中島美嘉「『雪の華』はみんなのものになっている」 初のアジアツアーで感じた現地の熱量、ライブへの矜持を語る

楽しいだけのライブは一生ない(笑)

ーーそして7月21日には、アジアツアーの韓国公演『中島美嘉 MIKA NAKASHIMA ASIA TOUR 2025 in SEOUL』がWOWOWで放送・配信されます。ソウルでのワンマンライブは初めてだったわけですが、手ごたえはどうでしたか?
中島:お客さんの声の大きさは一番だったかもしれないですね。イヤモニをしているんですけど、普段からお客さんの声も聴こえるようにしてもらっていて。韓国のライブのときはそれがすごく大きくて、「もうちょっと下げてください」と伝えたら、「いつもと同じだよ」と。私が持ってるマイクにお客さんの声援が入ってて、それが聴こえてたみたいなんですけど、ビックリしましたね。それくらい熱い人たちなんだなって。
ーー観客の皆さんが合唱する場面も多くて。日本語が上手いですよね。
中島:そうなんですよ。MCはその場で通訳の方に訳してもらってたんですけど、私が話す言葉をお客さんが理解してくれていることがわかって、通訳の方も「これは大丈夫だな」みたいな感じであえて通訳しないシーンもあって(笑)。そういうこともうれしいんですよね。
ーー赤い付けまつ毛も印象的でした。
中島:赤まつ毛は今回のアジアツアーで絶対やりたかったことの一つで。いつもそうなんですけど、衣装やステージの雰囲気を思い浮かべながらいろいろ決めていくんですよ。そのときになぜか「赤くて大きいまつ毛を付けたい」と思って(笑)。方法はわからなかったけど、絶対やれるはずだと思っていたし、みんなで試行錯誤しながら実現させて。お客さんも驚きながら楽しんでくれてたみたいだし、やってよかったですね。そういうことが多いんですよ、私のライブは。

ーー他のアーティストがやっていないことにトライするというか。バレリーナを交えた演出も中島さんのライブの特徴ですよね。
中島:最初にバレリーナの方に参加してもらったのは2005年で。私はバラードが多いし、ダンサーの方に踊ってもらうのは申し訳ないなと思って。「でも、踊りの要素も入れたいよね」となったときにバレリーナがいいんじゃないかなと思ったんですけど、そのときはかなり反対されました(笑)。もちろん今となっては「やってよかった」と思ってます。古典バレエには流行がないし、20年前のライブの映像を観ても全然古く感じないので。ダンサーの万葉もそう。ヴォーギングだったり、かなり異質な動きをする方なんですけど、私の曲の雰囲気には合ってるし、すごく助かってます。

ーー海外のオーディエンスも“中島美嘉の世界観”を求めているんだと思います。アジアツアーの前には、韓国の音楽番組(MBN『日韓トップテンショー』)にも出演しました。
中島:韓国の番組に出させてもらったのは初めてだったし、出演者のみなさんにも喜んでもらえて、すごくうれしかったですね。私、「もっとプロモーションしたほうがいい」ってスタッフにお願いしてたんですよ。もっと告知しないと、ライブに来てくれないんじゃないかって(笑)。
ーー韓国ではいろいろな媒体の取材も受けたそうですね。
中島:はい。「言葉の壁があるのに、ここまで受け入れられているのはどうしてだと思いますか?」とか「韓国で聴かれていることを、どんなときに実感しますか?」という質問が多かったかな。現地のメディアの方も、「全部日本語で歌っているのに、どうして?」というのが不思議みたいで。あとはやっぱり『NANA』ですね。
ーー中島さんも韓国のカルチャーに親しんでますよね?
中島:そうですね。音楽はそこまで詳しくないんですけど、ドラマやバラエティはかなり観てます。ただ好きなだけですけどね(笑)。

ーーさらにWOWOWでは歴代ライブ集、ミュージックビデオ一挙放送など複数月に渡り特集されることも決定。これまでのライブを振り返るインタビューも放送・配信されますが、中島さん自身、改めて気づいたこともあるのでは?
中島:かなり長い間もがいていたんだなと思いました。そのとき、そのときで「もう悩みの時期は超えた」と思って楽しんでいたつもりだったけど、振り返ってみると「そうでもなかったな」と。なのでWOWOWのインタビューでも、ただ「楽しかったです」とは言えないところもあって……。


ーー耳の不調のために活動休止したのが2010年。翌年には活動を再開しましたが、おそらく10年くらいは不調を抱えてましたよね……?
中島:ライブで歌うことに関しては、もっと長く悩んでたと思います。最初の頃は「本当にライブで歌っていいのかな」という気持ちがあったので。
ーーここ数年は「少しずつライブが楽しくなってきた」というコメントも聞かれるようになりました。
中島:それはそうなんですけど、楽しくなると同時に、やっぱり不安もあって。それはいいことだと思うんですよ、私にとって。さっきも言いましたけど、いつも更新しないといけないし、前のライブを超えたいという気持ちもあって。なので、楽しいだけのライブは一生ないでしょうね(笑)。不安だったり、苦しいこともあるけど、そうじゃないとライブでいろんな感情を伝えられないだろうなと思ってるんですよ。いつも言ってることなんですけど、私はみなさんの気持ちの代弁者だと思っているので。


