかなりタイトだ。物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、とはいえパワー不足なんてことはないし、軽やかながら10年目の円熟も滲んでいる。MVでは後半のNG風の演出などユーモラスな場面も多い中で、頭を抱えるJEONGYEONや虚無の顔をして座り込むMOMOが妙にインパクトを残している。
『THIS IS FOR』は、アルバムとして見た時に統一感があるわけではないが、個々の楽曲は粒ぞろいだし、何よりタイトル曲にあふれている頼もしさは間違いない。先ごろ韓国でスタートを切り、まもなく日本にもやってくるワールドツアーに加え、アメリカ・シカゴで開催される『Lollapalooza 2025』でのヘッドライナーも控えるTWICEの勢いを示す作品であり、楽曲と言えるだろう。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly

























