Vaundy、藤井 風、YOASOBI、優里……“特殊なシチュエーション”でのパフォーマンスが引き出す新たな魅力
先日、Vaundyが自身のYouTubeチャンネルにて、『Vaundy LIVE in London』から「replica」のライブ映像を公開した。
『Vaundy LIVE in London』はWOWOWが制作を手がけ、今年9月7日に放送されたライブ&ドキュメンタリー作品である。11月8日からはアリーナツアー『Vaundy one man live ARENA tour 2024-2025』の開催に合わせ、ライブ会場と並走する形で全国の劇場でも上映されている。10月には、同作品から「踊り子」のライブ映像も公開されていた。
『Vaundy LIVE in London』で、Vaundyはイギリスのロンドンにあるオールド・ロイヤル・ネイバル・カレッジ(旧王立海軍学校)にてパフォーマンス。洗練された空間に、彼の歌声とバンドの演奏がどこまでも響くかのように突き抜け、その独特な雰囲気に神聖さも感じられる。加えて、「replica」は彼が敬愛するデヴィッド・ボウイを意識して制作したとインタビューで語っていた楽曲だ(※1)。デヴィッド・ボウイの生まれ育ったロンドンでこの曲が歌われているというストーリーも、パフォーマンスに奥深さを与えている。
Vaundyのように、アーティストが通常のライブ会場とは異なるシチュエーションでパフォーマンスする例はほかにも多くある。直近で話題を集めたものをいくつか取り上げてみたい。
たとえば、“小さな机と楽器だけ”というコンパクトな空間でライブを行う、アメリカの公共ラジオ放送・NPRによる人気コンテンツ『tiny desk concerts』。その日本版『tiny desk concerts JAPAN』(NHK総合)が今年3月よりスタートし、第1回のゲストとして出演したのが藤井 風だった。Yo-Sea、にしなといったミュージシャンもバンドメンバーとして参加したパフォーマンスはNPRのYouTubeチャンネルでも公開され、再生回数は本稿執筆時点(11月18日)で1,200万回を超えている。
藤井は「まつり」「きらり」「死ぬのがいいわ」などの計6曲をこの日だけのアレンジバージョンで披露しているのだが、バンドメンバーと楽しそうに顔を見合わせたり、歌詞に合わせて身振り手振りを加えながらお茶目な表情を浮かべたりと、終始リラックスした様子だ。『tiny desk concerts JAPAN』はNHKのスタッフルームの一角で撮影されているそうで、芸術性の高いステージ演出などは一切ない。それでもその約30分間に惹きつけられてしまうのは、演奏のクオリティの高さがあってこそだろう。ゆるやかな雰囲気のなかで繰り広げられる心地よいセッションに、見ていると自然と笑みが浮かんでしまう。