ーー歌手というより代弁者であり、メッセンジャーであると。
中島:はい。ずっと歌のことを考えてるんですよ、ホントに。家事の最中に「どうやったら、こういう声の出し方が出来るかな」と考えはじめて、いきなり歌いだしたり。寝てるときも考え事している感じがあるし、歌詞を書いているときはスマホを持ったまま横になってますから。かと思えば1日中ボーッとしてたり……ヤバいですよ(笑)。
ーーこの夏には『Mika Nakashima Premium Live Tour 2025』が開催されます。歌、ピアノ、ベースの編成で歌をじっくり伝える“Premium Live”は中島美嘉さんのライフワーク。この公演も10月にWOWOWで放送・配信されますが、今回はどんなライブになりそうですか?
中島:まだこれからですね。ツアーの前はいつもそうなんですけど、ゼロの状態から、そのときの中島美嘉を作っていくんです。その前のツアーが終わったときに、そのときの自分を全部捨てる。その後、数日は動けなくなるので、まずは普通の生活を取り戻して。そこから次のツアーに向けて自分を作り始めるので、身体の形も意識も全部変わるんです。食の好みも変わるし、好きだった飲み物が飲めなくなったりするんですよ。
ーーライブの内容や演出だけではなく、常に“新しい中島美嘉”としてライブに臨む。
中島:そうなりますね、どうしても。次の“Premium Live”も新しい感じになると思うし、まだどうなるか……。いつも通りのメンバー(河野伸/Pf、海老沼崇史/Ba)で、必ず歌う曲もありますけど、どういうライブになるかはやってみるまでわからないですね。
ーー来年はデビュー25周年。今後のライブでやってみたいことは?
中島:今も「こんなことやれたらいいね」と話しているし、一つ一つ形にしていきたいですね。同じことを続けるのではなくて、衣装や演出を含めて「今回はこう来たか」と思ってほしいなって。日本でも海外でも、いい意味で裏切っていきたいですね。

■番組情報
中島美嘉 4カ月連続WOWOW特集
<音楽ラインナップ>
『中島美嘉 MIKA NAKASHIMA ASIA TOUR 2025 in SEOUL』
7月21日(月・祝)午後4:45
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
アジア各国でも絶大な人気を誇る中島美嘉初のソウル公演を独占放送・配信。アジアツアーのインタビュー&ドキュメントも交えてお送りする。
収録日:2025年5月11日
収録場所:韓国 ソウル 高麗大学 ファジョン体育館
『中島美嘉 MUSIC VIDEO COMPLETE vol.1/vol.2』
8月5日(火)午後7:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンド配信
※アーカイブ配信なし
中島美嘉の軌跡をたどる珠玉のミュージックビデオを全曲一挙放送。時代を彩ってきた名曲の数々を、本人コメントも交えお届けする。
『中島美嘉 LIVE HISTORY』
9月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
デビュー25周年を目前に控える中島美嘉。豊かな表現力で人々を魅了し続ける彼女の名曲の数々を、本人インタビューを交えながら歴代ライブ映像でたどる。
『中島美嘉 Mika Nakashima Premium Live Tour 2025』
10月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1カ月間のアーカイブ配信あり
中島美嘉のライフワークともなっているアコースティックツアーのファイナルを独占放送・配信!シンガー中島美嘉の神髄を心ゆくまで味わえる極上のライブ。
収録日:2025年9月5日
収録場所:東京 サントリーホール ブルーローズ
<映画ランナップ>
『偶然にも最悪な少年』
7月21日(月・祝)午前10:30
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信中
グ・スーヨン監督が先に小説として発表した同名作を自らの手で映画化。今を生きる壊れた若者たちの等身大の姿を、新感覚で描いた青春群像劇。市原隼人、中島美嘉らが共演。
『NANA』
7月21日(月・祝)午後0:30
WOWOWライブで放送(※放送のみ)
中島美嘉と宮﨑あおいが共演し、人気コミックを映画化。若い女性2人、ナナと奈々の青春を描いた。公開当時、主題歌と劇中歌の2曲もヒット。後に続編も作られた。
『NANA2』
7月21日(月・祝)午後2:30
WOWOWライブで放送(※放送のみ)
人気コミックを映画化した青春映画「NANA」の続編。東京で共同生活をする若い女性2人、ナナと奈々。2人の関係に少しずつ亀裂が? 新たに中島美嘉と市川由衣が主演。
『怪盗グルーのミニオン超変身(吹替版)』
8月15日(金)午前4:00
WOWOWプライムで放送/WOWOWオンデマンドで配信中
イルミネーションが贈る大ヒット・アニメーション映画「怪盗グルー」シリーズ第4弾。平和な日々を送っていたグルーと、彼の前に現われた最強の宿敵との対決の行方を描く。




















