YOASOBI、ウェンブリーでのヨーロッパ初ワンマンを目撃! 熱狂と興奮の途切れない愛に満ちた空間に

そして、あの曲の合図が鳴るーー重低音のイントロが警報のように鳴り響き、「アイドル」のスタートを告げた。すかさず手を高く掲げ、サビに合わせて叫ぶように合唱する観客たちの姿に驚かされる。1曲目からそうだったが、コール&レスポンスやシンガロングのタイミングまで、ロンドンの観客はまるで何度もライブを体験してきたかのように完璧に把握していた。『【推しの子】』のオープニング主題歌としてリリースされた同曲は、YouTubeでのMV再生数は現在6億回を超え、Billboard Global Excl. U.S.チャートでは日本語楽曲として初の1位を記録。リリース以降、YOASOBIの名はアジアのみならず欧米圏にも大きく広がっていった。アニメ発で注目を集め、TikTokやSNSでのバズを経て一気に広まったその勢いの背景には楽曲自体の“強さ”があり、このロンドンの地で目にした会場の熱量を通して、「アイドル」がいかに世界中で深く浸透し、愛されているかがはっきりと伝わってきた。

10年前に地元のストリートで歌っていた頃は、友人や家族しか観客がいなかったこと。その10年後、ロンドンで1万人の前で歌うことができたということ。MCで何度も感謝を伝え、喜びの笑顔を見せるikuraの姿が印象的だった。
「HEART BEAT」の演奏中、前方のスクリーンにはローマ字で歌詞が表示され、ikuraが「Sing together」とリクエスト。会場全体がシンガロングで一体になった。

YOASOBIは全楽曲の英語版も発表しており、海外公演では英語詞が選ばれる可能性もあると筆者は予想していた。だが本公演で彼らが選んだのは、あくまでオリジナルの日本語詞で届けるという姿勢。かつて、海外公演で英語版を披露した際にも観客が日本語で歌っていた経験を振り返り、Ayaseはインタビューで「英語じゃなきゃとか、日本語だとだめっていうことはない」(※1)と語っていた。その実感が、このロンドン公演でも改めて示されたのだと思う。
日本語が母国語ではない観客がほとんどにも関わらず、皆が歌詞を覚え、口ずさみ、心から楽しんでいるーーその姿がスクリーンに映し出されるたびに、YOASOBIという特異なプロジェクトの核となっている、音楽の持つ普遍的な力を改めて思い知らされた。その後の「群青」でも、ikuraがどこまでも伸びていくような真っすぐな歌声を響かせたところで、ライブ本編は終了した。


「One more song!」という客席からの熱烈なコールを受け、アンコールで登場したのはギターを持ったikura。スポットライトが照らされるなか、ギターロックチューン「舞台に立って」を奏でる。多彩な歌唱を聴かせてきたikuraがまた新たな一面を見せる姿に、会場は釘づけだ。
Ayaseは「最高すぎる」「ほんま愛してるありがとう」「Meet again」と興奮しっぱなしで思いを届ける。最後の1曲は、ikuraが「Let's sing together」と言って始まった「夜に駆ける」。喜びに溢れたオーディエンスの笑顔と歓声からは、誰もがこの瞬間を待ちわびていたという気持ちが伝わってくる。温かな空間が広がり、初のロンドン単独公演は感動的なフィナーレを迎えた。

アジアツアー、アメリカでの単独公演、そして初上陸となったロンドンでの単独公演(ならびにスペイン・バルセロナで開催された『Primavera Sound Barcelona 2025』への出演)。YOASOBIは堂々たる日本のポップカルチャーアイコンとして世界のリスナーに受け入れられており、さらに大規模な海外公演を成功させる光景も想像に難くない。ロンドンでの単独公演を成功させた今、次に目指すのは、きっと“ワールドツアー”だ。
※1:https://realsound.jp/2023/01/post-1226285_2.html
◾️Setlist Day1(2025.06.08)
1. セブンティーン
2. 祝福
3. UNDEAD
4. PLAYERS
5. New me
6. ハルジオン
7. Watch me!
8. たぶん
9. モノトーン
10. 優しい彗星
11. 怪物
12. 勇者
13. あの夢をなぞって
14. アイドル
15. HEART BEAT
16. 群青
Encore
17. 舞台に立って
18. 夜に駆ける




![米津玄師、YOASOBI、[Alexandros]、NOMELON NOLEMON……令和ガンダムシリーズを彩る楽曲たち](/wp-content/uploads/2025/02/20250210-yonedu-99-702x395.jpg)





















