CUTIE STREET ソロインタビュー Vol.7:板倉可奈「私はアイドルじゃないな」――葛藤を経て見つけた自分らしい表現

オーディション合宿で見つけた自分らしい表現

――オーディション合宿でも、同じ課題に向き合っていましたよね。あらためて、なぜオーディションに参加したのでしょうか?
板倉:きゅーすと(CUTIE STREETの略称)に入る前が暗黒期で、何をしたらいいのか分からなくて。自分の居場所が無いというか、悩みまくりで、迷走していて、何をやっても病んでしまうダメダメな時期でした。マネージャーさんにオーディションのお話をいただいて、歌にはまるで自信がなかったんですけど、当時はそんなこと言ってられないくらいに切羽詰まっていたので、チャレンジしようと決めました。アイドルをやっていた友達がいて、そのライブがいちばんの癒しだったんです。ライブが終わった後の余韻がすごくて……。当時はアイドル側になるとは考えてもいなかったんですけど、あの経験もオーディション参加を決めた理由のひとつかもしれません。
――オーディション期間を振り返っていかがですか?
板倉:めっちゃ大変でした。オーディションが始まる直前に撮った写真と終了後に撮った写真を見比べたら、目のクマがすごくて頬もこけてて(笑)。オーディション中、私からしたら参加していたみんながアイドルすぎて、「私はアイドルじゃないな……」と不安もありました。でもその分アイドルになるためのヒントというか、お手本にする子はいっぱいいて、「こういう表情するんだ」とか「この子のこういう動きかわいいな」とか。でも自分がそれをやってみると何か違っていて。今でも難しいんですけど、ただ真似をすればいいというものではない、ということを学びましたね。
そのおかげでオーディションでは、真似をする部分と自分らしさを出す部分のいい塩梅を探すことができました。“かっこいい”がアクセントになると信じて、個人曲でもかっこいい曲を選んだら、かわいいの中にかっこいいを入れるイメージでできた気がします。でも、難しかったなあ……。


――技術面ももちろんですが、精神面が鍛えられた部分もあると思います。
板倉:ありますね。極限すぎる数日間だったので、もともと体育会系な考え方が、さらに体育会系になりました。あそこまで追い詰められたことはないと思うので、「今月も忙しいけど、大丈夫、なんとかなる」と、合宿の日々がへこたれずに自分を保つことができる理由になっています。
――合宿を経て、CUTIE STREETの結成メンバーに選ばれます。
板倉:顔ぶれを見て、最初は私がいることが信じられなかったですね。でもなんか、このメンバーなら大丈夫かもと思いました。
――「大丈夫」ですか?
板倉:「有名になれる」とかそういう意味ではなくて。私が心配だったのは、グループ活動をするにあたって「いい関係性でいられるのか」ということだったんです。いちばん身近な存在であるメンバーとの関係性が良くないのは、外から見ていても分かりますよね。自分としても、活動するにあたって素が出せないのはよくないと思っていて。でも顔ぶれを見たときに、その心配がなかったんです。
極端な例ですけど、もしすっごい悪い大人がいても、メンバーの関係性さえ良ければどうにかなるというか。「味方がいる」っていちばん大事だと思っているんです。感覚でしかないんですけど、「背中を預けられそう」「肩を組んで歩けそう」みたいな雰囲気はありました。合宿でお互いの限界値を見ていることも大きかったと思いますね。

――今、その信頼感はより深まっていますか?
板倉:深まるばかりですね。仕事の話題が多いですけど、何でも話せる関係性なのでそれって素敵だなと思っています。日常のなかで当たり前のように、女子会のような感じで仕事の話をするんですよ。「今度、SNSどうする?」「ライブのこれヤバくない?」とか。日常のなかに仕事の話があるから、それが何でも言いやすい環境に繋がっているというか。人を否定する子がいなくて、相手の意見を受け入れたうえで自分の意見を考えられる子が揃っているんです。よその人が聞いたら、強い言い方に聞こえるときもあるのかもしれないんですけど、それは仲が良くて、ある意味そこに遠慮がないからなんです。みんなで日常的に話してきた中で、培ってきた信頼関係なのかなと思います。



















