SEVENTEENによる史上初の橋上ライブから、G-DRAGONの“宇宙ハイボール”まで――韓国トレンドレポート 2025年6月号

　K-POPや韓国ドラマにとどまらず、2025年の韓国カルチャーはアート、ファッション、フード、ストリートまで多彩な分野を横断し、グローバルでの存在感をさらに強めている。この連載では音楽・ファッション・食が交差する“いま”の韓国を毎月スナップしていく。

　5月の話題を追った6月号では、K-POP史上初の漢江・潜水橋ライブを実現させたSEVENTEENの記念公演、Met Galaで圧巻の存在感を見せたBLACKPINK、野外フェスさながらのラインナップで話題を集めた大学祭、G-DRAGONによる“宇宙ハイボール”の旋風、Nike × WORKSOUTの“制服スニーカー”まで、音楽、ファッション、食の領域を越えながら、日常と非日常の間行き来する、2025年5月の韓国カルチャー最前線をお届けする。

SEVENTEEN、K-POP史上初の漢江・潜水橋ライブで10周年記念公演

　5月25日夜、ソウル市内を流れる漢江の潜水橋の上に、K-POPアーティストとしては史上初となる大型コンサートステージが出現した。SEVENTEENがデビュー10周年を記念して開催したスペシャルライブ『B-DAY PARTY : BURST Stage』である。

　橋の両端を封鎖して設営された野外ステージには約6,000人のファンが招かれ、橋のたもとにある盤浦漢江公園一帯には入りきれなかった約6万人が大型スクリーンで鑑賞。一部のファンが公演を観るために漢江のヨットをレンタルし、水上から観覧する様子も話題となった。さらにグローバルファンダムライフプラットフォーム・WeverseやYouTubeでも全世界に生中継され、日本を含む世界各国のCARAT（SEVENTEENのファンの呼称）が同時に熱狂する、まさにグローバルな“伝説の一夜”となった。

　コンサートは午後7時30分、目前に漢江の夕景が広がる中で幕を開けた。同日深夜にリリースされた新アルバム『HAPPY BURSTDAY』のタイトル曲「THUNDER」を世界初披露すると、会場の興奮は一気に最高潮に達した。今回のライブは、ソウル市が主催する「2025車のない潜水橋てくてく祭り」とのコラボレーションとして実現した。都市の象徴である橋の上という日常空間をステージに変えたこの公演は、韓国エンターテインメントの新たな可能性を象徴するものであった。

韓国の大学祭、豪華アーティストの出演で大盛況に

　5月は韓国各地の大学で学園祭が開催されるシーズン。韓国の大学祭では、K-POPアイドルをはじめ、ジャンルを問わず若者に人気のアーティストを招く文化が根付いており、多彩な出演者が登場するのが特徴だ。学生会主導での招聘が一般的で、今年も各校が豪華なラインナップを揃え、まるで野外フェスさながらの熱狂がキャンパスに広がった。

　エネルギッシュなパフォーマンスで毎年高い人気を誇るPSYをはじめ、TOMORROW X TOGETHER、aespa、LE SSERAFIM、IVE、ITZY、TWS、NMIXX、KISS OF LIFEなどのグループに加え、JANNABI、YB、イ・スンユンといったロックアーティスト、さらにBEENZINO、ZICO、CHANGMOといった人気ラッパーまでが登場。若さあふれるエネルギーと共鳴しながら、観客と一体となるステージを披露した。SNS上には「推しがキャンパスに来た！」という驚きと歓喜の声があふれ、各大学の放送部が制作した個人ファンカメラやステージ映像がYouTubeに公開され、国内外のファンからも注目を集めた。

　大学祭への出演はアーティストにとってもプロモーション効果が大きく、学生たちが撮影したファンカム映像が瞬時に拡散されていく。ファッションや演出も大学ごとに趣向を凝らし、“キャンパス限定ライブ”が一種のブランド化している側面もある。一方で、在学生以外の不正入場や、学生証の貸し借り、入場権の転売といった問題も指摘され、年々運営側の対応も厳格化している。

JENNIE、ROSÉらK-POPスター、Met Gala 2025で世界的存在感を発揮

　5月5日（現地時間）、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された今年の『Met Gala』には、BLACKPINKのJENNIE、LISA、ROSÉの3人が揃って登場し、世界中のファッションメディアから大きな注目を集めた。『Met Gala』は毎年5月に開催されるチャリティイベントで、セレブたちがテーマに沿った装いで集う“ファッション界の祭典”として知られる。

　『CHANEL』のグローバルアンバサダーであるJENNIEは、1987〜1988年のプレタポルテコレクションに着想を得た黒のスーツにオーバースカートを合わせたクラシカルな装いで登場。「ベストドレッサー」に選出されるなど、各国のファッション誌でも大きな注目を集めた。ROSÉは『SAINT LAURENT』のミューズとして、タキシードドレスに赤いヒールを合わせたモードなルックを披露。『LOUIS VUITTON』のアンバサダー・LISAはモノグラムストッキングを主役にしたフェティッシュなスタイルで視線を集めた。

　今年の『Met Gala』には、BLACKPINKの3人に加え、もう一人のK-POPスターも登場していた。『BOSS』のグローバルアンバサダーを務めるSEVENTEENのS.COUPSである。彼はシルバーヘアに、韓服にインスパイアされたグレースーツで登場し、その存在感を強く印象づけた。『Met Gala』にK-POPアーティストが名を連ねるのは、いまや当然のことのように映る。それだけ、音楽にとどまらずファッションの分野でも、彼らの存在感が世界に広がっているという証だ。