さらなる進化を遂げた韓国フェス『Asian Pop Festival』 GogohawkとBialystocks、親和性の高いラインナップのステージ

土井コマキのアジア音楽探訪 Vol.17
韓国の仁川で2025年6月21日・22日の2日間にわたり開催された『Asian Pop Festival』に今年も行ってきました! 初年度の去年も相当素敵なフェスだったのですが、2年目はさらなる進化をし、アジアンインディミュージックファンにとって、さらに楽園のようなフェスになっていました。
改めてですが、会場は仁川国際空港からタクシーで10分ほどにあるリゾート施設のParadise City(パラダイスシティ)。その中にあるCulture Parkという芝生の広場に組まれるのが野外ステージ「PARADISE STAGE」、その広場の端にある常設の600坪の多目的スタジオ・STUDIO PARADISEに組まれる「CITY STAGE」、さまざまな韓国ドラマのロケ地にもなっているというCLUB CHROMAには「CHROMA STAGE」、PARADISE HOTELの1階にあるライブミュージック・ラウンジバーRUBIKが「RUBIK STAGE」。それぞれしっかりとした個性がある4つのステージがあり、単純な収容人数だけで振り分けられていない、「この雰囲気でこの音楽」というこだわりの見えるタイムテーブルが組まれていました。





インディミュージックと、このパラダイスシティのゴージャスなムードが、割とあべこべで面白いなと去年は思ったんですが、今年感じたのは、本フェスを主催するパラダイス文化財団のアートへの造詣の深さが、このインディミュージックの祭典への理解度に反映されているんだということ。「韓国の音楽」と言われて世の中のほとんどの人が思い浮かべるであろうK-POPではなく、インディロック、ポップ、スカ、電子音楽などなど、幅広い音楽ジャンルへの敬意を感じました。ありがたい! 本当にこんなに快適な音楽フェス、他には知らないです。しかも今年は、PARADISE HOTELのCIMERというスパに宿泊できる「CIMER LATE NIGHT PASS」なるものが販売されていました。『Asian Pop Festival 2025』2日券を持っている人に限り、初日のライブ終了後〜2日目の朝までCIMERのチムジルスパ(温浴施設)でリラックスできちゃうというもの。しかもたったの30,000ウォン。もちろん即完売だったようですが、これはありがたい!


ラインナップの方も、私の理解度が上がっただけかもしれないですが、去年よりも組み合わせの妙をより一層感じました。例えば、今回出会った韓国アーティストで、好きになってしまったのがGogohawkという4人組のバンド。

同じ日に日本のBialystocksが出演していたのだけど、親和性が高いなと思いました。ラジオでも話したのですが、ビアリのファンの方は、きっとGogohawkも気に入ってくれると思います。Gogohawkとは韓国語では「고고학」=「考古学」の意味。hawkは英語で鷹なので、「go go hawk」=「行け行け鷹」と「考古学」ではずいぶん印象が違う。彼らにインタビューする機会を得たので、直接聞いてみたら、どちらの意味でも自由に呼んでいいらしいです。というのも、自分のことを探究する考古学的な意味と、飛び立つという意味、その両面性をバンド名に持たせているのだそう。抒情的で、心象風景が浮かぶような音楽性だけれど、確かにライブは「hawk=鷹」という印象が似合う、アグレッシブで熱い演奏でした。リスナーには、各々違う絵を思い描いて聞いてもらいたいそうですが、時間が流れるにつれて景色も変わっていくソウルの実際の風景で例えるなら、ハンガン(漢江)のほとりの公園の風景が似合うと思うとのこと。もし日本のリスナーが漢江に行くことがあれば、川の流れを見ながら聞いてほしいと話してくれました。私は個人的にバスや電車で漢江を渡りながら車窓を眺めるのも、川の中洲のノドゥル島でぼんやりと遠くを眺めるのが好きなのですが、そう言われてみるとGogohawkの音楽が似合います! お試しください。ライブも観てもらいたい!





そんなGogohawkのライブでは、同じフレーズを違う楽器が順番にバトンのように渡していくソロ回しに、大歓声が起きたりして、ステージとフロアの距離が近い「RUBIK STAGE」ならではの一体感がとても熱かったです。そして、おそらくそこで騒いでいた方々は、「CITY STAGE」に登場した日本のBialystocksでも大きな歓声で盛り上がっていたのではないでしょうか。



Bialystocksはライブならではのアレンジで楽しませてくれるのですが、機材トラブルもものともしない堂々たるプレイ、ボーカル甫木元空さんの体の奥底から湧き上がるような第一声で、瞬間的に沸騰するフロア。韓国の方は、本当に鳴っている音に素直に興奮を表現するので、言葉を超えて演奏が良ければめちゃ盛り上がるのです。ライブの後でBialystocksに聞くと、日本ではあまりみられない、音楽に腰で乗るタイプのお客さんも見受けられたとかで、その自由さに感激していました。韓国での初ライブ、大成功でしょう。Gogohawkのメンバーが以前からBialystocksのファンだったとのことで「自分だけが知ってるバンドでいてほしかったのに……」と、古参ファンらしい発言をしていて可愛かったです。

























