FRUITS ZIPPERは時代を作る――『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』最優秀アイドルカルチャー楽曲賞受賞の必然

『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』の授賞式が5月21日、22日にロームシアター京都で開催され、FRUITS ZIPPERが代表作「わたしの一番かわいいところ」で、「最優秀アイドルカルチャー楽曲賞」を受賞する快挙を遂げた。

 同アワードは、日本やアジアの音楽を世界へ発信することを目指し、今年新たに創設された国内最大規模の音楽賞。米国の『グラミー賞』のような権威ある音楽賞を目指し、日本レコード協会など5団体が創設に携わった。FRUITS ZIPPERは初開催となる今回、主要6部門の「最優秀ニュー・アーティスト賞」をはじめ、「最優秀アイドルカルチャー楽曲賞」、「最優秀アイドル賞」、「ベスト・オブ・リスナーズチョイス:国内楽曲 powered by Spotify」の計4部門にノミネート。メンバーの鎮西寿々歌は授賞式で、「この賞を大切に受け止めて、アイドル文化のさらなる広がりに自信を持ってこれからも“NEW KAWAII”というものを世界、そして宇宙に発信していきたい」とコメントした。

 FRUITS ZIPPERはデビューした2022年に、「わたしの一番かわいいところ」がTikTokの累計再生回数4.9億回を突破するなど大ブレイクすると、2023年に『第65回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)で最優秀新人賞を、「NEW KAWAII」をリリースした2024年にも同アワードで優秀作品賞を受賞。ほかにも「ハピチョコ」や「かがみ」などヒットソングを生み出し続けている。優れた作品を量産していることは、彼女たちが今回の受賞/ノミネートに至った理由の1つだと考えられるが、それ以前に、人それぞれが持つ個性や価値観を尊重する“NEW KAWAII”というコンセプトを一貫して発信し続け、カルチャーとして確立してきたことが大きいだろうと思う。

【MV】FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」

 今回「最優秀アイドルカルチャー楽曲賞」を受賞した「わたしの一番かわいいところ」をはじめ、FRUITS ZIPPERの楽曲は、令和らしい広い着眼点で、原宿から広まった世界共通言語の「かわいい=kawaii」を再解釈しているのが特徴だ。そもそも、FRUITS ZIPPERはメンバー同士が絵の具のパレットのように色とりどりのかわいさや個性を認め合い、鮮やかに彩り合っているグループである。しかし、その肯定感は曲を聴いた人にまで広がり、どんな人でも“NEW KAWAII”と自分を認めることで、幸福度を高めてくれているように思う。自分ごとに落とし込んで共感できる点がファンを強く惹きつけ、加えて同性からも愛されるかわいらしさで瞬く間に世の人々を虜にしたのだ。元々アイドルグループでも活動していたKAWAII LAB.総合プロデューサーの木村ミサ自身がファン心理やアイドルの魅力を熟知しており、KAWAII LAB.のプロデュースに知識や経験が活かされていることも功を奏しているのではないだろうか。

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