藤井 風、Mrs. GREEN APPLE、ずっと真夜中でいいのに。、back number……趣向を凝らした個性溢れるこだわりMV

Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」Official Music Video

 全編フルCGで制作されたMrs. GREEN APPLEの「クスシキ」のMVも、視覚的にインパクトのある作品である。MVは、時代も国籍も設定のない架空の世界が舞台。TVアニメ『薬屋のひとりごと』(日本テレビ系)第2期第2クールのオープニングテーマであることも作用してなのか、楽曲同様にオリエンタルな雰囲気が醸し出されている。

 楽曲タイトルの「クスシキ」は、“薬”の語源である“奇し”(くすし)という古語からつけられたもの。MVでは異世界風の衣装に身を包んだメンバーが楽しそうに楽器を奏でるシーンもあれば、その楽器を武器に闘うシーンも見られる。そんなところが、人を救うこともできれば毒にもなり得る“薬”と繋がっているようにも思える。また、現代と思われる世界に花びらが届くラストシーンは、〈貴方をまた想う/来世も〉の歌詞にも重なるだろう。壮大なスケールながらも、楽曲やタイアップ作品にしっかりと寄り添ったMVだ。

back number - ブルーアンバー 【カンテレ・フジテレビ系月10ドラマ『あなたを奪ったその日から』主題歌】

 4月に公開された、back numberの「ブルーアンバー」のMVも印象深い。楽曲はTVドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ/フジテレビ系)の主題歌だが、MVではまったく別の物語が描かれているのだ。

 MV内での数々の描写から推察するに、息子は派手なメイクや衣装でパフォーマンスをするドラァグクイーンで、母親は自宅で介護を受けながら生活している。おそらく、お互いが〈人様に見せるものじゃないの〉と葛藤するなかで、終盤で親子が口紅を塗り合いながら笑顔で寄り添い合うシーンが、歌詞と同様に〈綺麗よ〉と言い合っているようで胸を打つ。曲でも歌われている、抱え込んでいた感情を受け入れて救われていく過程が視覚的に表現されたようなMVだ。

 楽曲の世界観をより深く味わえたり、また違った角度から楽しめたりするのもMVの醍醐味。2025年の上半期も、こうした趣向を凝らしたMVが数々届けられてきた。下半期もどんな個性あふれるMVが誕生するのか、楽曲とあわせて注目したい。

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